ひとを“嫌う"ということ の商品レビュー
理不尽な理由で他人を嫌う、あるいは他人から理不尽な理由で嫌われるということそのものを、自分自身の在り方の現れとして肯定している。
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善人が猛威を振るう日本。善人幻想をわずかでも打ち砕こう、という本。とにかく人を嫌って生きてきた、ということが滔々と描かれている。 嫌いを肯定することは、豊かな人生である、という著者にはどんな正義をぶつけても揺るがないだろう。「中学生日記」のような「善意」が「嫌い」を駆逐するよう...
善人が猛威を振るう日本。善人幻想をわずかでも打ち砕こう、という本。とにかく人を嫌って生きてきた、ということが滔々と描かれている。 嫌いを肯定することは、豊かな人生である、という著者にはどんな正義をぶつけても揺るがないだろう。「中学生日記」のような「善意」が「嫌い」を駆逐するようなものを蛇蝎の如く嫌う。あれ、嫌うんならいいのか? 人は誰かを嫌うのはわりと大丈夫であっても、その相手に嫌われていることを知ると悶えたりする。まあ、嫌うというのは性欲のようなもので、毒もあるけれど抹殺せずに活用しようといわれれば、そうだよな、と思うではないか。 嫌うということが繰り返し賛美される。いや、そうでもなくて、仕方のない感情なのだけど、いいじゃないか、味わい深いのだよ、と。 そうして、憎悪や恐怖はちょっとイヤだけど、嫌い、という微妙な感情ぐらいなら、懐にきちんと置いておきたいなあ、という気持ちになってくる。 あとがきの出版社スタッフに対する「おふたりがあまり嫌いでないのが残念です……。」までパンチが効いている。でもまあ、素直に好きになっちゃいけないな、この本も。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
昔は人を嫌うことも嫌われることもほとんどなかったのに、最近、どうも人を嫌い、人から嫌われることが多くなった。 人間的に成長しているはずなのに、これはどういうことなのだろうと思っていたところ、この本に出会った。 以下、勝手な解釈。 人を嫌うことは、人を好きになるように自然な感情。 人を嫌うことを避ける気持ちは、自己愛から来る自己防衛。 もっと素直に人を嫌い、人から嫌われればいいではないか。 もっと自然にありのままの自分でいようと思える本。
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嫌うということをありのままに受け止めることがより豊かな人生につながる。 興味深かったのは、人は嫌うという感情を自分から払拭したいがために、自分で都合の良い原因(嫌いなところ)を見つけ、それに全てのマイナス感情を被せるということ。
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この本は人を嫌うことを「奨励」してるのではないというところがポイントかな.誰かを嫌ってしまった時は,嫌いだ嫌いだで進展なく終始したり感情的になったりせずとりあえず冷静に原因を考えてみる.それで解決しなくても,愛情の裏返し,人生の一つの味わいとして受け止めれば楽になる.
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人は何故人を嫌うのかを研究した本。ですが・・内容なだけに当然ネガティブオーラ満載でパンドラの箱を空けて真実を追求する度胸の無い私のような人はそのオーラのため途中で読むのを断念しました。
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自身の体験をまじえながら「ひとを嫌う・ひとに嫌われる」ということを考え抜いた本。文庫本だしそれほど厚みもないのでさらっと読めるかな?と思ったら想像以上に濃い内容に驚いた。 本書の内容には深入りしない。 ただ、著者のいうように、「嫌い」に代表されるいわゆる「ネガティブ感情」に対す...
自身の体験をまじえながら「ひとを嫌う・ひとに嫌われる」ということを考え抜いた本。文庫本だしそれほど厚みもないのでさらっと読めるかな?と思ったら想像以上に濃い内容に驚いた。 本書の内容には深入りしない。 ただ、著者のいうように、「嫌い」に代表されるいわゆる「ネガティブ感情」に対する社会的な抑圧は非常に厳しい。 明るいこと、ポジティブであること、前向き・積極的であること たしかにこれらは社会生活を営む上で好ましい要素である。しかし、これらを奨励しすぎるあまりにその逆であるネガティブなものを社会的に必死で抑圧しようとする。その反動だろうか、本書のようなものが登場する始末。 しかし一方で、そうした好ましい要素をもつ人の方が、社会的には有利に過ごせる、という事実がある。だからこそ、好ましい要素が奨励され、本来は自然であるはずのネガティブな感情から目を背けてしまう。 著者が語るように、そうしたネガティブな感情とうまくつきあう術をすでにもっている人には価値のない本だろう。一方、そうした感情とうまく折り合いの付けてこられなかった人には、一読をおすすめする。
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ひとを嫌うということに関して、とことん追求した作品。 色々な人の言葉を折り込みながら、突き詰めていく流れなのですが、少し複雑になっていく感じで、あまり読みやすくはなかったです。
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好きと嫌いは表裏一体、蓋をするのではなく、正確に見届けることは、豊かな人生を築く一環である。 好きが強いと嫌いも強い、好きが弱いと嫌いも弱い。そんな気がします。
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そんなにおもしろい本でもないけど、「ひとを好きになることと同様ひとを嫌いになることの自然性にしっかり目を向けよ」(嫌うことも自然だし、嫌われることも自然)ということが一貫して書いてあって、なんとなく気が楽になった気がした。
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