あなたの人生の物語 の商品レビュー
テッド・チャンの短編集だ。どれも素晴らしい。特に宗教的な背景はないというけれど、キリスト教的世界観がとても感じられるなあ。
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古本屋で100円代で売っていたので購入。 現役最高のSF作家のひとりらしい。短編集。バビロンの塔や数式の話など様々な世界観が書かれる。ただどれも自分にはなかなか難解なものが多かった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
•バビロンの塔 宇宙エレベーターみたいと思っていたら、オチが... 水によって天地がつながっている。 神様は不可知の領域に。 •理解 心と身体の連携、無知の知を超えて、自分や他人の心身の全てを自分で知り、制御する。頭では分かっていてもできないことがなくなる。 仁への言及にあるとおり、自分以外にその域に達した人がいない孤立とそれによる不足を、淡々と受け止める。自分で自分をプログラミングする。 それは、どんな感覚なのか。小説を読むと、想像することがたくさんある。分からないからこそ、想像することができ、それを楽しむことができる。主人公にとって、普通人の社会においては、想像するまでもない。だからこそ、最後の心理戦、精神戦、生理戦は圧巻。駆け引きの緊張感。理解によって強化したものを、理解によって解除されるというオチ。 •あなたの人生の物語 この物語の世界観はどっちなんだろう。 認識することで未来が決まるのか、ヘプタポットとの出会いがなくとも初めから運命付けられているのか。極値に向かうことが科学によって裏付けられているから、後者なのか。 ノエインと対照的だな、となんとなく思った。 •72文字 名辞ってどういうものなんだろう。 物理法則の秩序、整理整頓の秩序、膨大な数の細胞が連携してひとつの生き物を形成する秩序、文法や形態素のような言葉の秩序。 それらが結びつく設定が言霊みたいだと思った。 言葉で動く無機物というと、AIが浮かぶ。職を奪うかどうかの議論も作中に出てくる。 一方、卵子に書き込みをすると聞くとゲノムのような遺伝子のようなものが思い浮かぶ。 生権力やジェンダー、科学と政治の関係、階級格差など、示唆に富む。 それでいて、馬車が現役のスチームパンク? •地獄とは神の不在なり どうしてこうなったのか。真相やメカニズムを知ることができない理不尽な物事と出会った時には、自分に合った解釈を信じるしかない。不可知論 信じたいけど信じられない。信じたくないけど信じざるをえない。そのような状況と向き合うために、信じたいことの根拠を求めて行動する人間の力強さと弱さ。 理不尽ささえ愛するというのは本当に答えになりうるのか。 •顔の美醜について-ドキュメンタリー 「恵まれない顔立ち」って表現が既に差別的なんじゃないかと思うと同時に、世にも奇妙な物語の美人税を思い出す。容貌に対する審美眼はそんなに画一的なものなんだろうか? ファッションは選べるけど、顔立ちは整形手術に頼らない限りは選べない。美を活かせば、人々に感動を与えることも、傷つけることもできる。 道徳ピルが実用化されたら、もっと局所的な美醜失認ピルとか出てくるのかな。
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映画よりはるかに分かりにくく、感情が抑えられより哲学的な内容になっている。私は映画の方が感情の動きがあって好きだが、映画の後にこれを読んで、こういった論理展開はスゴイなと思った。
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201807 海外SFはいつもなんとなく難しくて、若干の眠気と戦いながら読み、読み終わった後になって物語の世界に浸る感じになるんだけど、この本もそんな感じ。心に残る。
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映画「メッセージ」の原作。この小説からとてつもなく深遠なるビジュアルを構築した映画製作者達に賛辞を送りたい。主題は同じだが小説には政治は絡んでこないので主人公のパーソナルな側面に焦点を当てている。小説と映画、どちらも傑作。
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おもしろい!理系脳を持ち合わせていないので、理解が追いつかず、時間がかかるのは、私に問題あり!単なるSFじゃない「近い未来」のはなし
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「メッセージ」の原作である短編が読みたくて、初のテッド・チャン作品と対峙。 いやーー、何がっていうんじゃなくて、難しい本だった。この翻訳をした人は、相当苦労なさったのではないかと邪推。 SFがあまり得意でないのも合わさって、本当に読み進まなかった。 ボリュームは少ないけど、めち...
「メッセージ」の原作である短編が読みたくて、初のテッド・チャン作品と対峙。 いやーー、何がっていうんじゃなくて、難しい本だった。この翻訳をした人は、相当苦労なさったのではないかと邪推。 SFがあまり得意でないのも合わさって、本当に読み進まなかった。 ボリュームは少ないけど、めちゃくちゃ時間がかかって読了。
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映画を観たかったのだけど、観損ねたので。短編集とは知らなかった。え、これを映画にしたの? どうやって? とさらに映画が気になる罠でした。たぶん、わりと、理解が追いついていないけど、どの短編も発想がすごくてぞくぞくしました。面白かったー。SFは読む気になれない、と思っていた過去の自...
映画を観たかったのだけど、観損ねたので。短編集とは知らなかった。え、これを映画にしたの? どうやって? とさらに映画が気になる罠でした。たぶん、わりと、理解が追いついていないけど、どの短編も発想がすごくてぞくぞくしました。面白かったー。SFは読む気になれない、と思っていた過去の自分に、こんなに面白い世界があるんだぞ、と教えてあげたい。
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映画『メッセージ』の原作である表題作を含む短編集。 映画『メッセージ』の前半部、圧倒的な他者とコミュニケートすることの不安、緊張を不気味に静かな絵で描いたところに心惹かれたので、随分前に買ったまま積ん読していた文庫本を引っ張り出しました。 原作「あなたの人生の物語」はむしろ、...
映画『メッセージ』の原作である表題作を含む短編集。 映画『メッセージ』の前半部、圧倒的な他者とコミュニケートすることの不安、緊張を不気味に静かな絵で描いたところに心惹かれたので、随分前に買ったまま積ん読していた文庫本を引っ張り出しました。 原作「あなたの人生の物語」はむしろ、言語、一文字で一文/一章/一ページ/一冊/全てを表す異星の言語のありかたと、言語を習得することで意識のあり方が変容することにフォーカスされている。言語がわたしを規定し、世界を規定する。 時間軸を行ったり来たりする不安定な一人称の文体、主人公である言語学者が「あなた」へ語りかける文体の不気味さ。映画はあの薄暗い光によって、この不気味さを再現していたのだなと思う。 実をいうと、映画を先に観てエイリアンの文字のイメージを得ていなかったら、『あなたの〜』の言語の解読部分が理解できたかわからない。 他の収録作は、天の天井を掘りすすめる職人が見たもの「バビロン塔」、自然現象としての天使の降臨を描く「地獄とは神の不在なり」、ものの真の名辞が力を持つ世界で人間の名辞を探求する「七十二文字」など。どれも面白いです。 面白いけど、ちゃんと理解できてる気がしない。著者の作品覚書はあるけど、読むとさらに分かんなくなる。
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