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鱗姫 の商品レビュー

3.6

66件のお客様レビュー

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2022/12/02

4/10. 提示される美意識に関しては深く同感した。後半の方は面白かった。いつも思うが著者さんの性欲の余りが作品に滲んで出て、少し下品にも感じる。

Posted byブクログ

2021/08/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

“乙女のカリスマ”こと、嶽本野ばらさんの描く美醜観念…それがこの一冊に凝縮されていて、とても充実して、そして実に耽美的な内容。2日程で読み終えました。しばらく読書をしていなくても、嶽本野ばらさんの作品はグイグイと私を読み耽らせる魅力があります。強くて美しい生き方に勇気をもらう…! 「美」という観念に固執する主人公、龍鳥楼子が受けた龍鳥家の呪われし遺伝病、通称「鱗病」は、やがて自分をとても醜い姿に変えてしまうという、楳図かずおの『おろち』の中の話のような病気。自分の中に現れたこの醜い塊に、彼女は絶望します。なんとなくですが、楼子が言うことも理にかなっているかなぁと思います。「外面を決めるのは内面」「美しいか醜いかで決まる」という彼女の考え方は決して誇張した表現でもなんでもなく、事実としてこの世の中に蔓延した強迫観念のようなもので、実に言い得て妙な表現だと思います。だからこそ、楼子は強い少女で、そこに勇気をもらうのです。人によってはちょっと不遜に感じる彼女の態度ですが、彼女自身も自分は不遜だと自負しているし、なんてったって嶽本野ばらさんの書く乙女ですから、苛烈な思想は持つもの(笑)。ただ、ちょっとイレギュラーなのはやはり「鱗病」という架空の病でしょう。楼子はコンプレックスとして「醜さ」を持つ少女です。ここがやはりほかの小説と比べてみても明らかに変わったところでしょう。「ブス」とかじゃなくて「醜い」ですからね。楼子や黎子叔母さんたちの絶望は凄まじいものだったのでしょうね。ひたすら「醜さ」を否定する楼子が、一番の「醜いもの」を持っている…。しかし、「醜さ」が嫌悪された本作だからこそ、「美」が極まったとも考えられるのです。嶽本野ばらさんの文体だから尚更です。何度も出てくるエリザベートも、楼子の視点から見るとやはり違って見えてきます。本作ではその、「美しさと醜さ」が絶対的なようで実は曖昧なのだと気づかせてくれる、素晴らしい作品になっていました。最後の終わり方はいかにも嶽本野ばらさんらしかったですね。でもやっぱり近親相姦だったり「鱗病」だったり、『鱗姫』では新しい嶽本野ばらさんを見つけたような気がします。(感想久しぶりでまとまらない…)

Posted byブクログ

2021/07/01

再読。初めて読んだ時を懐かしく思い出しながら読みました。エリザベート・バートリーの逸話と創作の鱗病を組み合わせたり、血の呪い(遺伝的な病)、病を癒すための贄としての生き血、主人公達の際立った美貌と過剰なまでの美意識、小道具として登場するVivienne Westwoodなどのハイ...

再読。初めて読んだ時を懐かしく思い出しながら読みました。エリザベート・バートリーの逸話と創作の鱗病を組み合わせたり、血の呪い(遺伝的な病)、病を癒すための贄としての生き血、主人公達の際立った美貌と過剰なまでの美意識、小道具として登場するVivienne Westwoodなどのハイブランド、そして兄と妹の禁断の愛……野ばらさんが「美しい」と感じるもの全てが詰まった小説。特に鱗病とエリザベート・バートリーの取り合わせは野ばらさんの創作だと解っていても妙に説得力があって、面白い。やはりこの方が紡ぐ世界観、一貫した美意識が凄く好きだなと思いました。

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2015/09/18

楼子の口調やお嬢様なところ、ヴィヴィアンウエストウッドが好きなところが好き。 美学を持っていて自分の肌に熱心なところも素敵。

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2015/04/15

「おろち」とはまたべつの意味で ぞっとしました。 でもなんだか綺麗で、というかお兄ちゃんすごい。 ありえないような説明もなんだか なるほどー。と思ってしまいます。

Posted byブクログ

2013/02/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

鱗、鱗。 たまに入る楼子の突っ込みやブランドの名前などなどに楼子のお嬢様口調が加わってかなり俗的な文章。 物語の展開は中盤までのんびりとしていて最後に一気に押し寄せる。 しかし性器の周りから生えてくる、や、性交渉で男性にうつる等はあまりいらなかった。 というより友人に聞いた話を鱗が生えてくる美少女とその兄の愛という美しい話だと勝手に解釈してしまったのが悪かった。 性格にアクが強くキャラに悪い意味で感情移入ができない。しかしそれは楼子にぴったりじゃないだろうか? 私が「楼子の語り気に入らないなぁ」「この性格悪いなぁ」なんて思ったとしても楼子は一切気にしないのだろう。作者のキャラの作りには感心した。 しかしギョエーなんて読まされては胃ももたれる。物語自体は面白かった。 鱗、私は綺麗だと思います。 この世界では受け入れられないらしい。残念。

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2012/12/08

澁澤龍彦 世界悪女物語に出てくるような世界なのに 笑えるし 鬱な気分にならないのは 語り口調のおかげだわ 大好きですね

Posted byブクログ

2012/09/19

エリザベート・バートリーを彷彿とさせる結末を迎える耽美的な物語。 美に人一倍執着を持つ主人公が、美と反対の醜悪を象徴する鱗病にかかる。懸命に運命に抗う様は、異様であり、驚嘆に値すると思う。

Posted byブクログ

2012/03/26

 なんとなく今まで避けてきた作家、初・野ばら作品でした。  美にこだわる楼子(たかこ)。美しいものを愛し、美しくあるために努力を怠らない。  そんな楼子には11歳の頃から秘密にしていることがあった。それは、自分の皮膚の一部がまるで鱗のように変化していっていることだった。  いつ...

 なんとなく今まで避けてきた作家、初・野ばら作品でした。  美にこだわる楼子(たかこ)。美しいものを愛し、美しくあるために努力を怠らない。  そんな楼子には11歳の頃から秘密にしていることがあった。それは、自分の皮膚の一部がまるで鱗のように変化していっていることだった。  いつかその鱗が全身を侵食しやしないかと恐れる楼子。皮膚の鱗化を止めることはできるのか。  途中までは貪るように読んだけど、畠山の存在の必要性を感じられなくて後半はだらだら読んでしまった。  美しさにこだわるあまりに破滅した女性というのは歴史上にも実在するが、みんなそんなたいそれたことを思い描いてなんかなくて、ただただ我が身が可愛いだけなんだろうな。

Posted byブクログ

2012/02/16

感動の涙が云々と帯にはあったけれど、涙とか感動とか、そういったものは、私は特に感じませんでした。ただ嶽本氏の作品は、独特の世界観と文章が楽しめるので、それが好きな人にはOKかと。 でも、個人的には『ミシン』を超える衝撃ではなかったし、冒頭あたりはちょっとチャレンジな部分も見られて...

感動の涙が云々と帯にはあったけれど、涙とか感動とか、そういったものは、私は特に感じませんでした。ただ嶽本氏の作品は、独特の世界観と文章が楽しめるので、それが好きな人にはOKかと。 でも、個人的には『ミシン』を超える衝撃ではなかったし、冒頭あたりはちょっとチャレンジな部分も見られて、この作品は本人的にどうなのかなーと思いを馳せてみたりもしました。

Posted byブクログ