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贖罪 の商品レビュー

4.3

28件のお客様レビュー

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    12

  2. 4つ

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2022/02/24

SL 2022.2.21-2022.2.24 ふだん読んでいる翻訳ものとはかなり違った雰囲気。なんかすごいものを読んだ気がする。 第一部がハードル高いけど、そこを乗り越えたら豊かな読書体験ができる。

Posted byブクログ

2021/09/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ものすごく面白かったです。 マキューアンの繊細な心理描写、愛の描写も、また罪によって引き裂かれた人間の冷ややかな会話も、戦争の無残さも、この作家ならなんでも書けてしまうのではないかと思うほど、この一冊で幅が広く豊かな表現を味わうことが出来る。 そしてスリリングなメタフィクションであることが終盤で明かされる。その仕掛けは、本作のテーマ、「贖罪」をいかにして行うのか、そしてそれがどれだけ困難なものであるかを語っているのである

Posted byブクログ

2021/01/24

「罪を贖う」ための果てしない描写を経て、待っていたものを実感した時の気持ちは如何ばかりだったのだろう? 単純に若気の至りという陳腐な言葉では許してくれないような、たった一瞬の出来事で、自らの人生をそれだけの為に背負い、消耗し尽くしてゆく気持ちは如何ばかりだったのだろう? 自ら...

「罪を贖う」ための果てしない描写を経て、待っていたものを実感した時の気持ちは如何ばかりだったのだろう? 単純に若気の至りという陳腐な言葉では許してくれないような、たった一瞬の出来事で、自らの人生をそれだけの為に背負い、消耗し尽くしてゆく気持ちは如何ばかりだったのだろう? 自らの贖いの深さと相手の愛情のそれを、同じように捉えてしまう虫のいいような発想も理解できる気がする。しかし、現実のリアルな感情はそうではないという答えの提示には、更に納得させられた。 物語自体は、至極シンプルにも思えるようでそうではなく、とても事細かく描かれている人物の描写については、後の真相で後ろから思いきり殴られたかのような衝撃を受けて愕然とした。そして、これを知ったことによって、あまり描写されていない人物の存在に、空恐ろしさを感じた。 また、あとがきにあった、「愛の後にあるのは忘却だけ」の言葉については、単純な疑わしさや、障害を乗り越えてくれる期待感をもってしても、この物語を思い出す度にそれは、空々しさとやるせなさが伴うものになるのかもしれないと思ってしまった哀しさが少し、私の心中を過った。 イアン・マキューアンの作品は、これが初めてでしたが、古典文学を思わせる言葉や語彙の芳醇さが素晴らしく崇高に感じられました。また、戦時下の病院の恐慌状態のリアルな描写には、今の世の中の状況と比較してはいけないと思いつつも、おもいきり痛感させられるものがありました。

Posted byブクログ

2020/01/22

第一部の描写が細かいというか、正直やり過ぎじゃないか?と思う程くどい印象で、マキューアンってこんなに読みにくかったっけ?と思いながらも、なんとか読み進めたら、第二部から先は全く違う印象の描き方で、最後まで一気に読んでしまった。 読み切って納得した。今はまだ、あぁそうだよね、これが...

第一部の描写が細かいというか、正直やり過ぎじゃないか?と思う程くどい印象で、マキューアンってこんなに読みにくかったっけ?と思いながらも、なんとか読み進めたら、第二部から先は全く違う印象の描き方で、最後まで一気に読んでしまった。 読み切って納得した。今はまだ、あぁそうだよね、これが文学だよねくらいの感想しか書けない。それくらい圧倒された。いやすごいわ…。

Posted byブクログ

2019/10/11

このラノベ全盛の時代(?)に、これだけ重い純文学つーか、なんか本の裏に書いてある言葉を借りるなら、焦れったいというか、じれったいって普段の暮らしで使うことはレアではなかろうか、とか、まぁそんな頑張って読む感じなわけです。 でもって苦労しながら読むと、意外や、いや意外というわけでも...

このラノベ全盛の時代(?)に、これだけ重い純文学つーか、なんか本の裏に書いてある言葉を借りるなら、焦れったいというか、じれったいって普段の暮らしで使うことはレアではなかろうか、とか、まぁそんな頑張って読む感じなわけです。 でもって苦労しながら読むと、意外や、いや意外というわけでもないけど、決してつまらなくはなくて、まぁ詰め込まれた文字には四苦八苦というやつだけど、でも面白いわけですよ。でもその小説的な面白さとか、結末のどんでん返し感とか、そういうのに加えて、なんだかんだと最後まで逃げ切った感のあるブライオニーさんは、おまえうまいことやったな、というね。 しかも更にけっこう自分は悪くないやつだよ、的な展開に持ってきているのはおまえ自分で作ってるがな、というわけで、話し方次第ではむかつくんだけど、でもこのやり方は小説としては嫌いではないのです。

Posted byブクログ

2017/01/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ひたむきな少女の狂気的な感情、若い男女の愛、戦争の生々しさなどを丁寧に描出しながら進む物語は、たいへん素晴らしく引き込まれた。 ブライオニーは、自分のついた嘘に、大事な人たちの人生を壊してしまった罪に、時に自分に都合よくではあるが、一生をかけて向き合おうとする。 小説を書くこととそれを読む楽しみ、そして決して償うことのできない罪の重さを考えさせられる。

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2016/08/26

第一部は、読みづらかった。緻密な描写。細かすぎる心理描写。読んでいてこれは外れかと思ったくらい。 でも、だんだん情景がわかってくると、戦前のイギリスの風景が見えてきます。 そんな中、この本のテーマの元となる事件が発生します。 第二部・第三部はうってかわって読みやすくなりました。 ...

第一部は、読みづらかった。緻密な描写。細かすぎる心理描写。読んでいてこれは外れかと思ったくらい。 でも、だんだん情景がわかってくると、戦前のイギリスの風景が見えてきます。 そんな中、この本のテーマの元となる事件が発生します。 第二部・第三部はうってかわって読みやすくなりました。 読み進めると...まるでミステリですね。 最後のどんでん返し。なるほどなるほど。贖罪も明確になります。 最初のハードルは高いですが、お薦めできる本です。 後の楽しみのため、しっかり読んでください。

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2015/08/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

あぁ、そういうひっくり返しなのか。 最後の誕生日パーティーで、あの二人の登場を待っていたのは私だけではないはず。(泣) オースティンを再読したくなった。

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2014/06/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ある女性小説家の人生を通し、小説家のエゴと現実の相克が語られる。作品のトーンは暗く重い。 主人公の頭の中にあった秩序と空想の心地よい世界は、その完成を見ることなく、猥雑な現実に冒されてしまう。しかし、主人公の空想こそが現実を冒そうとする我儘な欲望を秘めていることが露呈し、そこに悲劇が生じる。これが物語の発端である。 主人公の空想が現実に生きる人間の生をかき回し、歪めてしまった。それでも、身勝手な欲望を抱えながら彼女は小説を書く。老年の彼女の、小説家というものは身勝手なものだという述懐ほど小説家(≒近代的人間)の業を照らし出すものはないだろう。 本書は第一級の文学であり、同時にメタ文学なのだ。

Posted byブクログ

2014/01/24

強烈な印象を残した文学作品です。あんなエンディングとは。。読後いろいろと考えさせられます。私のお勧め文学の一つになりました。

Posted byブクログ