溺レる の商品レビュー
「センセイの鞄」は好きだったのですが、こちらは苦手でした。登場人物がみんなダメな女性で、共感ができず…。この独特な雰囲気自体は好きです。
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川上弘美の怖さを見た。 言葉の重ね方、 会話の重ね方、 酒と食事の重ね方が、 川上弘美の魅力と思っていたのは、 まだまだ少ない経験で得た、 彼女のいち断面であったか。 男と女の情念の、 強く、淡く、もろく、 果てしない粘りつき方が、 とても恐ろしい。 川上弘美が粘りつくと言う...
川上弘美の怖さを見た。 言葉の重ね方、 会話の重ね方、 酒と食事の重ね方が、 川上弘美の魅力と思っていたのは、 まだまだ少ない経験で得た、 彼女のいち断面であったか。 男と女の情念の、 強く、淡く、もろく、 果てしない粘りつき方が、 とても恐ろしい。 川上弘美が粘りつくと言うと、 ひどく粘りついて見える。 そこにある情念が、 とてもとても粘っこい。 あわあわとしているのに、 さらさらとしているのに、 やたらと絡みついて、怖い。
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「溺レる」。 何故「れ」ではなく「レ」なのか。 なるほど「アイヨク」だから。 ダメ女達のなんとも言えない「愛」の短編集。「愛」と書くのもはばかられるような、そんな状態だけど。 冒頭の「さやさや」という短編は、おしっこの音だったとは。
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ちょっと翳りのある、どこかいびつさのある男女関係を描いた短編集。どの話もどろりとした関係性のはずなのに、湿っぽさは感じられない。どの“わたし”もどこか醒めた目で自分と男のやりとりを見ているように思えた。 「この人の書く文章が好きなので、読んでみて欲しい」と友人から贈られた一冊。確...
ちょっと翳りのある、どこかいびつさのある男女関係を描いた短編集。どの話もどろりとした関係性のはずなのに、湿っぽさは感じられない。どの“わたし”もどこか醒めた目で自分と男のやりとりを見ているように思えた。 「この人の書く文章が好きなので、読んでみて欲しい」と友人から贈られた一冊。確かに自分では選ばないタイプの本なので、新鮮だった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
なんとなく、雰囲気に浸れる女性作家さんの文章が読みたい、と手に取った本。以前読んだ『センセイの鞄』が良かったなぁと思った気がして。(確かこの本なのだがうろ覚え) 雰囲気はあるけれど、全体的に傾いた雰囲気で通勤電車で読み始めてくらくらした。 最初の「さやさや」とか、終わりのほうえーって感じだったし…。生々しい話が多い。 その後、ああそういう話ばかりなのね、と理解。現実から逃避する、男性に従順についていくふわふわ…というかじりじりとした女性ばかりが主人公で読みなれると楽だった。流れに抗わずに流されるというのはいいなあという心地さえしてきた。慣れるまでがちょっと気持ち悪かったけど。なんというか、酔ってる時に読むのが最適かも。朝のしゃっきり現実脳には向かない本かな。笑 食べ物にまつわる描写、毎回美味しそう。私はお酒を飲まないのだけど、おつまみとお酒美味しいのだろうなあと憧れるレベル。 「百年」という話の設定面白かったかな。死んで百年経つのかい、とびっくり。さっぱりした書き方で、確かに清のよう。 好きかどうかと言われると好きでないけれど、こういった文章をぐいぐい書けるのはすごいなと思ったので、星3つです。
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星3つ半くらい。 ゆるゆると、川上ワールドに浸って居られるのが良い。 短編集を読むのは初めてだった気がする。 やっぱり、長編の方が良いな、と思いつつ、「神虫」あたりは、何がとは言葉に出来ないけれど、なんだか良かった、 150816
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何かから逃げている男女を描いた短編集です。世間から、この世から、二人の関係性からーー彼等が逃げている対象は様々ですが、共通しているのは「諦めている」女の潔さでしょうか。 男の決断に諾々と従い、嗚呼こんな筈じゃなかったのにと溜息を吐きながら、最後には全てを許容する強かさ。 うー...
何かから逃げている男女を描いた短編集です。世間から、この世から、二人の関係性からーー彼等が逃げている対象は様々ですが、共通しているのは「諦めている」女の潔さでしょうか。 男の決断に諾々と従い、嗚呼こんな筈じゃなかったのにと溜息を吐きながら、最後には全てを許容する強かさ。 うーん、私には真似できないし、真似したくない女性像だなあ…。
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心細くて、無防備なふたつの魂が、はかなく寄り添いあって現実のすぐ隣にある世界にふっと移ろっていくようなお話、短編集。 恋愛小説とあるけれど、ふたりの間で完全に閉じてしまっている世界や、思いのほか生々しさを覚える描写は、恋愛というよりも独特の男女のあり方を描いていて、読んでいて不安...
心細くて、無防備なふたつの魂が、はかなく寄り添いあって現実のすぐ隣にある世界にふっと移ろっていくようなお話、短編集。 恋愛小説とあるけれど、ふたりの間で完全に閉じてしまっている世界や、思いのほか生々しさを覚える描写は、恋愛というよりも独特の男女のあり方を描いていて、読んでいて不安な、時に不快なー目を醒まして!と言いたくなるようなー心持になる。 共感のできるお話ではないけれど、川上弘美さんらしい小説と言えばそうなのかな。タイトルも。
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川上弘美の小説を読むときはたっぷり時間がある時がいい。 ふつうなら、どろどろの男女関係が特別な空間で起こっている感じでよい。 この溺レるでは、行為の表現が独特で感心した。 ハシバさんを蹂躙したいのに別の男に蹂躙された。 サカキさんとの交歓は、おこなっているうちに体が粘ってきた。 ...
川上弘美の小説を読むときはたっぷり時間がある時がいい。 ふつうなら、どろどろの男女関係が特別な空間で起こっている感じでよい。 この溺レるでは、行為の表現が独特で感心した。 ハシバさんを蹂躙したいのに別の男に蹂躙された。 サカキさんとの交歓は、おこなっているうちに体が粘ってきた。 ウチダさんの情交はねばり強かった。 一心不乱にほどこした。 など、男とのアイヨクに溺れる表現が面白い。 お酒と食べ物が美味しそう。 酒、食べ物、男と女、愛欲について、ゆっくり読みました。 もう一度「坊っちゃん」読もうかな。
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行間に立ち込める空気をどこかで感じた事があると思ったら、太宰の斜陽だった。 収録作品の多くが「虚ろな男女のどこか前向きではない逃避行」といった風情。カラダの結びつきも描かれるわけだが、淡々としたエロさが文章として美しい。 そしていつもの川上節というのか、暖簾に腕を押すような男女...
行間に立ち込める空気をどこかで感じた事があると思ったら、太宰の斜陽だった。 収録作品の多くが「虚ろな男女のどこか前向きではない逃避行」といった風情。カラダの結びつきも描かれるわけだが、淡々としたエロさが文章として美しい。 そしていつもの川上節というのか、暖簾に腕を押すような男女のかけあいもしみじみとした味わい深さがあって心地いい。 砂時計の砂がさらさらと落ちて時の経過を告げる、そんな読後感。印象に残ったのは「さやさや」「溺レる」「可哀相」「七面鳥が」「神虫」の4篇。
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