溺レる の商品レビュー
恋愛の、特に男女の関係のその部分だけを濃く濃く表現した短編集って感じでした。なんで彼と一緒にいるのか、なんで別れるのか、なんで彼が好きなのか、ということよりも『その人が好き』という感情だけが濃い。 お気に入りは『七面鳥が』でしょうか。彼を蹂躙したいって、普通、使いません…。
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【2022年58冊目】 タイトルの「溺レる」も含め、男女の恋愛について書いた短編集。解説を読んで気づいたが、登場人物は全員何かから逃げている。逃げているというか離れようとしているというか。 しんしんとした描写が続く。終始雨が降っているような雰囲気の話だった。
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退廃的な生活。ダメな女。道を間違った男。変な人たち。こどものようなおとな。意味のない日々。 自分はなにをがんばっているんだろう?自分もこうなりたい、ほんとうは。ひとには言えないけど。
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男女が愛欲に溺レる短編集。でも、好きだからとか、快楽のためとか、そういう感じではなく、「何だか分からないけどそうしなきゃいけなくなっちゃったから」みたいな。あとは、やたらと食べ物がおいしそうだった。性や食事を貪っているのに、なぜか不快感な感じはしなかった。個人的には、全員コナンの...
男女が愛欲に溺レる短編集。でも、好きだからとか、快楽のためとか、そういう感じではなく、「何だか分からないけどそうしなきゃいけなくなっちゃったから」みたいな。あとは、やたらと食べ物がおいしそうだった。性や食事を貪っているのに、なぜか不快感な感じはしなかった。個人的には、全員コナンの犯人のような影で想像した。よく分からなかったけど、たしかに溺レる感じはあった。
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寄り添ってはいるけれど、どこか寂しく、心もとなく、さ迷っているような恋愛の情景を描いた短編小説集。どの作品も違う人たちのことが書かれているのにただよってくる雰囲気に共通点が感じられて、ほんとはみんな同じ人たちなんじゃないか…と思えてくる。彼らの会話や通り過ぎた景色の音や色や感触が...
寄り添ってはいるけれど、どこか寂しく、心もとなく、さ迷っているような恋愛の情景を描いた短編小説集。どの作品も違う人たちのことが書かれているのにただよってくる雰囲気に共通点が感じられて、ほんとはみんな同じ人たちなんじゃないか…と思えてくる。彼らの会話や通り過ぎた景色の音や色や感触が心に残って離れない。不思議な読後感に浸れます。
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ぼんやりとした輪郭の恋愛は、周りには理解されない。だからこそ、蜜の味。#読了「#溺レる」#川上弘美 #逃避行 #共依存 #サスペンス #砂の女
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入り込むと現世から逃れられないような引力がある。誰もが逃げていて、何から逃げているのか、頂点に君臨している者達から逃げているのか。何世紀経っても不老不死で生き続けている夫婦もいるのだから果てがない。どれが自分にとって理想的な逃避行か、探すのも面白いかもしれない。愛欲の故の溺レると...
入り込むと現世から逃れられないような引力がある。誰もが逃げていて、何から逃げているのか、頂点に君臨している者達から逃げているのか。何世紀経っても不老不死で生き続けている夫婦もいるのだから果てがない。どれが自分にとって理想的な逃避行か、探すのも面白いかもしれない。愛欲の故の溺レるというは正にそうで、どの短編でも少なくとも愛情や欲に溺レていた。
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現実とは、少し軸のずれたところにいるような男女。どの作品も片方は生活者として社会参加もしている、しかし、どちらかは日常生活の中で時間や、住んでいる地面から少し浮かんだような奇妙な空間で暮らしている。 二人はこういうカゲロウのような淡い、見方によってははかない弱い生き物になってしま...
