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血と骨(下) の商品レビュー

3.7

40件のお客様レビュー

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2016/01/27

下巻になると親子の確執が明確になってくるのだが、その描写が凄まじい。 金俊平は本当にひどい男だが、実際にこんな人はいたのかもしれないと思わせる。暴力に怯え、儒教による親子観に縛られ、父親に屈する子どもたちは、濃い「血縁」から逃れられない。 親子の確執が描かれるだけでなく、戦前から...

下巻になると親子の確執が明確になってくるのだが、その描写が凄まじい。 金俊平は本当にひどい男だが、実際にこんな人はいたのかもしれないと思わせる。暴力に怯え、儒教による親子観に縛られ、父親に屈する子どもたちは、濃い「血縁」から逃れられない。 親子の確執が描かれるだけでなく、戦前から戦後の日本と在日朝鮮人のリアルな姿が描かれている気がした。

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2015/04/21

暴力的な金俊平は妾を作り、自分勝手な生活を続ける。 蒲鉾工場を経営するため、妻の英姫に金を工面させ巨額の富を得ることになるが、家族には着物の一つも買ってやろうとはしない。 家族との溝は深まるばかりで、その内年齢とともに体力も落ちていく。 さんざん暴力をふるい、人を信じずに金ばかり...

暴力的な金俊平は妾を作り、自分勝手な生活を続ける。 蒲鉾工場を経営するため、妻の英姫に金を工面させ巨額の富を得ることになるが、家族には着物の一つも買ってやろうとはしない。 家族との溝は深まるばかりで、その内年齢とともに体力も落ちていく。 さんざん暴力をふるい、人を信じずに金ばかりを大切にしてきた俊平に、息子も手を差し伸べることはなかった。 孤独な男の寂しくも哀しい人生だった。 2015.4.20

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2014/12/28

うーん、上巻から金俊平がどうも苦手だと感じてたのはあれだ、『酒乱の父親』ってのにトラウマがあるからだと気づいた

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2014/11/02

因果応報といえばそれまでなんですが、それで片付けきれないですね。英姫に対しても子供たちに対しても、あまりにひどい仕打ちをしてきたので成漢のとった選択は当然だと思います。それなのにラストの成漢は後悔するどころか罪悪感さえ抱いているように見えました。 “血と骨”なんだなと思います。 ...

因果応報といえばそれまでなんですが、それで片付けきれないですね。英姫に対しても子供たちに対しても、あまりにひどい仕打ちをしてきたので成漢のとった選択は当然だと思います。それなのにラストの成漢は後悔するどころか罪悪感さえ抱いているように見えました。 “血と骨”なんだなと思います。 成漢の中で金俊平という男は、ただの復讐や憎しみの対象というだけではなかったんじゃないでしょうか。超えなくてはならない父親としての壁だったのかもと思います。 金俊平の手を振り払うことは成漢にとって超えたことにならなかったんでしょう。ただ情のない父親と同じことをしてしまったという罪悪感。あそこで手を取っていたら、父を超え打ち勝つことができたのかしれません。 なんとなく苦い気分ですね。

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2017/08/15

 上巻で、戦中の混乱をさらっと書き流して、戦後の荒廃した日本からスタートする下巻。  戦前ひどい仕打ちをした日本人に対して、民族闘争のデモで権利を要求する朝鮮人たちのリーダーに金俊平の娘婿がいた。金はその娘婿を利用し、蒲鉾工場をつくる権利を朝鮮人共同体を脅しに使い当局に認めさせ...

 上巻で、戦中の混乱をさらっと書き流して、戦後の荒廃した日本からスタートする下巻。  戦前ひどい仕打ちをした日本人に対して、民族闘争のデモで権利を要求する朝鮮人たちのリーダーに金俊平の娘婿がいた。金はその娘婿を利用し、蒲鉾工場をつくる権利を朝鮮人共同体を脅しに使い当局に認めさせた。(今の感覚で考えると想像しにくいが、戦後間もないころは蒲鉾は贅沢品で、製造許可が出ていたのは日本人が経営する2社だけだった)  それによって大儲けしたした金俊平は高利貸しを始めた。大阪でも屈指の金持ちになったにもかかわらず、家族に対してはした金しか渡さないドけちぶり。金に対する執着がすごく、執拗な取り立てを苦に人が死のうがお構いなし。時にはやくざを使って会社を倒産させて債権を回収したりする。  妾を囲うのは家族が住む家の目と鼻の先。その妾が病に倒れたら、新たな妾をつくりる。妻が病気になってもびた一文出さない。大きくなった息子と骨肉の争いを繰り広げる。(その前にも子供を餓死させたり、自殺に追い込むようような事態を招いている)    ひどいとしか言いようがない。完全に唯我独尊状態。王様に臣下が従うのは当然と思ってる。  そんな金俊平にも老いと病気が忍び寄る。(ネタバレになるので詳しくは書けない) いろいろあって最後は醜態をさらすのだが、因果応報でざまあみろと、感じてもいいと思うのだが、なぜかそう感じない。  稀代の悪党の最後に哀愁を感じる。    人食い熊と格闘して来し方を振り返る猟師の感慨にも似ている(もちろん想像だけど)  ひさしぶりにすごい小説を読んだ。圧巻だった。

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2014/03/31

恐ろしい金俊平も老化や病気には勝てなかった様子。 それにしても、英姫と子供たちが本当に可哀想だった。特に英姫は貧乏くじを引いてしまったとしか思えない。 北朝鮮に取り残されている定子の子供たちのその後も気になる。

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2013/11/26

凄まじい親父の話。ホントに酷くて途中もはや笑っちゃったけど、でも己のみを頼り実際に実力(?)で好きなように生きていく姿は、仕事がもの凄く出来てけれども他人を省みない嫌な人タイプのワーカホリックに少し似てる気もした。利己、のみ。 何にしても凄かった、本なのに金俊平に圧倒されつつ最...

凄まじい親父の話。ホントに酷くて途中もはや笑っちゃったけど、でも己のみを頼り実際に実力(?)で好きなように生きていく姿は、仕事がもの凄く出来てけれども他人を省みない嫌な人タイプのワーカホリックに少し似てる気もした。利己、のみ。 何にしても凄かった、本なのに金俊平に圧倒されつつ最後まで読んだ感じ。

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2012/10/07

朝鮮は好きではない。個人の感想だが。。 戦争、生活、生き残り、、 子供のため、家族のため、、 ただ単に暴れているが、自分、強いては家族、家系のために、命を張り。。 現代日本ではあり得んし、生温いかなと、再確認。。

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2012/06/20

根底的に描きたかったのは、タイトルにも表れている、いわゆる血縁。ちょうど個人的に親とごちゃごちゃしたのもあって、偶然にもタイムリーな話題提供をしてもらった形になった。まだ答えは出ないし、そんな簡単に片づける問題ではないと思うけど、血縁という枠内では、目上の考え方は盲信して服従し、...

根底的に描きたかったのは、タイトルにも表れている、いわゆる血縁。ちょうど個人的に親とごちゃごちゃしたのもあって、偶然にもタイムリーな話題提供をしてもらった形になった。まだ答えは出ないし、そんな簡単に片づける問題ではないと思うけど、血縁という枠内では、目上の考え方は盲信して服従し、どんな相手であろうとお互い敬意を抱き合って、みたいな考え、逆に不健全じゃないすかね?

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2012/05/17

圧倒! 価値観が違いすぎるけど、入り込めなくならない筆力。 業なのだ。 こんな父親絶対いやだ!でも実話ってまじなの。

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