四日間の奇蹟 の商品レビュー
ピアニストの如月敬輔は、留学先のオーストリアで、強奪犯に襲われている日本人の親子連れを助けに入り、左の薬指を銃で撃たれて失ってしまった。夫婦は殺されてしまったが、身内が見つからないという娘・楠本千織を連れて帰国することとなった。脳に障害を持っていた千織だが、一度聴いただけで再現す...
ピアニストの如月敬輔は、留学先のオーストリアで、強奪犯に襲われている日本人の親子連れを助けに入り、左の薬指を銃で撃たれて失ってしまった。夫婦は殺されてしまったが、身内が見つからないという娘・楠本千織を連れて帰国することとなった。脳に障害を持っていた千織だが、一度聴いただけで再現することができるという才能を発揮し、ピアノを覚え、ホームの慰問活動を始めた。ある日、呼ばれて行った先の「国立脳科学研究所」で、ヘリコプターの墜落事故に巻き込まれ、千織を助けたスタッフの岩村真理子の魂が千織の中に入ってしまう。 ■話的にはよくあるパターンかな、とも思うけど、僕は好き。 死を目前にした人間のエゴ。そして人間が人間だといえる行動。 自分はこんな風に綺麗に身をひくことなどできるのだろうか。最後は切ない気持ちになりながら読みました。 映画も観てみたいかな。 2007.1.27〜1.28。
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久しぶりに本を読みました♪ これも泣けます! 「今の自分に価値を認める」ことの大切さを教えてもらいました。でも、これがなかなかできないんだよね(。_。*)))
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嫌な予感はしてたんだ。読破した人に教えていただきたい。…どこで泣くの?!涙が止まらないんじゃ…。 話の展開は、予想できそうで出来なくて、面白いとは思った。 彼女にとって、この4日間があったことが幸せなんだろうかと思った。…幸せだったんだろうけど。 でもせめてもの慰めだよなぁ、と...
嫌な予感はしてたんだ。読破した人に教えていただきたい。…どこで泣くの?!涙が止まらないんじゃ…。 話の展開は、予想できそうで出来なくて、面白いとは思った。 彼女にとって、この4日間があったことが幸せなんだろうかと思った。…幸せだったんだろうけど。 でもせめてもの慰めだよなぁ、とどこかで思っていました。うーん。
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生きていくほど怖くて不安で先の見えないものはないと思う。自分の居場所なんて誰も知らない。今見えるのは、今、生きているというそれだけで、それ以上の未来も、踏み締めて来た過去も見えはしない。そんな時間の流れの中で、生きていくという途方もない闇が、たった一瞬、眩しいくらいに色鮮やかに息...
生きていくほど怖くて不安で先の見えないものはないと思う。自分の居場所なんて誰も知らない。今見えるのは、今、生きているというそれだけで、それ以上の未来も、踏み締めて来た過去も見えはしない。そんな時間の流れの中で、生きていくという途方もない闇が、たった一瞬、眩しいくらいに色鮮やかに息づいて見える、その瞬間を『奇蹟』と人は言うのだろう。 穏やかに時間が流れていく。この小説に流れている時間は穏やかで緩やかだ。それが非現実的な真実を孕んでいるとしても、その流れは穏やかで優しい。だからこそ、受け入れられる温もりがあるのだと思う。死と隣り合わせの限られた時間。砂時計が音を立てて落ちていくように時間はこぼれおちていってしまう。だけど、そこにある日常はあくまで日常だった。眠って食べて、泣いて笑って。当たり前のように見える日常のどの一コマも、目を疑うほどに鮮やかに輝いて見えた。鮮やかな緑、燃えるような夕暮れ、落ちてくるような星空。朝には水の匂いがした。昼には日差しの匂いがした。そして夜には闇の匂いがした。いつもと同じ景色がこんなにも色づいて見えるのは、その背後に「死」が見えるからなのだろうか。流れ出すピアノの旋律の中にすべてがあるような気がする。静かに闇に溶け込むような始まり。刹那さと儚さが同居して、不思議に心地いい。そして、畳み掛けるように続く奔流に渦巻かれ、流されていく。そして、生き急ぎ、躓き、恐れ、が続く、続く。それが鮮やかすぎる生きているという色を滲ませていく。生きていくということがこんなにも激しく、こんなにも毒々しいほどに鮮やかな色をしているということに気付かされる。こんなにも静かでこんなにも穏やかなのに、こんなにも生きている、脈打つ時間を感じている。それが生きているということなのだろうか。眠る才能、失った未来、探してた居場所。たぶん、それがここにある。『奇蹟』だからこそ見える生きる瞬間が。
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脳に障害を負った少女とピアニストの道を閉ざされた青年が山奥の診療所で遭遇する奇蹟。ひとつの不思議なできごとが人々のもうひとつの顔を浮かび上がらす .... 【感想】
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脳に障害を負った少女とピアニストの道を閉ざされた青年が山奥の診療所で遭遇する奇蹟。ひとつの不思議なできごとが人々のもうひとつの顔を浮かび上がらす .... やってしまった。。。昔コレ読んだわ。。。でも読んじゃうから魅力あるんだね。
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SFファンタジーものはあまり好きじゃないジャンルだった。だって、あまりにも“むりやり”な展開があるから。 そこがSFファンタジーの醍醐味なのかもしれないけれど。 この作品の前に読んだ「ダヴィンチコード」のストーリーの重たさにしばらく、ずしっとはまっていたので、 “むりやり”...
