寝ながら学べる構造主義 の商品レビュー
この前に読んだ「身体の言い分」のなかで著者の方が、 構造主義そのものより構造主義者のやりかたに興味を持った、と この本について言っていた。 構造主義者たちの仕事は徹底的に考えたうえのフィールドワークで 現実から理論モデルを抽出し、証明してみせる力技。 それでもその成果はあくまで仮...
この前に読んだ「身体の言い分」のなかで著者の方が、 構造主義そのものより構造主義者のやりかたに興味を持った、と この本について言っていた。 構造主義者たちの仕事は徹底的に考えたうえのフィールドワークで 現実から理論モデルを抽出し、証明してみせる力技。 それでもその成果はあくまで仮説と言い切る発想の自由度と 知性の節度を持っている、これだと思った、って。 それなら構造主義知らなくても楽しめるかも。と 軽い気持ちで読んだら・・(汗 構造主義のあらましと学者たちの仕事が 要点を押さえてわかりやすく書かれていました。 でもその「要点」が多岐にわたる上に深く、複雑で・・難解。 で、いちいち面白い。 ことばや身体、親族関係、神話や精神分析・・ 主要な学者たちのいろいろな研究について面白く読んだけど、 構造主義はこういうもの!とばしっとつかむことは・・あきらめました。 でも、歴史にも人間の中にも確かなものなどない前提で、 どうやって人が認識し考えて生きてるか、っていうのが いろんな角度から検証されてると知って、読んでいて楽しかった。 不条理とかコミュニケーションなど、現実社会に近い感じが どこか泥臭くて面白い。 あとがきのように「なんだ、そういうことが言いたかったのか。」と しみじみできるには現実での経験をつんでこそだろうなぁと感じた。 その境地をわかりやすくちょっと覗いて、 なるほど~構造主義って、オトナの学問なんだなあ。 などと思えてしまう、ありがたい本。
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構造主義とは?それに答える平易に書かれた入門書です・・・帯からはそう取れました。しかし、読後からは構造主義の概要がいまいち分かりませんでした。襟を正して、かつ三色ペンでも持って読み進めれば、より深い理解に到達できたかもしれません。私が凡人だから? 構造主義を紐解く手法として、日常での卑近な出来事を比喩として使うことで、「あぁ、そういうことね」のようにより身近に感じさせようという仕掛けがこの本全体にはあります。ところが、その例が一体何のための比喩なのか分かりづらかったです。それぞれの考えた方の相違点、たとえば、どういう点で今までにない考え方なのか?あるいは、どういう点を踏襲して発展展開させているのか?その辺りの関連性をより明確にすると、通時的な理解を深めるのに貢献したに違いありません。 幸いなことに、ソシュールの考え方に関して予備知識が多少なりともあったので、それが理解の助けとなって読み進めることができました。 紙面の都合からか、登場する思想家の要点を表面的になぞっただけなので、個々の考え方に関しては個別に触れた書物なりで理解を深めたほうが良さそうです。
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構造主義という言葉をそれなりによく耳にする割には全く意味を知らなかったので読んでみた。著者もその道のプロというわけではないらしいが、そういう人が改めて確認しつつ書いた書籍ということで、初心者にもそれなりに分かりやすい。もちろん、寝ながら学べるほどやさしくはないが。 内容的には、...
構造主義という言葉をそれなりによく耳にする割には全く意味を知らなかったので読んでみた。著者もその道のプロというわけではないらしいが、そういう人が改めて確認しつつ書いた書籍ということで、初心者にもそれなりに分かりやすい。もちろん、寝ながら学べるほどやさしくはないが。 内容的には、構造主義の黎明期から発展まで、順を追って解説している。大きく分けると、 プレ構造主義:マルクス、フロイト、ニーチェ 構造主義の黎明:ソシュール 構造主義の発展:フーコー、バルト、レヴィ=ストロース、ラカン という感じだろうか。 初心者向けにかなり噛み砕いて書かれているので、思想の表面をなぞっていく感じであり、流れを理解するのには良いが、読後に思い返すと実はそんなにわかっていないような気もする。なんとなく、構造主義全体が雲のような塊として頭の中に入る感じ。 これを1回だけ読んだ自分には、結局、構造主義ってなんなの?って聞かれても明確に一言では答えられない。
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構造主義を自分なりに一言で説明してみる。 『「自分が思っている」ことは、実は自分の置かれている環境によって制御・束縛されており、「自分が主体的に思っている」と思うのは、錯覚である、という考え方』 という感じ。 やはり、内田氏の方が、表現はうまい。 本書は、そんな構造主義につい...
構造主義を自分なりに一言で説明してみる。 『「自分が思っている」ことは、実は自分の置かれている環境によって制御・束縛されており、「自分が主体的に思っている」と思うのは、錯覚である、という考え方』 という感じ。 やはり、内田氏の方が、表現はうまい。 本書は、そんな構造主義について、成立前夜から成熟期に至るまでの過程を、わかりやすく書いている。 ところが、マルクスに始まり、フロイト、ニーチェ、ソシュール、フーコー、レヴィ・ストロース、バルト、ラカン、などの思想と時代を駆け巡り、内容としてはかなり濃い。 すごくおおざっぱに言ってしまえば、このような方々を含め、およそ「哲学」と呼ばれているものはみな、「メタ思考」が幾重にも折り重なって生成されているように思える。 非常に、脳みそを使う読書であった。 「寝ながら〜」とうたっているが、もう一度本腰を入れて読んでみないと、だめだ。
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これはわかりやすい。「寝ながら学べる」は嘘ではありません。 まず手始めに、構造主義の土台となる、マルクス、ヘーゲル、フロイト、ニーチェ辺りの思想を軽く流して、本題となる、ソシュール、バルト、フーコー、レヴィ=ストロース、ラカンの紹介をこれまたさらりとしている。 これをもって「構造...
