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月の裏側 の商品レビュー

3.4

316件のお客様レビュー

  1. 5つ

    34

  2. 4つ

    103

  3. 3つ

    119

  4. 2つ

    31

  5. 1つ

    5

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2020/05/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

箭納倉のじっとりした描写が印象的。 彩りのない、暗いフィルターを一枚通したような景色を想像しながら物語を読み進める。 各チャプターの頭に違う時系列の文章が挿入されており、終盤で「あれこの文章読んだことある」と既視感(既読感?)が。 得体の知れない何かによって、「盗まれる」、、 その未知の、不確かな何かが迫る不気味さがが怖い。 寝る前に読んで後悔したこともあったけど、 結局夜読んだ方がしっくりきたので怖がりながら読みました。 あと、白雨は顔に茶色のブチがある、と書いてあったけど、表紙の猫ちゃんは白雨じゃないのかなぁ。。

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2020/03/29

水は怖い どこかとつながってる気がする 街中に毛細血管のように掘割が張り巡らされている 九州の水濠都市、箭納倉 小さな町で失踪事件が起こるが、当人はいつの間にか 戻ってくる 失踪していた頃の記憶をなくしているものの、災難に 感じているそぶりもない どんよりとした曇空、玄関先...

水は怖い どこかとつながってる気がする 街中に毛細血管のように掘割が張り巡らされている 九州の水濠都市、箭納倉 小さな町で失踪事件が起こるが、当人はいつの間にか 戻ってくる 失踪していた頃の記憶をなくしているものの、災難に 感じているそぶりもない どんよりとした曇空、玄関先の水たまり、やまない雨、 どこへ行っても掘割に囲まれた街…水に見張られている ような恐怖 いつも見られてる、どこからかわからないけど、“それ”は いつも見ている 映画『来る』に近い 文学しりとりが面白い 長ぐつ履いて寝るのは辛いなー

Posted byブクログ

2020/03/12

以前「月の裏側」を読んで塚崎多聞が再登場していると 読了後に知ったので、初登場しているこの作品を手に取りました。 この作品も「月の裏側」と少し同じようなテイストで SFとホラーとミステリーが混ざったような 不気味な独特な雰囲気でページをめくるごとにドキドキとしました。 得体の...

以前「月の裏側」を読んで塚崎多聞が再登場していると 読了後に知ったので、初登場しているこの作品を手に取りました。 この作品も「月の裏側」と少し同じようなテイストで SFとホラーとミステリーが混ざったような 不気味な独特な雰囲気でページをめくるごとにドキドキとしました。 得体の知らない、分からないものにびくびくしながらも、 その正体を恐れずに暴こうとしたり、 マイペースな多聞の性格にちょっと驚いてしまいます。 怖さの心理について時々多聞が語っていた所が印象的でした。 得体の分からない物の正体が分からないからこそ どんどんと人間の想像力が増していき、 更に怖さが増していくという本能。 それと 恐怖と愛情は似ている。 恐怖は愛情を産むのがセオリーだ。 恐怖を一緒に体験することで、愛のエネルギーは増強される。 恐怖について語っていると、その反動で愛について語りたくなる。 人々は恐怖を語ることで愛を語るのだ。 まさに人間の想像力くらい怖いものは無いと言える ストーリーになっていて、この裏には何が潜んでいるのかと そればかり探ってしまいました。 月の裏側というタイトルなので、 もしかしたら表側だと思っていた世界が 実は裏側だったということもあり得るので それも考えながら読んでいましたが、 結局何が何だかよく分からないで終わってしまいました。 ただじめじめとした暗い場所や水の中、 そして雨や川といったものがかなりはっきりとした正体が 分からないにもかかわらずゾクゾクとした怖さを出しているなんて 恩田さんの表現力の描写には凄いと思いました。 読んでいる時期が冬だったのでそれ程の怖さが まだ身に沁みませんでしたが、梅雨や夏場だったから この不気味さは半端ないかと思います。 読解力が乏しいのでレビューを書くのも難しいですが、 じわじわと迫りくる恐怖を味わってみたい方、 この不気味な正体を暴いてみたい方は読んでみて下さい。

Posted byブクログ

2020/01/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2000年の作品 何となく、リズム感がないように感じて読みづらかった。 もっと、藍子・多聞目線で物語を展開したほうがよかったかな? 「蒲鉾」人間はどうしてできるのか?ミステリーの謎 女性たちは多聞のどの面がいいのか?顔、センス? 昔々、一方的に好きになられても答えられない私がいたな・・・モテたわけでもないが。忘れていたけど。 (小・中・大学・社会人時代)

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2019/12/15

蒸し暑さ、ジメジメした梅雨の夜のような感覚をずっと持ったまま読まされていく話。体調が悪いときに読んだこともあり、怖かった。心理的に、精神的に怖かった。私は変わり者と言われることが少なくない。というか、自分の考え方や感覚が周りの感覚と異なることをよく感じることがあるだけに、こちら側...

蒸し暑さ、ジメジメした梅雨の夜のような感覚をずっと持ったまま読まされていく話。体調が悪いときに読んだこともあり、怖かった。心理的に、精神的に怖かった。私は変わり者と言われることが少なくない。というか、自分の考え方や感覚が周りの感覚と異なることをよく感じることがあるだけに、こちら側とあちら側とか、マイノリティーでいいと思いながらもそれで本当にいいのか、ということを凄く考えさせられた。。。

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2019/12/03

この世の小説というものの中には説明できないこと、説明しなくてもいいことがあるんじゃないかって。恩田さんの作品は後者で割り切ったものが多いように思います。 「月の裏側」、この作品はホラーと分類されるようですが、いわゆる幽霊っぽい怖さはありません。自分はマジョリティに属していると思...

