父と暮せば の商品レビュー
喜劇と悲劇のマーブル模様。愛情劇。助言を与え、諭し、励まし、笑わせ、時にあきれられる、こんなとーちゃんになりたい。
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【20110123 読書会 副本】そのタネは、思えば相当に早い段階から分かりやすく何度も書かれていたのに、なぜかかなり後半まで気がつかなかった。それが明かされ(わたし的に)てからは号泣~。
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原爆で生き残った娘と亡くなった父のやりとり。 「うちはしあわせになってはいけんのじゃ」 ただ一人生き残った者に、そう思わせる戦争とは何か?
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内容はすばらしい。しかし、この広島弁はいけません。 広島で「ぜっぴ」(=絶対)とは言いません。 これは備後地方の言葉です。その他、広島人にもわからいない言葉がある。著者が亡くなられた今、どうしようもないでしょうが、残念です。
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言葉は写真や映像を超える。生き残った人はしあわせになってほしい。原爆の真実を伝えることの責任を強く感じた。
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昔映画で観たものの、本で読んだのは今回が初めて。 やはり、中途半端な気がする。 最後に父親の話を引き合いに出して締めているが、あっさりし過ぎだと思う。 中盤の描写ばかりが印象に残ってしまい、後味が良いとは言えない。 戯曲と小説の違いなのか、それとも 筆者が伝えたい事と自分が読...
昔映画で観たものの、本で読んだのは今回が初めて。 やはり、中途半端な気がする。 最後に父親の話を引き合いに出して締めているが、あっさりし過ぎだと思う。 中盤の描写ばかりが印象に残ってしまい、後味が良いとは言えない。 戯曲と小説の違いなのか、それとも 筆者が伝えたい事と自分が読みたい物の違いなのか。
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「うち、人を好いたりしてはいけんのです」と心に命じて生きる美津江に好きな人ができた。だが、その心をかたくなに封じ込めようとする。 そんなところに父が現れ、心を解きほぐし、導いていく。 こまつ座の芝居を観た機会に再読。 台詞の一つひとつが身に沁みる名作。
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「生き残った私だけが幸せになるわけにはいかない」 と、木下さんを好きになる気持ちを追いやろうとする主人公。 胸がしめつけられる。 お父さんの、ほのぼのとした中にも厳しい語り口に、愛情を感じる。
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初めての戯曲がこの作品でよかった。 戦後の広島の父と娘の話。 原爆、戦争、残された家族・・・ ずんずん読めるのに、多くを考えさせられる作品。 もっともっと井上ひさし読んでみたい。
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(2006.08.28読了)(2006.08.25購入) BS2で「父と暮らせば」という映画を放映していたので見たのですが、耳が余りよくないせいか台詞がよく聞こえませんでした。原作がわかったので、神さんが買ってきて読み、神さんから回してもらって読みました。 井上ひさしの戯曲でした...
(2006.08.28読了)(2006.08.25購入) BS2で「父と暮らせば」という映画を放映していたので見たのですが、耳が余りよくないせいか台詞がよく聞こえませんでした。原作がわかったので、神さんが買ってきて読み、神さんから回してもらって読みました。 井上ひさしの戯曲でした。何度かこまつ座で上演しているようです。初演は1994年です。映画もこの台本をそのまま使っているようです。 時は、昭和23年7月、場所は広島市、主人公の名前は、福吉美津江。原爆で父(竹造)をなくし、母は、既に亡くなっているので、一人暮らし。 美津江は、図書館の受付をしている。原爆投下の年まで、呉の海軍工廠で、教官をしており、今は文理科大学で物理教室の助手をしている木下さんが図書館にやってきて、美津江とお互いに一目ぼれしたらしい。 美津江は、友人や父親が原爆で、不幸にも死んでしまい、自分は生き残ったけれど、自分だけ幸せになる事は許されないと考えている。原爆の後遺症で、自分に病がいつ襲ってくるかもしれないし、もし結婚して子どもが生まれるとしても五体満足な子どもというわけに行かないかもしれないという不安もある。 相談相手が必要である。死んだはずの父親が現われてあれこれと相談に乗ってくれる。映画では、木下さんも出てきたけど、劇ではきっと父と娘だけなのだろう。 原爆投下のとき、父と娘は庭に出ていた。父はまともに原爆の閃光を受け、娘は出しに行こうとしていた手紙を落とし、手紙を拾おうとかがんだ時、石灯籠の影で隠れ、閃光はあびずに済んだ。父は、倒れた家の下敷きになり、娘はそれを助けようとしたが火事が起こり、父を見捨てて逃げざるを得なかった。 原爆の凄さと、それが引き起こした悲劇を見事に描いている。 ●原爆の威力(50頁) 広島の上空580メートルのところで原子爆弾ちゅうもんが爆発しよった 爆発から一秒後の火の玉の温度は摂氏一万二千度じゃ。あの太陽の表面温度が六千度じゃけえ、あのとき、広島の上空580メートルのところに、太陽が二つ浮いとったわけじゃ。地面の上のものは人間も鳥も虫も魚も建物も石灯籠も、一瞬のうちに溶けてしもうた。根こそぎ火泡を噴いて溶けてしもうた。 ●図書館の仕事(105頁) 人間の悲しいかったこと、楽しいかったこと、それを伝えるんがおまいの仕事じゃろうが。 ☆井上ひさしの本(既読) 「青葉繁れる」井上ひさし著、文春文庫、1974.07.25 「吉里吉里人」井上ひさし著、新潮社、1981.08.25 「私家版 日本語文法」井上ひさし著、新潮文庫、1984.09.25 「井上ひさしのコメ講座」井上ひさし著、岩波ブックレット、1989.05.22 「続・井上ひさしのコメ講座」井上ひさし著、岩波ブックレット、1991.11.20 著者 井上 ひさし 1934年 山形県生まれ 上智大学外国語学部フランス語科卒業 『道元の冒険』(岸田戯曲賞、芸術選奨新人賞) 『手鎖心中』(直木賞) 『吉里吉里人』(読売文学賞、日本SF大賞) 『腹鼓記』『不忠臣蔵』(吉川英治文学賞) 『シャンハイムーン』(谷崎潤一郎賞) 『東京セブンローズ』(菊池寛賞) 『太鼓たたいて笛ふいて』(毎日芸術賞、鶴屋南北戯曲賞) ☆関連図書(既読) 「南京への道」本多勝一著、朝日新聞社、1987.01.20 「南京事件」笠原十九司著、岩波新書、1997.11.20 「七三一部隊」常石敬一著、講談社現代新書、1995.07.20 「失敗の本質」戸部良一・寺本義也・他著、中公文庫、1991.08.10 「太平洋戦争の失敗10のポイント」保阪正康著、PHP文庫、1999.12.15 「もはや高地なし」ニーベル・ベイリー著、カッパブックス、1960.10.15 「ヒロシマ・ノート」大江健三郎著、岩波新書、1965.06.21 「黒い雨」井伏鱒二著、新潮文庫、1970.06.25 「夏の花・心願の国」原民喜著、新潮文庫、1973.07.30 「長崎の鐘」永井隆著、中央出版社、1976.06.20 (「BOOK」データベースより)amazon 「うちはしあわせになってはいけんのじゃ」愛する者たちを原爆で失った美津江は、一人だけ生き残った負い目から、恋のときめきからも身を引こうとする。そんな娘を思いやるあまり「恋の応援団長」をかってでて励ます父・竹造は、実はもはやこの世の人ではない―。「わしの分まで生きてちょんだいよォー」父の願いが、ついに底なしの絶望から娘をよみがえらせる、魂の再生の物語。
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