女系家族(下) の商品レビュー
最初は、背景の説明が長くて、その分この時代の考え方や人の心情が細かくかかれているんだけど、 つまらんって思う時もあったけど、読んでよかったって思えた本 とりあえず、人は欲深い
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遺産相続を巡り対立する姉妹とその裏で巧みに糸をひく大番頭。 そこにあらたな遺言が…愛人を交え壮絶な遺産争いにようやく幕が降りる。 異様とも言える女系家族の執拗さに目が離せない。
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長女、次女、三女、そして、それぞれに加担する人間達が財産を少しでも多く得ようといろいろな策を弄する。そのときに、妾は父の子を妊娠しており物語が複雑化し、面白くなっていく。 嫉妬や欲についてよく描写されており、いつの時代でもそういった感情は変わらないと再認識した一冊。
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実は私も船場生まれ。こいさんですぅ。米倉涼子主演のドラマで興味を持ち読みました。山崎豊子さんは人間の欲とか書かせたら天下一品です!
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上巻は読むのが辛かったが、下巻に入るとドロドロにも慣れ、割とするする読めた。 芳三郎と藤代の逢引現場に宇市が乗り込んでくるとことか、ドキドキしたー。 最後のどんでん返しも気持ち良い。読後は読み始めには考えられなかった清々しさ。 著者曰く「現代の怪談」だそう。納得。
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「ちんまりなら、わいは要らん、わいはごっそりと奪りたいのや、わいは十四の齢から七十二歳まで、先々代から三代にわたって勤めながら、月給は今もたった手取り六万三千円、これが船場の老舗のやり方や、二言目には暖簾の、老舗のというお題目で、丁稚上がりの番頭を騙して、一生飼い殺しにして使うの...
「ちんまりなら、わいは要らん、わいはごっそりと奪りたいのや、わいは十四の齢から七十二歳まで、先々代から三代にわたって勤めながら、月給は今もたった手取り六万三千円、これが船場の老舗のやり方や、二言目には暖簾の、老舗のというお題目で、丁稚上がりの番頭を騙して、一生飼い殺しにして使うのが、船場の老舗の人の使い方や、それを黙って五十八年間、耐え忍んで来たのは、今度のような機会を辛抱強うに狙うてたんや、先代が死にはった時は、わいはまだ、今ほどの任され方をされてなかったし、その上、昔の相続法は、長子相続やったさかい、先代の総領娘がすぽっと独り占めの相続をして、揉めようがなかったから、間にたってうまい仕事のしようがなかったわけや、その点、今度の相続は、三人の姉妹で遺産を三等分、そこへ旦那はんの隠し女まで出て来て、その女が旦那はんのほんまの子供かも知れんような子を孕んでると来るさかい、こんな面白い揉め方はないやないか、わいの狙うてたんは、こんなややこしいに入り込んだ相続の時や、この千載一遇の時に、わいは、何の働きもせんと、先祖からの財産をぬくぬくと戴き取りだけする奴らの上前を撥ねて、ごっそり奪ったるのや」(p.222) 「嵯峨野のお月見は、よかったわね」 不意に雛子が云った。この場に何の脈絡もない唐突とした言葉であったが、庭先を向いて白萩の一群を見詰める雛子の姿は、藤代の眼にも豪奢なお月見の夜が想い出された。東山、小倉山を背景に、大沢の池に屋形船をうかべ、観月の曲の琴の音を聞きながら、仲秋の月の出を眺めたあの壮麗な美しさと幽艶な雅やかさが藤代の胸に甦り、あの時、姉妹三人揃ってこうした豪奢なお月見を出来るのも今年限りではないかという不吉な思いが自分の心を掠めたのは、このことであったのかと思うと、藤代は、歯ぎしりするような口惜しさを覚えた。(p.427)
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(「BOOK」データベースより) 長女藤代は踊りの師匠の梅村を相談相手にして、遺産相続を自分に有利にしようと画策する。それまでの慎ましやかだった性格からは想像できないきつい態度にでる次女の千寿。そこに番頭の思惑と、妾文乃が妊娠していた事実がからまって泥沼の様相を深めてゆく。だが、...
(「BOOK」データベースより) 長女藤代は踊りの師匠の梅村を相談相手にして、遺産相続を自分に有利にしようと画策する。それまでの慎ましやかだった性格からは想像できないきつい態度にでる次女の千寿。そこに番頭の思惑と、妾文乃が妊娠していた事実がからまって泥沼の様相を深めてゆく。だが、嘉蔵が生前周到に準備していた「胎児の事前認知」という驚天動地の方法によって金の亡者たちの野望に断が下される。
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最後で、「ざまあみろ!」って思っちゃったかな(笑) 男でも、女でも、特定の人をないがしろにしたりしちゃいけないよって感じかしら。 でも宇市は少々かわいそう。 ずーっと仕えてきたのに、な〜んにも仕分けをしてもらえず仕舞いなんて。 ならばといろいろ画策してしまうのもわからないではない...
最後で、「ざまあみろ!」って思っちゃったかな(笑) 男でも、女でも、特定の人をないがしろにしたりしちゃいけないよって感じかしら。 でも宇市は少々かわいそう。 ずーっと仕えてきたのに、な〜んにも仕分けをしてもらえず仕舞いなんて。 ならばといろいろ画策してしまうのもわからないではない。 あと気になったのは次女の千寿。 長女と三女がお稽古事なんかで家を出て遊びまわっているのに、千寿だけ家にずーっと閉じこもっているらしい。 楽しいの?? まあ、私もインドア派なので家にいるの大好きだけど、それだって本を読んだり編み物したり刺繍したりと、家の中でやりたいことがあるから。 だけど千寿は、どうやら部屋で庭とか見ながらボーっとしているみたいだ。 それじゃあ陰気になるのもわかるなぁ。
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長女藤代は踊りの師匠の梅村を相談相手にして、遺産相続を自分に有利にしようと画策する。それまでの慎ましやかだった性格からは想像できないきつい態度にでる次女の千寿。そこに番頭の思惑と、妾文乃が妊娠していた事実がからまって泥沼の様相を深めてゆく。だが、嘉蔵が生前周到に準備していた「胎児...
長女藤代は踊りの師匠の梅村を相談相手にして、遺産相続を自分に有利にしようと画策する。それまでの慎ましやかだった性格からは想像できないきつい態度にでる次女の千寿。そこに番頭の思惑と、妾文乃が妊娠していた事実がからまって泥沼の様相を深めてゆく。だが、嘉蔵が生前周到に準備していた「胎児の事前認知」という驚天動地の方法によって金の亡者たちの野望に断が下される。
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これは興奮しました。 すごいよ、クライマックスがハラハラしっぱなし! ずうっとドロドロドロドロしていて収集つかんくらいやったのに、ラストでバシッ!と小気味良く決められてしまった。 この本、タイトルに違和感を感じてて、「‘女系家族’っていうより、‘女系家族の周辺’ってかんじやな...
これは興奮しました。 すごいよ、クライマックスがハラハラしっぱなし! ずうっとドロドロドロドロしていて収集つかんくらいやったのに、ラストでバシッ!と小気味良く決められてしまった。 この本、タイトルに違和感を感じてて、「‘女系家族’っていうより、‘女系家族の周辺’ってかんじやなぁ」と思ってたのに、最後の1ページで納得させられました! しびれた! それにしても、作品冒頭で亡くなった善蔵が、こんなに存在感を出してくるなんて。 でも善蔵は憎めないですね。彼が憎んだのは女系家族であって、矢島家ではないもん。 最後に善三の安堵のため息が聞こえてくるようでした。 08.06.26
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