ひとを“嫌う"ということ の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
人を好きになるのと同様に人を嫌うという感情は不自然ではないということ。 それって考えてみれば当たり前のことなんだけど、私はそういうことに罪悪感を感じてしまう人間なので新鮮でした。そのような感情をタブー視する空気があるのは確かですよね。そして実際私はそれに縛られた人間であるという。この本を読むことである意味吹っ切れた感があるかも。 人に好かれるだけの人生より、人に好かれたり嫌われたりする人生のほうが彩り豊かで面白いという筆者の主張(すいませんうろ覚えなんですが)にはなんとなく納得できますねー。
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勝間和代さん推薦書。 これまで人の気持ちについて、実用的な気持ちの持ち方や、心理的、脳科学的な本は読んだことはあったが、哲学で解いた本は初めてのような気がする。「嫌い」や「恨む」感情について、体や脳に悪くて、自分にとって損もしくは良くないですよ、ではなく、それが人間じゃないか、嫌...
勝間和代さん推薦書。 これまで人の気持ちについて、実用的な気持ちの持ち方や、心理的、脳科学的な本は読んだことはあったが、哲学で解いた本は初めてのような気がする。「嫌い」や「恨む」感情について、体や脳に悪くて、自分にとって損もしくは良くないですよ、ではなく、それが人間じゃないか、嫌いという気持ちも持つことによってより豊かな人生になるんじゃないか、とまとめられている。 その分、読んでいてポジティブになれるような本ではないが、人間の性質に任せようという考えは的を得ているような気がする。「つまり社会的な成熟を諦めて、自己嫌悪に塗れたしかし充実した人生を送ればいいのです。」 あらゆるビジネス書で、「主体性」や「自分を変えること」、「環境に影響されない自尊心」というススメを読んできてのこの本。妙に肩の力が降り、納得させられた。 時々筆者の独特な表現にふっと笑いもでる。 ・人を嫌いになるということは、人を好きになることと同様自然なこと。嫌いになることは、悪いこと・良くないこと、ではない。 ・彼(女)が罵倒するにはそれなりの深い理由があるんだろう、と考えないこと。そうかもしれない。しかし、社会生活とはそうした配慮を許さない残酷なものであることを教えること。 ・「この国では、社会的に上位の者が下位の者を嫌うなどとは考えられない暴力であり、断じて許しておけない。下位の者は上位の者を思う存分嫌っていいが、上位の者は下位の者を決して嫌ってはならない…。一応、表面的にはこうした逆差別がまかり通っている」 ・ある少年(「中学生日記」にでてくる少年)が心から欲しているのは、同情でも愛でもそして憎しみさえ、本物だけだ。 ・嫌いの結晶化(ひとたび嫌いになると、様々な嫌いになることが出てきて嫌いの要因になる。そんなときは、その自然の流れに任せておこう ・適度な復習のすすめ 堂々とすること。されたことの1/3は返しても良いのでは? (「まずいから、試してみよう」と言ってうどんを注文した子にうどんを作らなかったおばさんの例) ・われわれは、もしある人がわれわれの憎む者に喜びを与えるのを想像するなら、その人に対しても憎しみを感ずるであろう。(スピノザ「エティカ」) ・相手に期待もし自分も期待されたい人種と、相手に期待せず自分も期待されたくない人種に二分される。お互いをわがままに思う。 ・全力を尽くして誰かに職を与えることは「恩知らず」を必然的に生み出すが、能力があるものが次から次にやすやすと職を世話してやる場合には「恩知らず」は生じない。 ・嫉妬は同じものを目指す近いもの同士のあいだで頻繁に発生する。 ・われわれは、相手にうんざりしても、その人を大目に見てやることが多いが、われわれにうんざりするような相手は容赦できない。(ラ・ロシュフコー) ・人は単独に存在しているのではなく、他人との関わりの中にあるのですから、他人が嫌いなのは、私との関係にある他人が嫌いだということであり、自分が嫌いなのは他人との関係にある自分が嫌いだということ。 ・自己嫌悪とは、他人に嫌われることを恐れるあまり、みずからに「嫌い」を向けて身を保っている形態なのでそれを溶解させるためには他人の「嫌い」を自分のうちに改めて豊かに取り込むほかない。 ・嫌い合うことは自然なのです。だからこそ、嫌いあいたくないと望む。 ・夫婦は何らかの点で好きになって結婚するのだから、その表裏一体の嫌いについても骨の髄まで実感する豊かさを味わえる。
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「『嫌い』の力学を人生の豊かさと割り切って、その渦中に生きるしかない。そして、その渦中においてもけっして自己自身を批判する目を濁らせないとき、それは道徳的な生き方ですらある」 “嫌い”を大切に。
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p83.嫌いの八つの原因 1.相手が自分の期待に答えてくれないこと 2.相手が現在あるいは将来自分に危害を加える恐れがあること 3.相手に対する嫉妬 4.相手に対する軽蔑 5.相手が自分を「軽蔑している」という感じがすること 6.相手が自分を「嫌っている」という感じが...
