シェエラザード(下) の商品レビュー
下巻でいよいよ最悪の結末へと突き進む物語。 太平洋戦末期、軍に徴収され特殊任務を与えられた、日本が世界に誇る豪華客船の弥勒丸。船乗りは、自分の乗る船を女性に例える。その美しい彼女と運命をともにする彼らの崇高な心に胸を打たれる。 今を生きる日本人に、「良心」とは何かを切実に...
下巻でいよいよ最悪の結末へと突き進む物語。 太平洋戦末期、軍に徴収され特殊任務を与えられた、日本が世界に誇る豪華客船の弥勒丸。船乗りは、自分の乗る船を女性に例える。その美しい彼女と運命をともにする彼らの崇高な心に胸を打たれる。 今を生きる日本人に、「良心」とは何かを切実に訴えかける娯楽大作だ。 クライマックスで、死出の旅に出る弥勒丸。その航跡を思いながら、泣けてきそうになった。
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浅田次郎の太平洋戦争を主題にした小説。厚みのあるストーリー展開です。 弥勒丸引き揚げ話をめぐって船の調査を開始した、かつての恋人たち。謎の老人は五十余年の沈黙を破り、悲劇の真相を語り始めた。私たち日本人が戦後の平和と繁栄のうちに葬り去った真実が、次第に明るみに出る。美しく、物悲しい「シェエラザード」の調べとともに蘇る、戦後半世紀にわたる大叙事詩、最高潮へ。 映像を先に見たのがよかった。映画ではあまり感動しなかったものの、小説は本当に面白く感動した。やっぱり浅田次郎の小説は映画化すべきではないかな。
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読んだきっかけ:妻が買った。 かかった時間:12/7-12/11(5日くらい) あらすじ:弥勒丸引き揚げ話を巡って船の調査を開始した、かつての恋人たち。謎の老人は五十余年の沈黙を破り、悲劇の真相を語り始めた。私たち日本人が戦後の平和と繁栄のうちに葬り去った真実が、次第に明...
読んだきっかけ:妻が買った。 かかった時間:12/7-12/11(5日くらい) あらすじ:弥勒丸引き揚げ話を巡って船の調査を開始した、かつての恋人たち。謎の老人は五十余年の沈黙を破り、悲劇の真相を語り始めた。私たち日本人が戦後の平和と繁栄のうちに葬り去った真実が、次第に明るみに出る。美しく、物悲しい「シェエラザード」のの調べとともに蘇る、戦後半世紀にわたる大叙事詩、最高潮へ。(裏表紙より) 感想:オチはある程度想像した通りだったが、なかなか楽しめました。
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物語は過去と現代を行き来しながら展開。 当時から謎だらけだった弥勒丸。 冒頭のワクワク感は、乗組員やここに関わった人々のやるせない思い、その時の状況、そしてその後の人生を知るにつれ、切ないものへと変わってゆく。 「シェエラザード」検索してみれば、クラシックに疎いながらも耳に覚えのある曲。 何度も自慢げに語られる弥勒丸のその優美な姿に思いをはせながら聴き入ってしまいました。
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阿波丸事件をもとにしたフィクションです。 読めば読むほど、弥勒丸の美しさに惹かれていきました。 モデルとなった阿波丸も素晴らしい船だったのだろうと思います。
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――――昭和20年、嵐の台湾沖で、2300人の命と 膨大な量の金塊を積んだまま沈んだ弥勒丸(みろくまる)。 その引き揚げ話を持ち込まれた者たちが 次々と不審な死を遂げていく。 いったいこの船の本当の正体は何なのか。 それを追求するために喪われた恋人たちの 過去を辿る冒...
――――昭和20年、嵐の台湾沖で、2300人の命と 膨大な量の金塊を積んだまま沈んだ弥勒丸(みろくまる)。 その引き揚げ話を持ち込まれた者たちが 次々と不審な死を遂げていく。 いったいこの船の本当の正体は何なのか。 それを追求するために喪われた恋人たちの 過去を辿る冒険が始まった。 日本人の尊厳を問う感動巨編。 浅田次郎の長編は『蒼穹の昴』以来久しぶりです さすがは浅田次郎、間違いなかった。 同著者の『日輪の遺産』と合わせて読んでもらえば 「大東亜戦争」(あえてこの名前で書きます) に対する価値観が変わることうけあいです 終章では、不覚にも電車内で泣いてしまいました
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最後は涙が止まらなかった。 船長の最後の電文があまりにも美しく悲しい。世界を読みきれなかった日本が自ら招いた悲劇の物語。
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読了後、思わず普段は飲まないお酒を飲んでしまった。そのくらいやるせなさを感じた。切なすぎて弥勒丸の最期のシーンはちゃんと読むことができなかった。やっぱり戦争っていけないなぁとしみじみ思った。 とても面白かったけど、久光律子が理解できなかったのと、ラストが切なすぎたので★4つ。
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常夏のシンガポールを舞台に、明白な「終焉へのシナリオ」に贖いながらも、そこへ向かって一直線に落ちてゆく人々。それを宿命、戦時の悲劇と呼ぶにはあまりに悲しすぎる。 この船の運命を先に描く事で、あえて撃沈の瞬間の描写は読者の想像力に託し、安っぽいパニック小説化を防ぎ、愛、生、良心を重...
常夏のシンガポールを舞台に、明白な「終焉へのシナリオ」に贖いながらも、そこへ向かって一直線に落ちてゆく人々。それを宿命、戦時の悲劇と呼ぶにはあまりに悲しすぎる。 この船の運命を先に描く事で、あえて撃沈の瞬間の描写は読者の想像力に託し、安っぽいパニック小説化を防ぎ、愛、生、良心を重厚に描ききった。 同氏著書でカテゴリーの被る「日輪の遺産」よりもこちらの方が好きかな。。
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決して悪い作品ではないと思うが、釈然としない、納得できないところもあり、いまひとつ話に乗って行けなかった。 まず、シンガポールから金塊を上海に持っていかなければならない動機、これが腑に落ちない。 不条理な理由でも構わないのだが、不条理なりの納得がほしい。 例えば、もっと狂信的に日本の勝利を信じている人がいて、上海の汪兆銘政権維持を至上命題と感じ行動しているなら、わかりやすいと思うのだが。 謎の台湾人宋の正体。 途中からそうだろうとは思ったが、その財力や組織力をどうやって築きあげたのか、そのあたりを語らないと無理がある気がする。 留次やターニャ他、その後日譚がないのも、すっきりしない。 途中でほおり投げられた感がかなりある。 弥勒丸のすごさをやたら強調するのだけれど、それにもやはりいまいち乗って行けない。 おいしいものをおいしいおいしいと書かれても、わからないように、すごいと思うには、すごいという文字ではなく、すごいと思わせるエピソードが必要でそれが十分でないと思う。 総じてパーツや素材を十分に活かし切れていないように感じた。
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