キヤノン特許部隊 の商品レビュー
この本は、キャノンの特許部門創世期から携わり、最終的にはキャノンの副社長にまでなった方の体験談と特許によるさまざまな国の考え方の違い、日本という国のあり方の矛盾について考えさせられる一冊でした。 元々、この著者の方は技術者志望だったのを特許部門に強制的に引き入れられてしまったと...
この本は、キャノンの特許部門創世期から携わり、最終的にはキャノンの副社長にまでなった方の体験談と特許によるさまざまな国の考え方の違い、日本という国のあり方の矛盾について考えさせられる一冊でした。 元々、この著者の方は技術者志望だったのを特許部門に強制的に引き入れられてしまったところから始まる。 かわいそうに・・・ 言うなれば、デザイナーにWordしか与えないような生活だ。惨い。惨すぎる。 しかも、当時の仕事としては、特許書類を裁判所に持って行くだけの伝書鳩的な役だったので、特にやりがいもなく・・・技術部署に入り浸っては、コピー機研究をそばでみてきていたそうな・・・・ ところが、ゼロックス社とのそのコピー機を巡る特許争いにより、彼の日常が激変するのだった。・・・ 今まで、研究室に入り浸っていたからこそできたこと、ゼロックスのコピー機に抵触しない特許申請を成し遂げていくサクセスストーリー。もちろんその中でも苦い失敗もある。 例えば、計算機の特許。 実は、会社に内緒で、研究チームが勝手にかつ秘密裏に計算機の開発をし、出来上がった段階で会社に明示するという出来事が過去にあったそうだ。 その中で、もちろん秘密裏だったため、この著者もその研究を初めから知らないわけであるから、その計算機の素晴らしさ、他社との機能、製法の違いがわかるわけもなく、将来的にその計算機の性能や構造で、他の開発でもサイクル可能なものがなんなのかもわからず、ただ、現状の機能を示すしかなかったそうだ。 ようは、現状のモノとしての技術の特許はとったが、将来的にその開発技術にまつわる特許の申請ができなかったということだ。今がよければすべてよしというのは、通用しない。将来的なビジョンを描けてこその特許だということを強くそれは示している。 特許に関わらず、将来ビジョンを描き続けることは重要だ。 シュミレーション。どうありたいか。今までの自分は、どう描いてきたかが必要なのだ。ぶっちゃけ、運命に流されている感もある。本人の知らず知らずのうちに道が開かれているのだ。
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Canonって「キヤノン」と書いて「きゃのん」と読むんですね。スリリングな体験談満載で、読み物としては文句なしに面白いです。知財の勉強を目的に読むとアテが外れるかも。キムタクを主役にドラマ化すれば、知財への関心も高まるかも。知財業界の大御所丸島氏ですが、まだまだ現役という感じがし...
Canonって「キヤノン」と書いて「きゃのん」と読むんですね。スリリングな体験談満載で、読み物としては文句なしに面白いです。知財の勉強を目的に読むとアテが外れるかも。キムタクを主役にドラマ化すれば、知財への関心も高まるかも。知財業界の大御所丸島氏ですが、まだまだ現役という感じがしました。一度直接話を聞いてみたいものです。(2008-05-27読了)
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要点が非常に整理されており、読者に優しい本だった。特許になんとなく興味を抱いているものの、未だ漠然としたイメージすら掴みかねている学生さんなんかに薦めたい。☆4つ。
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特許というとそれでロイヤリティーを稼ぐことが目的のように思われてしまうが、本当の目的は他社が持っている特許技術を利用するための駆け引きのカードとして使い、最終的に優れた製品を作って売って儲けるというの本来の目的と説く。 巨人ゼロックスを初め、早くからアメリカに乗り込んで渡り合って...
特許というとそれでロイヤリティーを稼ぐことが目的のように思われてしまうが、本当の目的は他社が持っている特許技術を利用するための駆け引きのカードとして使い、最終的に優れた製品を作って売って儲けるというの本来の目的と説く。 巨人ゼロックスを初め、早くからアメリカに乗り込んで渡り合ってきた経緯も興味深い。
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'07/04/26購入。'07/05/28読了。 丸島さんの本ということで,読む前は,ゼロックスとの戦いの話ばかりかと思っていたが,そうでもなかった。日本の特許の現状だけでなく,丸島さんの特許に関する考え方や,丸島さんの考える,これからの日本のプロパテントのあ...
'07/04/26購入。'07/05/28読了。 丸島さんの本ということで,読む前は,ゼロックスとの戦いの話ばかりかと思っていたが,そうでもなかった。日本の特許の現状だけでなく,丸島さんの特許に関する考え方や,丸島さんの考える,これからの日本のプロパテントのあり方などが書いてあり,良い意味で期待を裏切られた。ただ,その分,知財に関して初心者が読むには少し難しいかも。もう少し知財の法律や科学技術に関する勉強をしてから,もう1度読みたいと思う。
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特許という無形の財産がビジネスモデルになりえるということを示した書。読んでいて面白い。 感じたことは特許がいくら収益になるからといっても、それは「事業ありき」という土台があってのこと。ここにキヤノンの真髄が見えた。 キヤノンが成功した背景に日本企業と一線を画した経営があったことに...
特許という無形の財産がビジネスモデルになりえるということを示した書。読んでいて面白い。 感じたことは特許がいくら収益になるからといっても、それは「事業ありき」という土台があってのこと。ここにキヤノンの真髄が見えた。 キヤノンが成功した背景に日本企業と一線を画した経営があったことに面白い。確かに日本での特許事業が根付く土壌が必要という事実も否定できない
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今まで特許というものをみくびっていたかもしれない。特許は本業を支える大きな柱の一つでした。 キャノンの成功を影から支えたのも特許でした。企業戦略に特許を組み込むことにより、米大企業との 交渉でも自社に有利な契約を結べることが証明されました。 私が面白いと感じた特許形態はクロスライ...
今まで特許というものをみくびっていたかもしれない。特許は本業を支える大きな柱の一つでした。 キャノンの成功を影から支えたのも特許でした。企業戦略に特許を組み込むことにより、米大企業との 交渉でも自社に有利な契約を結べることが証明されました。 私が面白いと感じた特許形態はクロスライセンスです。クロスライセンスとは、ライセンスを許諾する代わりに 金銭ではなくそのライセンスに見合う技術を提供してもらう契約です。ここでの交渉はこちらの手の内を最小限にして 相手から必要なライセンス提供を受けるという駆け引きをすることになります。交渉上手ということは駆け引き上手 といことが言えます。特許を有効に利用することの重要性はこれからもっと高くなるでしょう。
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