SFファンタジーものはあまり好きじゃないジャンルだった。だって、あまりにも“むりやり”な展開があるから。 そこがSFファンタジーの醍醐味なのかもしれないけれど。 この作品の前に読んだ「ダヴィンチコード」のストーリーの重たさにしばらく、ずしっとはまっていたので、 “むりやり”きれいに形付け、きれいに何事もなかったように終わっていくであろうSFファンタジーにはあまり期待を持たず読み始まった。 気持ちを切り替えなければ読めないかな、ま、とにかく読んでみるかといった感じだったのだけれど。。。 ところがこの作品は、モチーフになっているものがピアノだったからか、作者の文章がストーリーをぐんぐん引っ張っていくようで、 それでいて文体そのものはまるで、映像を思わせるようなものであったからか、心にぴたっとくるものがあった。 文章そのもので読者を引き付けている、そんな作者なのかもしれない。 “むりやり”な墜落シーンには正直疑問を感じたけれど、あの展開がなかったらあのあとの話は成り立たないわけだし。 身体に心が乗りうるって行くシーンはちっとも“むりやり”には感じず、自然に涙が出てしまうほどだった。 声の掛け合い、実際にはありえない状態が文章化されているにもかかわらず、自然にその情景が思い浮かんできた。 生命そのものの死、生き様の死、そして、再生。 ピアニストが出くわしてしまった、ピアノの道への断念という名の死はきっと、なんともいいがたい辛い生き方をそれ以降強いられていたことだろう。 随所に見られる敬輔の苦々しい様子。 人々の好奇の目はそれがたとえ悪意でないものであったとしても、耐え難いものであったろうし、 天才的な才能をみせる千織のピアノを弾く様を見ているときでさえ、強烈な嫉妬が彼の中を行き来する。 心臓は動き、呼吸は正常にし、生命を維持するということにおいては何一つ、不自由がないにせよ、 ピアニストがピアノを弾けなくなるということは、死に値するのかもしれない。 死をともに生きていかなければならなかった敬輔は、何をしていても、幸せな感情など程遠かったのかもしれない。 何をしていても、生きている感覚など存在していなかったのかもしれない。 だけど、真理子はなぜ死ななければならなかったのかなぁ。 死んでしまった方がドラマティックだろうけれども、「奇蹟」というのであれば、真理子も再生してもよかったのではないかなぁと思わなくもない。 千織がその後、驚異的な回復を見せ、敬輔の念願がかない、真理子が死んでしまう。前者2つは確かに奇蹟だけど、なぜか真理子がかわいそう過ぎる。 人に尽くす生き方をする人は命が短くなってしまうのだろうか? そういえば「気」を操作し、使いこなす人たちは短命と聞いたことがある。 真意の程は分からないけれど、それほど人に尽くす人が短命だなんてなんだか、ちょっと解せない。 そう感じてしまう理由は多分、私自身がやっぱりハッピーエンドを好み、あまり人が死ぬシーンは好きではないことが原因なのかもしれないなぁ。 人が死ぬシーンは悲しすぎるから涙が出てしまうに決まっているし、それを「感動」とは呼びたくない。 真理子は命を落とすことになっていると自分で悟り、死にたくない、なぜ私が死ななくてはならないのかと苦しみ、 そういった時間を経てから、敬輔とピアノを前にして、「あたし、もう、十分」といったときの真理子は、 きっとこれまでいい人生だったと心底思えたからこその言葉がだせたのかもしれない。 私はまだ自分がそんな場面には遭遇したこともなければ、そんなところに遭遇するのを想像するのも恐ろしいと感じてしまうけれども、 真理子の気持ちが、魂が、心が、オーラが(どんな名詞を使えばいいのか分からないな)きれいな形を作って、 きれいな色を放ちだして、満足し、そして旅たてる準備が万端になったからこそ言えるのかな。 それにしても、やっぱり、何も死ななくてもいいのではないかと思ってしまう・・・。 最後のシーン。敬輔が「月光」を弾く場面は涙がでた。真理子はきっと、敬輔の「月光」に聞き入りながら、星空の下逝ったのだろう。 このシーンは映画でどんな風に映像化されているのかなぁ。「月光」を聞いただけでも涙が出てくる気がするなぁ。
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生きていくほど怖くて不安で先の見えないものはないと思う。自分の居場所なんて誰も知らない。今見えるのは、今、生きているというそれだけで、それ以上の未来も、踏み締めて来た過去も見えはしない。そんな時間の流れの中で、生きていくという途方もない闇が、たった一瞬、眩しいくらいに色鮮やかに息...
