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月の裏側 の商品レビュー

3.4

313件のお客様レビュー

  1. 5つ

    32

  2. 4つ

    103

  3. 3つ

    118

  4. 2つ

    31

  5. 1つ

    5

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2021/09/15

ミステリー、ホラー、ファンタジー、どれにも当てはまるような。とても充実した読了感です。 特に登場人物たちの感情がリアルで、こちらも感情移入しやすかった。ちょっと前までは恐怖で震えていたのに、ふと気づいた時にはもう関心がなくなっている。考えてみれば、人間生きてたらそんな場面っていく...

ミステリー、ホラー、ファンタジー、どれにも当てはまるような。とても充実した読了感です。 特に登場人物たちの感情がリアルで、こちらも感情移入しやすかった。ちょっと前までは恐怖で震えていたのに、ふと気づいた時にはもう関心がなくなっている。考えてみれば、人間生きてたらそんな場面っていくつもあるだろうな、と。 解説にもあったように、時々出てくる感情の例えがとても秀逸で、日常の感情を恩田陸さんから説明されているよう。共感しすぎるとこんな風にむず痒くなってしまうのか。

Posted byブクログ

2021/09/09
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初めはミステリー中盤からホラーかと思ったらファンタジーに終わって、とても好きな話でした。解説でも書かれていましたが、合間合間にでてくる例えがとても直感的で気持ちが入ってきて主人公達への気持ちの没入感が深かったです。個人的に特にこの小説を読んでいて共感したのは、アレに気づいてからの恐怖に対する主人公達の付き合い方です。多聞(主人公)達がアレの存在にそれぞれ気づき、各々がぞっとするシーンや、自分がアレと一つになることにみんなとてつもない恐怖を感じているのに、なってしまうとそのことに対する関心はなくなってしまう。とても僕の死に対する捉え方に近く、自分の死生観を説明する時の例えとして語られているように感ぜられるほどでした。

Posted byブクログ

2021/08/13
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怖い、怖すぎる。 自分ももしかしたら「盗まれて」いるのではないかと思うと…… 読み終わったあと、なぜかは分からないけれどトゥルーマン・ショーを観た時となんとなく似たような気持ちになった。

Posted byブクログ

2021/02/21
  • ネタバレ

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かつての大学教授・協一郎に呼び出され、九州の水郷・箭納倉にやってきた多聞。どうやら呼び出した目的は、数年前から箭納倉で何度も発生している謎の失踪事件を調べることらしい。失踪して帰ってきた人たちに聞き取りを行なっている新聞記者の高安、大学の後輩で協一郎の娘である藍子も調査に合流し、堀のなかから町を襲う存在がいると気づいた4人は……。 常野物語シリーズの「エンド・ゲーム」と同じ話。途中、もしかしてプリーストの「魔法」みたいになって、背景のモブから復讐されるのかと思ったんだけど、そういう話じゃなかった、残念(笑)。 箭納倉という古色が残る町の雰囲気と、そこで"最後の人間"になるというイメージに浸ればよくて、〈静かなる地球侵略〉の物語なんだと思うけど、その雰囲気構築があまり上手くない。あとやっぱり大規模な侵略行動がなぜこのタイミングで起きたのかについて説明がなさすぎる。雰囲気しかないのに雰囲気がそんなに良くないと言えばいいのか。20世紀末日本の空気を閉じ込めたタイムカプセルとして読むには楽しめる作品だった。

Posted byブクログ

2020/10/03

普通の人が大きな謎に立ち向かう内容だが違和感ない終わり方が凄い。作者の性別に対する概念がおもしろい。

Posted byブクログ

2020/09/11

内にある"恐怖"を引き摺り出される様な感覚。終始不穏な雰囲気が漂うホラー色が強いSF小説。って聞くと後味が悪い印象だけど、読後は割と爽やか。飄々とした登場人物が居るから重くなりすぎてないところが良かった。私の意思は本当に私のものなのだろうか。

Posted byブクログ

2020/07/12
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読み始めると続きが気になるし、ところどころ怖いので、途中で放り出せない本。 この作者にありがちな、いろいろ未解決というか判らないままに終わる話だけど、これはまだ話としてまとまってる感じ。登場人物も書き込まれていて面白い。 ただ、他都市がどうなっていたのかはっきりしないことだけは、不満。最後の騒ぎから、舞台となった町だけのことだろうと思うけど、途中で車で市街に出ても誰にも合わなかったというエピソードがあり、はて。一瞬のシールド状態にあったか。