これはわかりやすい。「寝ながら学べる」は嘘ではありません。 まず手始めに、構造主義の土台となる、マルクス、ヘーゲル、フロイト、ニーチェ辺りの思想を軽く流して、本題となる、ソシュール、バルト、フーコー、レヴィ=ストロース、ラカンの紹介をこれまたさらりとしている。 これをもって「構造主義を理解した」というレベルに達するわけではないが、構造主義をになっている著名人たちの思想の基本概念がなんとなくはわかるようになる。 構造主義といってもひとつのフレームワークなので、一口に「構造主義とは〜である」と言い切れるもんでもないな、ということがわかった。
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読んでも構造主義ってよくわからなかったけれど、いろいろな思想を概説してくれていておもしろかった。 自分って思ったほど絶対的ではないし、社会システムとか環境に無意識に支配された存在なのだ、ってことだろうか。
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今、大学生なのですがこれは役に立ちました。哲学書を読んでも分からないかもしれないと思っている方々がいるかも知れませんが、これなら読めちゃいます。でも深いところまでは知ることはできないかも知れません。作者も言っているようにあくまでも入門書なんです。でもでも重要なポイントはしっかり分...
今、大学生なのですがこれは役に立ちました。哲学書を読んでも分からないかもしれないと思っている方々がいるかも知れませんが、これなら読めちゃいます。でも深いところまでは知ることはできないかも知れません。作者も言っているようにあくまでも入門書なんです。でもでも重要なポイントはしっかり分かります。 構造主義だけでなく、フロイトやニーチェなどの勉強になります。正直、私は構造主義が理解できていません。でもフロイトやニーチェ達を知ることが、構造主義を知ることになるのではないでしょうか。(当たり前か!!)
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大好きな内田樹先生が現代文の先生による夏の推薦図書に入ってたので、大義名分を得て久しぶりに読書タイムを堪能。 落語のご隠居さんがご近所さんに説法をする、というスタイルを目指したという後書きの通り、私のような無学の者にもよくわかる素晴らしい入門書ですたw
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数十年前に世界を席巻した「構造主義」と呼ばれる思想について説明した入門書。人によって説明も解釈も異なる広義の構造主義から、その最大公約数的な部分として、狭義の構造主義を切り出そうとしてくれたことは、非常にありがたい。本書を読んで、先進国に住むすべての人間は、構造主義の影響を受けて...
数十年前に世界を席巻した「構造主義」と呼ばれる思想について説明した入門書。人によって説明も解釈も異なる広義の構造主義から、その最大公約数的な部分として、狭義の構造主義を切り出そうとしてくれたことは、非常にありがたい。本書を読んで、先進国に住むすべての人間は、構造主義の影響を受けていることを確信した。 著者の軽妙で人を食ったような文章は、好き嫌いが分かれるかもしれない。私は著者のブログを愛読していることもあり、楽しみながら読むことができた。
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「構造主義」という一昔前に流行した思想の簡単な解説本。構造主義とは、特定の時代、地域、所属集団の条件が自分の物の見方、考え方を基本的な部分で決定しているのではないかと考える思想である。 そのため、構造主義に基づいて考えると、自分は自分で思っているよりも時代や地域の制約を受けているので、主体的に考え、行動しているわけではないことになる。本書では構造主義の旗振り役として、ソシュール、フーコー、ロラン・バルト、レヴィ・ストロース、ラカンといった人物が挙げられ、彼らの説が述べられている。 興味深いのは、実存主義との対比について。サルトルは「実存は本質に先行する」として自分の「意識」や「主体」を重んずる実存主義を唱えたが、レヴィ・ストロースはそんなサルトルを「『我思う』の虜囚」として批判し、「社会構造は論理や感情に先立つ」と喝破した。結局、どんなに自分の主体性を尊重しても、社会構造の影響からは逃れることができないということがよくわかる。 他にも、ラカンの「記憶とは、過去の真実ではなく、思い出しながら形成されている過去」という説も印象に残っている。過去を思い出すのは、聞き手に自分が何者であるのかを理解、承認してもらえそうな場合のみで、そこには「自分が何者だと思って欲しいのか」というバイアスがあるらしい。 「言語活動の機能は情報を伝えることではない。思い出させることである」という言葉がその思想を端的に表している。記憶が真実であるかどうかは別として、他者とのコミュニケーションの間で「私」はリアリティを増していき、承認されていく、ということだろうか。 現在こうしてレビューを書くという行為も、構造主義的に考えれば、主体的に書いているつもりでも、実は社会的事情により書くことを選ばされていることになる。このように、今の自分を自分たらしめているものは何か、これは自分が主体的に行なっていることなのか、それとも行わされているのか、といったことを考えてみることは、自分の立ち位置を明確にすることですし、興味深いことなのではないかと思っている。
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