生きていくほど怖くて不安で先の見えないものはないと思う。自分の居場所なんて誰も知らない。今見えるのは、今、生きているというそれだけで、それ以上の未来も、踏み締めて来た過去も見えはしない。そんな時間の流れの中で、生きていくという途方もない闇が、たった一瞬、眩しいくらいに色鮮やかに息づいて見える、その瞬間を『奇蹟』と人は言うのだろう。 穏やかに時間が流れていく。この小説に流れている時間は穏やかで緩やかだ。それが非現実的な真実を孕んでいるとしても、その流れは穏やかで優しい。だからこそ、受け入れられる温もりがあるのだと思う。死と隣り合わせの限られた時間。砂時計が音を立てて落ちていくように時間はこぼれおちていってしまう。だけど、そこにある日常はあくまで日常だった。眠って食べて、泣いて笑って。当たり前のように見える日常のどの一コマも、目を疑うほどに鮮やかに輝いて見えた。鮮やかな緑、燃えるような夕暮れ、落ちてくるような星空。朝には水の匂いがした。昼には日差しの匂いがした。そして夜には闇の匂いがした。いつもと同じ景色がこんなにも色づいて見えるのは、その背後に「死」が見えるからなのだろうか。流れ出すピアノの旋律の中にすべてがあるような気がする。静かに闇に溶け込むような始まり。刹那さと儚さが同居して、不思議に心地いい。そして、畳み掛けるように続く奔流に渦巻かれ、流されていく。そして、生き急ぎ、躓き、恐れ、が続く、続く。それが鮮やかすぎる生きているという色を滲ませていく。生きていくということがこんなにも激しく、こんなにも毒々しいほどに鮮やかな色をしているということに気付かされる。こんなにも静かでこんなにも穏やかなのに、こんなにも生きている、脈打つ時間を感じている。それが生きているということなのだろうか。眠る才能、失った未来、探してた居場所。たぶん、それがここにある。『奇蹟』だからこそ見える生きる瞬間が。
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なんと言ってもピアノが絡んでるので演奏シーンがあるんですが、表現がすごい緻密です。 楽譜がわからない人でも容易に想像できるほど綺麗に描かれています。 療養センターで真理子という人物に会うんですが、彼女のおしゃべりで明るい性格がとても好きです。 そして彼女の身の上話に泣かされるもの...
なんと言ってもピアノが絡んでるので演奏シーンがあるんですが、表現がすごい緻密です。 楽譜がわからない人でも容易に想像できるほど綺麗に描かれています。 療養センターで真理子という人物に会うんですが、彼女のおしゃべりで明るい性格がとても好きです。 そして彼女の身の上話に泣かされるものがありました。 淡々と物語は進んでいくんですが、いきなり衝撃を受けるような事が起こるので一瞬置いていかれそうになりました。 展開が読めず後半部分先が気になり一気に読んでしまいました。 全体的に表現力が細かくて登場人物の個性がよく出ているのでリアル感を伴いすんなり入ってきます。 2004.11.12読了
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ミステリーと銘打ってありますが、いまいちピンときません。それよりは普通に読み進めて行った方がいいような気がします。327頁の真理子と敬輔のやりとりが印象的。
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