p83.嫌いの八つの原因 1.相手が自分の期待に答えてくれないこと 2.相手が現在あるいは将来自分に危害を加える恐れがあること 3.相手に対する嫉妬 4.相手に対する軽蔑 5.相手が自分を「軽蔑している」という感じがすること 6.相手が自分を「嫌っている」という感じがすること 7.相手に対する絶対的無関心 8.相手に対する生理的・観念的な拒絶反応 p150.「自分では他人から憎しみお受けていると想像し、しかも自分が他人から憎しみを受けるいかなる原因でもないと信じるものは、かえってその人に憎しみを持つに至る」スピノザ p155.相手を追及しても埒が明かない。相手は何しろ「あなただから」嫌いという自覚があるのですから。そして、その背後でどんな不合理な要因が働いているか当人にも分からないのですから。 p165.「われわれが相手にうんざりしても、その人を大目に見てやることが多いが、われわれにうんざりするような相手は容赦できない」ラ・ロシュフコー p169.「成功は人々を虚栄、時が主義、自己満足に陥れて台無しにしていsます、という一般の考えは間違っている。あべこべに、それは大体において人を謙譲、寛容、親切にするものである。失敗こそ、人を苛烈冷酷にする」モーム p173.「誤った観念に属する積極的なものは、真なる概念が現れても、それが真であるというだけではなんら除去されない」スピノザ p191.相手を嫌わざるを得ないし、嫌われざるを得ない。それが自然なのであり、しかもだからといってそれに安住しているのではなく、だからこそその醜さを克服しようとする、そこに人生の価値があるのだ p205.自己嫌悪の強い人は自分の他人に対する好意が(恐怖からであって)し善意出たものではないので、他人の行為に対してもどうも素直になれない。 p210.人を好きになるということと同様人を嫌いになるということの自然性にしっかりと目を向けよ p213.「交際相手としては決して愉快ではないが、しかし最も役立つのは敵であろう。それは、彼らが将来友となる場合もままあるからというだけではない 。とりわけ、敵から最も多く自分の欠陥を率直に明示され、それを改めるべく強い刺激を受けるからであり、また敵は大体において人の弱点について最も正しい判断を持つからである。結局、我々は敵の鋭い監視の下に生活するときにのみ、克己、厳しい正義愛、自分自身に対する普段の注意といった大切な諸徳を、知りかつ行うことを学ぶのである。」カール。ヒルティ p219.私達の周りになければならないのは、快楽であり人生です p224.どんなに私が好きでも、相手は私を嫌う。逆にどんなに相手が私を好いてくれても、私は彼(女)が嫌いである。これが、うそ偽りの無い現実なのです。とすれば、それをごまかさずにしっかり見据えるしかない。
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この類の自己啓発本?では一番テンション上がった 色々最近立ち読みするくそみたいな啓発書籍にはないだめさ加減と肯定感。 なによりも著者のだめっぷりに共感した。
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中島義道という人が優れた書き手かどうかはひとまず置いておいて、人を嫌いになったら、あるいは誰かを嫌いな自分に嫌気がさしたら、自ずとこの本に興味が湧いて来るでしょう。氏は嫌われ者らしく(それが最も面白いポイントである)、それ故「嫌う」こと「嫌われる」ことについて、この本の他にも数冊...
中島義道という人が優れた書き手かどうかはひとまず置いておいて、人を嫌いになったら、あるいは誰かを嫌いな自分に嫌気がさしたら、自ずとこの本に興味が湧いて来るでしょう。氏は嫌われ者らしく(それが最も面白いポイントである)、それ故「嫌う」こと「嫌われる」ことについて、この本の他にも数冊書き上げている程に考えをうんぬんかんぬん巡らせている。「嫌われること」を本にしてしまっている時点で、氏を嫌っている人はますます嫌いになる事必須である。もちろんそんなことに本書は触れる訳ないのだ。目次構成がぱらぱらしているので、僕はいつも風呂に入りながら読んでます。
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最近他人に対して腹が立つことが多い気がしたので読んでみた本。 改めて、自分がどれだけ理不尽に他人を嫌っていたのかに気付いた。そして、ムカっとした時に「何故?」を考えるようにしたら少し頭が冷えて気持ちが楽になった。 嫌いを病的に排除するより自然なものとして受け止める方がいいに賛成...
最近他人に対して腹が立つことが多い気がしたので読んでみた本。 改めて、自分がどれだけ理不尽に他人を嫌っていたのかに気付いた。そして、ムカっとした時に「何故?」を考えるようにしたら少し頭が冷えて気持ちが楽になった。 嫌いを病的に排除するより自然なものとして受け止める方がいいに賛成。何度も再読したい本。
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<印象に残った点> ・人を嫌うこと自体は食欲、性欲と並んで、自然なこと。 ・ある人が生理的に嫌いであればある程、差し当たり努力してその原因を突き止めること。 ・嫌いの原因を探ることは、絶大なプラス効果がある。自分の理不尽、盲目さが見える。ゆえに、自己批判的に人生を見られる。他人か...
<印象に残った点> ・人を嫌うこと自体は食欲、性欲と並んで、自然なこと。 ・ある人が生理的に嫌いであればある程、差し当たり努力してその原因を突き止めること。 ・嫌いの原因を探ることは、絶大なプラス効果がある。自分の理不尽、盲目さが見える。ゆえに、自己批判的に人生を見られる。他人から嫌われても、冷静に原因を考えれば、大抵の場合許せる。本当の意味で寛大になれる。
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ひきこもりにして、厨二病患者の中島先生が説く、「嫌い」との向き合い方。中島先生の本の中でこれが一番好きです。普通の人は躓かないような小さな小石に躓いて、それを拾い上げて論理的に文句を言う、そんな感じ。
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