この世の小説というものの中には説明できないこと、説明しなくてもいいことがあるんじゃないかって。恩田さんの作品は後者で割り切ったものが多いように思います。 「月の裏側」、この作品はホラーと分類されるようですが、いわゆる幽霊っぽい怖さはありません。自分はマジョリティに属していると思っていたのに気づいた際にはマイノリティの側に追いやられてしまうのではないかという恐怖感。誰がどちらに属し、誰が自分の側から離れて反対の側にいってしまうのか。組織の中にいてもこういう場面に立たされることは多々あります。ある意味でこれは幽霊と出会うよりも遥かに怖い瞬間、場面。これを広い意味でのホラーと考えるとこの作品で描かれるホラーは究極的に怖いです。 いつの世にもマイノリティがマイノリティでいるには強い意志が必要です。ただ、人はその強い意志を貫かなくてはならない理由を見失った時、またはその戦いに疲れ果てた時、逆にマジョリティの側に染まってしまいたい憧れ、欲求に苛まれる時があります。この作品では、そういった葛藤が、恩田さんらしい登場人物の心の内や緻密な情景描写と共に読み手に迫ってきます。マジョリティに染まることへの戦い。ところが不思議なもので、戦うことを止め、一旦マジョリティに染まってしまうと逆に今までの葛藤は何だったのかという位に安心感に浸ってしまうものです。迫ってくる波と過ぎ去った波といった感じでしょうか。この作品でもこの辺りの緊張と弛緩が見事に描き分けられていました。 大波が去って凪いだ海を見るかのような雰囲気が漂う結末。この何とも言えない、爽やかささえ感じる寂寥感がたまらない、そんな作品。思った以上に深いです。

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2019/09/18

水路が張り巡らされたとある町で連続失踪事件が起こるが、いずれのケースも失踪者はある日ひょっこり戻ってくる。しかし失踪していた期間の記憶はない。 これに興味を持った元教師と新聞記者、偶然里帰りした元教師の娘、なぜか巻き込まれた元教師の教え子がこの謎に挑む。 が、いわゆる証拠集めをし...

水路が張り巡らされたとある町で連続失踪事件が起こるが、いずれのケースも失踪者はある日ひょっこり戻ってくる。しかし失踪していた期間の記憶はない。 これに興味を持った元教師と新聞記者、偶然里帰りした元教師の娘、なぜか巻き込まれた元教師の教え子がこの謎に挑む。 が、いわゆる証拠集めをして推理をして大立ち回りがあって謎が解ける、みたいなミステリーの定石ではなく、けっこう序盤に謎の核心である不思議な現象を目の当たりにしてしまうので、謎解きがメインな話ではない印象。 失踪して戻ってきた後の状態に対して自分はどんなスタンスをとるべきなのか、という葛藤あたりが作者としては言いたいことなのかな、とも思ったりするがそのへんは最後の方にちょっと書いてあるだけなので、正直よくわからない。みんなが右を向いたら自分も右を向いてしまう風潮、しかもそのことに疑問も持たずに受け入れてしまうということを失踪した町の人たちに重ね合わせて描いているのかもしれないが、モヤモヤ感が残る。

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2019/08/20

恩田陸らしいホラーとSF要素の絡み合った作品。 『月の裏側』というタイトルとストーリーが結び付かなかったけれど、解説を読んで納得した。 ついつい、人が消えるその事象そのものや、何者かに「盗まれる」ことへの怯えを表面的に捉えてしまうけれど、でも実際、何がマジョリティーで何がマイノリ...

恩田陸らしいホラーとSF要素の絡み合った作品。 『月の裏側』というタイトルとストーリーが結び付かなかったけれど、解説を読んで納得した。 ついつい、人が消えるその事象そのものや、何者かに「盗まれる」ことへの怯えを表面的に捉えてしまうけれど、でも実際、何がマジョリティーで何がマイノリティーなのか、どちらが現実でどちらが夢なのか、そのことは誰にも証明できない事実に気づけば、この作品の深さを感じさせられると思う。

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2019/08/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

旅行のとき、移動中の時間つぶしに古本屋で買った、という出会い。 こーゆう終わり方かー 元凶を退治してめでたしめでたしなのかと思ったけど、これも1つと平穏な形で終わったってことなのかな。二人を除いて 文学しりとりができるようになりたい

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2019/07/04

本の裏のあらすじを見て思わず読み始めた。 恩田陸の作品は以前にネバーランドを読んだことがあるが、あの作品も今回と同じくあらすじをみて読み始めたのだった。 はじめは文章がすんなりとは頭に入ってこなかったが、それも途中から慣れ、物語にどんどんひきこまれていった。 終盤に差し掛かり、残...

本の裏のあらすじを見て思わず読み始めた。 恩田陸の作品は以前にネバーランドを読んだことがあるが、あの作品も今回と同じくあらすじをみて読み始めたのだった。 はじめは文章がすんなりとは頭に入ってこなかったが、それも途中から慣れ、物語にどんどんひきこまれていった。 終盤に差し掛かり、残りのページ数でどうやって話を終結させるのだろうかと思っていたが、結局独白で終わり。 読み終わったあとなんだかモヤモヤしたものが残る作品であったが、これがいいのだろうか。うーん。 ただ、文章を読んでいて場面場面の緊迫感というか、緊張感はとても伝わってきた。

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