寝ながら学べる構造主義 の商品レビュー
「まえがき」が素晴らしい。 著者は「入門者のための」解説書や研究書をよく読む、理由はおもしろい本に出会う確率が高いからだという。この本は入門者のための、平易に書かれた構造主義の解説書。よい入門書は、「私達が知らないこと」から始めて、「専門家が言いそうもないこと」で進むという。新し...
「まえがき」が素晴らしい。 著者は「入門者のための」解説書や研究書をよく読む、理由はおもしろい本に出会う確率が高いからだという。この本は入門者のための、平易に書かれた構造主義の解説書。よい入門書は、「私達が知らないこと」から始めて、「専門家が言いそうもないこと」で進むという。新しい分野に取り組むときは、そういう本を探したい。 無知というのは、「知らずにいたい」というひたむきな努力の成果。親のお説教など、知りたくない、目を逸らしたい、と不断の警戒を怠らない結果。 この本は、「複雑な話」の「複雑さ」を温存しつつ、かつ見晴らしのよい思想史的展望を示すことをめざした、とある。概ね、見晴らしのよい話だったと思えたので、著者の意図通りに読むことができたのか。 本題の「構造主義」とは、「私たちはつねにある時代、ある地域、ある社会集団に属しており、その条件が私たちのものの見方、感じ方、考え方を基本的なところで決定している」という考え方。「自分が思っているほど自由に、あるいは主体的にものを見ているわけではない」とも。 人と社会や他者との関係に関する考え方かと、読む前は想像していたが、もっと哲学的、心理学的な要素も強いらしい。
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題名からして簡単に構造主義と言うものが理解できる本かと思いきやそれなりに難解な本でした。難解と思われる構造主義者たちの言わんとしているものがおおよそわかる本です。もともと私たちにとって使いなれた言葉、当たり前の常識として受容されている思考方法や感受性のあり方が実はある特殊な歴史的...
題名からして簡単に構造主義と言うものが理解できる本かと思いきやそれなりに難解な本でした。難解と思われる構造主義者たちの言わんとしているものがおおよそわかる本です。もともと私たちにとって使いなれた言葉、当たり前の常識として受容されている思考方法や感受性のあり方が実はある特殊な歴史的起源により、歴史的状況の中で育まれたものだと言うことがわかってきます。偏見ということがどのような積み重ねで培われてくるのかの感情認識が明確に精細に描かれています。レヴィ・ストロース、バルト、ラカン、フーコーとそれなりの有名な哲学者、精神分析者たちによる考え方のおおよその要約と現実的な実存世界に応用されている実態が理解できてきます。現実的な認識と言うものは、このような理解認識から積み重なってきて今に至るのだなと、、歴史的な解釈ができた。
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・自分なりの”構造主義”の解釈 「絶対的な自己が世界の中心に存在し、それらが万物を認知する」という構図ではなく、「自己は周囲の環境(時代、地域、所属している社会的集団等)によって後から規定される」(=脱ー中心化、非ー中枢化)という考え方。 近代に広く普及した考え方。 それまでの哲学は絶対的自己が世界の中心に存在していることを前提としていた。 ・印象的な話(一部) 構造主義の始祖とも言うことができるソシュールによれば、「存在しているものに名前がつけられるのではなく、名前がついて初めて存在を認められる。」例えば、「肩が凝る」のはそのような言語表現を持つ日本人だけであり、英語には「肩が凝る」という表現はなく、「背中が痛む」という表現になり、英語で思考する人の「肩が凝る」ことは無いと言える。 功利主義者は野生の自然状態にある人間が利己的に振る舞い、自己保存に努めることは本来的な権利(自然権)であると考えた。自然権を万人が行使すると、「万人の万人に対する闘争」(byホッブス)が起こり、結果的に一部の強者を除いて多くの人が自己保存を実現できないという状況に陥る。これを阻止するため、社会契約に基づいて創設された国家(共同体)に自然権の一部を委ねるというのが社会契約説。 人間は生まれた時から「人間である」のではなく、ある社会的規範を受け入れることで「人間になる」。(レヴィ=ストロース)←社会的規範が異なれば価値観は異なる。 ”こぶとり爺さん”から得られる教訓は「差別化=差異化=文節がいかなる基準に基づいてなされたのか理解を絶しても受け入れるしかない」ということ←基準が分からないものを人間は最も恐れる ・気づき 自分が身を置く環境を主体的に選ぶことで、なりたい自分になれる可能性が高められるかもしれない。 自分から見えている世界は「自分が見たい世界」だけということを意識して思考する必要がある。 行動を変えることで意識は変えられる。
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すっきり、すっきり。 僕の中で、スマートで、インテリジェンスが高い、 と分類される思想は、 全て「構造主義」から来ていたのですね。 映画「マトリクス」を例に出すまでもなく、 現代の優れた表現は、ほとんどその影響力下にある。 それが「構造主義」という名のもとに整理されて、 と...
