血と骨(下) の商品レビュー
このお父さんは何で…
このお父さんは何でこんなに冷たいのでしょうか?理由が明かされないのが逆に不気味でした。本能のままに生きる獣そのもの。 最後は彼の生きてきた人生にふさわしい最期で胸のつかえが取れた感じがした一方、少し切なくもなりました。 子どもの視点で父親からの暴力から逃げ惑う描写にはハラハラし...
このお父さんは何でこんなに冷たいのでしょうか?理由が明かされないのが逆に不気味でした。本能のままに生きる獣そのもの。 最後は彼の生きてきた人生にふさわしい最期で胸のつかえが取れた感じがした一方、少し切なくもなりました。 子どもの視点で父親からの暴力から逃げ惑う描写にはハラハラします。 普通の幸せを掴むのって本当に難しいなって感じました。
文庫OFF
映画を先に観ていてお…
映画を先に観ていておりますが、よく分らなかったところが補完できました。特に最後に金俊平の選んだ行動が映画では唐突で少し唖然としたのですが、現実的で切実した理由であったことが分りました。
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蒲鉾工場を立ち上げて…
蒲鉾工場を立ち上げて成功、それから高利貸しに。病気になって暴力をふるえなくなると、家族に復讐される。すごい人生です。やりたいことをやって生きていた人は、なんて結末なんだろうと。
文庫OFF
自身の父をモデルにし…
自身の父をモデルにした壮絶な親子と家族の葛藤の物語の下巻。韓国でも異郷といわれた済州島からの移民の、特異な感性と極太の人生を余すことなく描く。その父の異常な凶暴性に感動すら覚える。山本周五郎賞受賞作。
文庫OFF
圧倒されます!!
第11回「山本周五郎賞」受賞。太平洋戦争前後の日本における、朝鮮人社会を舞台に、破天荒な主人公と彼を取り巻く人間を描いた力作。暴力的だが、黒い魅力も持つ主人公……圧倒されます。
marie
★3.5かな。 化け物の徹底的描写と最後の哀しい呼び掛けはそのまま故郷を蹂躙された、そして帰る地無き民の写し絵なんでしょう。 だからこそ解説が余計で至極残念。 言わずにはおれないのは分かりますが、純文学とかエンタテイメントとか、小説にとってはそんなこと基本どうでもいいはずなんです...
★3.5かな。 化け物の徹底的描写と最後の哀しい呼び掛けはそのまま故郷を蹂躙された、そして帰る地無き民の写し絵なんでしょう。 だからこそ解説が余計で至極残念。 言わずにはおれないのは分かりますが、純文学とかエンタテイメントとか、小説にとってはそんなこと基本どうでもいいはずなんですけれども。本作の何とも言えない、蠢く読後感を削いでしまって。。。
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長編だがそれにしても時間がかかった。金俊平という男の振る舞いが、なぜ逮捕されないのかと思うほど陰惨。作者の父をモデルとしているが、架空の存在でないわけがない。凶暴性の塊で、鬼の化身とも獣以上に獣ともいえる人間。巻末の書評に帝国(日本)へ無意識の復讐とあった。「業」を味わい尽くした...
長編だがそれにしても時間がかかった。金俊平という男の振る舞いが、なぜ逮捕されないのかと思うほど陰惨。作者の父をモデルとしているが、架空の存在でないわけがない。凶暴性の塊で、鬼の化身とも獣以上に獣ともいえる人間。巻末の書評に帝国(日本)へ無意識の復讐とあった。「業」を味わい尽くした。 金俊平という荒々しい男はずっと肉体に支配されていたようなもので、肉体の欲するまま酒を飲み女を陵辱した。肉体はやがて衰え消滅に向かうが、血と骨はいやでも子どもらに遺されていく。 愉快ではない読書だったが不思議と放り出す気になれなかった。作者に筆をもたせたのはまさに血と骨なのだろう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
おぞろおぞろしい本やった。一気に読み終わったけど金俊平が蒲鉾工場するってゆって嫁に金せびったり色々して成功したのに…家族のために一銭も使わないし、妾は結局1人は病気になるし、定子には財産ボロクソにつかわれるし、なんかもう自分がしたのそのままかえってきとるかんじしたけど少しかわいそうな最後やった。 情がうつったらいかんけど漢成を見捨てたのはよくやった!!!ほんとに奥さんは報われんかった。 この本で唯一プラスにしようと思った発言は 『部屋が汚れてるんじゃない賑やかだね』 でも本当におもしろかった!!
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下巻も上巻と同じように、嫌な気分になる小説だった。エンタメ的な快適さはなくて、もしかしたらこれは純文学なのではないかと思った。金俊平のモデルは著者のようだし、息子の成漢がのちにタクシー運転手になるところも著者と同じだ。 血と骨は両親から受け継ぐもので、息子の話が強く出てくるの...
下巻も上巻と同じように、嫌な気分になる小説だった。エンタメ的な快適さはなくて、もしかしたらこれは純文学なのではないかと思った。金俊平のモデルは著者のようだし、息子の成漢がのちにタクシー運転手になるところも著者と同じだ。 血と骨は両親から受け継ぐもので、息子の話が強く出てくるのかとも思ったが、そういうわけではない。タクシー運転手として東京で暮らしている成漢は、肉親の関係はずっとついてくるのだと思った。それで、著者が何を言いたいのかが分からない。親からの宿命や業が、子にはまとわりつくということなのか。何か見つけられるメッセージがあるのだろうが、描写が凄まじくてそれを探すには精神力が必要な作品だ。 文章はすごくまとまっているわけではないが力は強いと感じる。視点などは、あまり統一されておらず、わざとかは分からないが、それが煩雑さを助長させる。 金俊平の30代から死ぬまでを書いた小説になるのだが、やはり金俊平の怪異ぶりは凄まじい。そういう悍ましいシーンで薄れてしまいそうだが、意外と権力者には弱いようで、警察や日本人には暴力を振るわないし、息子の学校の先生が訪ねて来たときなどは平身低頭していた。金俊平の暴力は自分より弱いものだけにしか向かわないのだ。自分のことは棚にあげて人を責める。これは在日朝鮮人である著者のメッセージか。日本という国は、金俊平という人物で表しているのかな。 著者の他の作品や、どういう政治思考を持つ人物かを知ると、本書の見方も変わってくるかもしれない。
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うろおぼえなんですが、この野獣みたいな金というおっさんが本当に嫌で、なんでこんな本読まなきゃいけないんだろうと心にダメージを受けながら読みました。押しが強いとかそういうレベルではなく生理的に受け付けなかったなあ。。。
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