Posted byブクログ

2020/05/25
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箭納倉のじっとりした描写が印象的。 彩りのない、暗いフィルターを一枚通したような景色を想像しながら物語を読み進める。 各チャプターの頭に違う時系列の文章が挿入されており、終盤で「あれこの文章読んだことある」と既視感(既読感?)が。 得体の知れない何かによって、「盗まれる」、、 その未知の、不確かな何かが迫る不気味さがが怖い。 寝る前に読んで後悔したこともあったけど、 結局夜読んだ方がしっくりきたので怖がりながら読みました。 あと、白雨は顔に茶色のブチがある、と書いてあったけど、表紙の猫ちゃんは白雨じゃないのかなぁ。。

Posted byブクログ

2020/03/29

水は怖い どこかとつながってる気がする 街中に毛細血管のように掘割が張り巡らされている 九州の水濠都市、箭納倉 小さな町で失踪事件が起こるが、当人はいつの間にか 戻ってくる 失踪していた頃の記憶をなくしているものの、災難に 感じているそぶりもない どんよりとした曇空、玄関先...

水は怖い どこかとつながってる気がする 街中に毛細血管のように掘割が張り巡らされている 九州の水濠都市、箭納倉 小さな町で失踪事件が起こるが、当人はいつの間にか 戻ってくる 失踪していた頃の記憶をなくしているものの、災難に 感じているそぶりもない どんよりとした曇空、玄関先の水たまり、やまない雨、 どこへ行っても掘割に囲まれた街…水に見張られている ような恐怖 いつも見られてる、どこからかわからないけど、“それ”は いつも見ている 映画『来る』に近い 文学しりとりが面白い 長ぐつ履いて寝るのは辛いなー

Posted byブクログ

2020/03/12

以前「月の裏側」を読んで塚崎多聞が再登場していると 読了後に知ったので、初登場しているこの作品を手に取りました。 この作品も「月の裏側」と少し同じようなテイストで SFとホラーとミステリーが混ざったような 不気味な独特な雰囲気でページをめくるごとにドキドキとしました。 得体の...

以前「月の裏側」を読んで塚崎多聞が再登場していると 読了後に知ったので、初登場しているこの作品を手に取りました。 この作品も「月の裏側」と少し同じようなテイストで SFとホラーとミステリーが混ざったような 不気味な独特な雰囲気でページをめくるごとにドキドキとしました。 得体の知らない、分からないものにびくびくしながらも、 その正体を恐れずに暴こうとしたり、 マイペースな多聞の性格にちょっと驚いてしまいます。 怖さの心理について時々多聞が語っていた所が印象的でした。 得体の分からない物の正体が分からないからこそ どんどんと人間の想像力が増していき、 更に怖さが増していくという本能。 それと 恐怖と愛情は似ている。 恐怖は愛情を産むのがセオリーだ。 恐怖を一緒に体験することで、愛のエネルギーは増強される。 恐怖について語っていると、その反動で愛について語りたくなる。 人々は恐怖を語ることで愛を語るのだ。 まさに人間の想像力くらい怖いものは無いと言える ストーリーになっていて、この裏には何が潜んでいるのかと そればかり探ってしまいました。 月の裏側というタイトルなので、 もしかしたら表側だと思っていた世界が 実は裏側だったということもあり得るので それも考えながら読んでいましたが、 結局何が何だかよく分からないで終わってしまいました。 ただじめじめとした暗い場所や水の中、 そして雨や川といったものがかなりはっきりとした正体が 分からないにもかかわらずゾクゾクとした怖さを出しているなんて 恩田さんの表現力の描写には凄いと思いました。 読んでいる時期が冬だったのでそれ程の怖さが まだ身に沁みませんでしたが、梅雨や夏場だったから この不気味さは半端ないかと思います。 読解力が乏しいのでレビューを書くのも難しいですが、 じわじわと迫りくる恐怖を味わってみたい方、 この不気味な正体を暴いてみたい方は読んでみて下さい。

Posted byブクログ