すっきり、すっきり。 僕の中で、スマートで、インテリジェンスが高い、 と分類される思想は、 全て「構造主義」から来ていたのですね。 映画「マトリクス」を例に出すまでもなく、 現代の優れた表現は、ほとんどその影響力下にある。 それが「構造主義」という名のもとに整理されて、 とてもハッピー。
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構造主義についての入門書。 構造主義とは「私たちの考え方とか感じ方って時代や社会に影響を受けるから全然自由じゃないよね」ってことらしい。 正直、哲学書としてはかなり平易なこの本であっても、読後にも「なんか、わかったような…、でも説明できない」となるのものだろう。 とはいえ、内容の一部でも私たちを考えさせ、知的好奇心を刺激し、生活のヒントになる本は個人的に良書だと思う。 この本はその点でとても良い本だった。 常識を疑い、視点を変えることの重要性。それが自分がこの本から得たメッセージだった。
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ラカンを除いては驚くほど読みやすかった。どの程度理解できたかはわからないが、自分の関心と照らし合わせても興味深い点が多々あった。質の高い入門書。
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筆者の学問に対する姿勢や考え方に共感するので、内容は確かに難しいけれど限りなく理解しやすかったように思う
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#寝ながら学べる構造主義 #内田樹 著 #文春新書 現代思想がとてつもなく分かりやすくかつ面白く書かれている。ただ、まえがきにも書いてあるが「簡単」ではない。「寝ながら」は厳しいやんっいう...(笑) まあ面白いから許すけど! 読んでいてて #サピエンス全史 に似ているなと...
#寝ながら学べる構造主義 #内田樹 著 #文春新書 現代思想がとてつもなく分かりやすくかつ面白く書かれている。ただ、まえがきにも書いてあるが「簡単」ではない。「寝ながら」は厳しいやんっいう...(笑) まあ面白いから許すけど! 読んでいてて #サピエンス全史 に似ているなと思ったら構造主義と人類学は密接な関係があったのね。サピエンス全史が好きな人はこの本も間違いなく楽しめるでしょう。 “知性がみずからに課すいちばん大切な仕事は、実は、「答えを出すこと」ではなく、「重要な問いの下にアンダーラインを引きこと」なのです。” “無知というのは知識の欠如ではありません。「知らずにいたい」というひたむきな努力の成果です。無知は怠惰の結果ではなく、勤勉の結果なのです。” “「私たちはつねにあるイデオロギーが『常識』として支配している、『偏見の時代』を生きている」という発想そのものが、構造主義がもたらした、もっとも重要な切り口” “私たちは、ほとんどの場合、自分の属する社会集団が受け入れたものだけを選択的に「見せられ」「感じさせられ」「考えさせれられている」。” “主体性の期限は、主体の「存在」にではなく、主体の「行動」のうちにある。これが構造主義のいちばんの根本にあり、すべての構造主義者に共有されている考え方です。” “私たちは何らかの人間的感情や、合理的判断に基づいて社会構造を作り出しているのではありません。社会構造は、私たちの人間的感情や人間的論理に先立って、すでにそこにあり、むしろそれが私たちの感情のかたちや論理の文法を事後的に構成しているのです。” “何かを手に入れたいと思ったら、他人から贈られる他ない。そして、この贈与と返礼の運動を起動させようとしたら、まずは自分がそれと同じものを他人に与えることから始めなければならない。それが贈与についての基本ルール” “レヴィ=ストロースは要するに「みんな仲良くしようね」と言っており、バルトは「ことばづかいで人は決まる」と言っており、ラカンは「大人になれよ」と言っており、フーコーは「私はバカが嫌いだ」と言っているのでした。” #本 #読書 #読書倶楽部 #読書記録 #本屋 #本棚 #本が好き #本の虫 #読書タイム #古本 #古本屋 #文庫 #文庫本 #活字中毒 #哲学 #構造主義 #ポスト構造主義 #現代思想
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構造主義とは全くわからなかったが読み進めていくうちに何かしらヒントがあるかなとも感じた 3回以上読まないとこの内容を理解する事は自分にはできないと思った みんな仲良くしようね 言葉遣いで人が決まる 大人になれよ 私は馬鹿が嫌いだ 言葉がついて初めて物事が決まる 私たちが欲するもの...
構造主義とは全くわからなかったが読み進めていくうちに何かしらヒントがあるかなとも感じた 3回以上読まないとこの内容を理解する事は自分にはできないと思った みんな仲良くしようね 言葉遣いで人が決まる 大人になれよ 私は馬鹿が嫌いだ 言葉がついて初めて物事が決まる 私たちが欲するものは他者に与えなければならない
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非常に小気味良く、また、切れ味鋭く進んでいく。読み物として面白い。 “主体性の起源は、主体の「存在」にではなく、主体の「行動」のうちにある。” “現在でも、私たちが眼にする文芸批評の過半は、「作者に書くことを動機づけた初期条件の特定」というこの近代批評の基本パターンをしっ...
非常に小気味良く、また、切れ味鋭く進んでいく。読み物として面白い。 “主体性の起源は、主体の「存在」にではなく、主体の「行動」のうちにある。” “現在でも、私たちが眼にする文芸批評の過半は、「作者に書くことを動機づけた初期条件の特定」というこの近代批評の基本パターンをしっかり踏襲しています。”
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