現実とは、少し軸のずれたところにいるような男女。どの作品も片方は生活者として社会参加もしている、しかし、どちらかは日常生活の中で時間や、住んでいる地面から少し浮かんだような奇妙な空間で暮らしている。 二人はこういうカゲロウのような淡い、見方によってははかない弱い生き物になってしまっている、そんな日向か蔭よく分からない、流されて生きる人を書くのは、川上さんならでの世界だ。 短編集だが、テーマは、道行というか、世間からはみ出した二人連れの話で、行き着くところは、お定まりの別れだったり、話の最初から心中行だったりする。 別れは、まぁ文字通り、世間並みに生きていける方が去っていく。 情死は遂げたが、目的どおりうまく死ねたり、片方が生き残ったりする。そして死んだ魂が、百年、五百年と漂っていたりする。 こういう風に人の生活は何かとりとめがなさそうで、その根源は、単純に見えたり、哀しかったり恐ろしいものかもしれないと感じる。 川上さんの言葉似対する独特の優れた感覚、感性が雰囲気のある、短編集になっている。 「溺レる」という題名。次第に溺れていく男と女がアテもなくさまよい、部屋に帰ればはアイヨクに溺れる。 そういう行為が全編に書わたって書かれているが、アイヨクに溺れたり、交歓だったり、交合したり、情を交わしたり、挑みかかられたりして極まったり、極まれなかったり極まったフリをしたりする。男が可哀想で施してやったりする。 下品なポルノに堕ちない文学作品はこういう書き方もあるのかと読みきるのが惜しまれた。 作品の背景によって書き分けてられている情景も、言葉も素晴らしい。 さやさや 溺レル 亀が鳴く 可哀想 七面鳥か 百年 神虫 無明 男がこどものころ寝ていたら「七面鳥」が胸に乗ったという、夢の話か、それにしても足をたたんだ七面鳥の感覚が今でも甦る。 面白い話。 「さやさや」もいい。飲んで揺れる男の腰を見ながらついて歩く。気持が悪くなって道端で吐き、草むらに入って放尿する「さやさや」と音がした。 「溺レル」では、逃げている二人の会話がどこかずれているのに、二人で逃げている。 「リフジンなものからはね、逃げなければいけませんよ」といわれ ひとつ逃げてみますか、というので逃げ始め、だんだんその意味も分からなくなってくる。 女は何もしないでゴロゴロしている。物事も全うできなくなった、以前は出来ていたのに、だから男との生活も全うできなかったのだ、「別れる」「出て行く」といって男が去った。 「百年」は心中で海に飛び込み死んでしまったが、男は助かり何もなかったように以家族との生活に戻った。男は87歳で死に子も死に孫も死んだのがわかる。 「無明」 不思議な世界、事故で二人とも死んだが、今度は不死の体になった。男は50年前にタクシーの免許を取り運転手をしている。五百年経ったけれどまた五百年くらいすぐ過ぎるさ、と男が言う。 あらすじは余り意味がない。短い物語なのに面白くて、特に結びがいい。 川上さんの作品は読むたびに後に残る。全部読もうかなと思うがそういう作家が多くてなかなか追いつかない。まだ先があるというのも嬉しいけれど。
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お酒強くないけど、お酒飲みたくなるゆるい 小説… と思いきやドSな男がでてきたり けっこう激しめだけど ゆったりのっぺり な文章。 解説にどの短編も「つまらない女」 って書いてあったけどなんでも言うこと聞く つまらない女といると 落ち着くことも あるんだろうなー ...
お酒強くないけど、お酒飲みたくなるゆるい 小説… と思いきやドSな男がでてきたり けっこう激しめだけど ゆったりのっぺり な文章。 解説にどの短編も「つまらない女」 って書いてあったけどなんでも言うこと聞く つまらない女といると 落ち着くことも あるんだろうなー そして死にたくなるのだろうか。。?
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う~ん、退廃と現実逃避の世界だなぁ~。 でも面白い...。この世界観はなかなか味わえないので、定期的に触れてみたくなるだろうな...。好き嫌いが分かれる作品だと思う。私はOKにしたい。
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