片想い の商品レビュー

東野圭吾(著者)

2010/05/17

東野圭吾さんの片思い

この作品は、ある女性が性同一性障害であることと殺人を犯した事を同級生に告白をして、同級生たちで彼女を匿うお話。

十年ぶりに部活仲間と再会した際、昔女の子だった美月という女性が男性になっていた。というだけでびっくり何だけど、殺人を犯したという告白にもびっくりな始まり。

性同一性障害の女性(男性)だけでなく、彼女を支える同級生たちの現状や背景が以外に入り組んでいて、後半も読んでいてハラハラどきどきさせられました。

ただの殺人サスペンスではなく、友情や愛情そして読者を裏切らない結末・・・・。本当に面白かったです。題目にもあるように、理解してほしい人になかなか分かってもらえない心の奥底にある強い片思いという気持ちがぎっしり詰まっていました。

東野さんはさらに昔の作品で秘密を書いています。この作品では妻と娘が逆転するお話。今回の片思いは男と女が逆転ということで秘密を引きずっていると述べていました。

今回は秘密と違って、難しい境界線を描いていたけどとっても読んでいて切ない気持ちになったけど、熱い友情もあり読み終わったときは爽快感でいっぱいでした。

ぜひもう一度時間を置いて再度読んでみたい作品です。

やっぱり面白かった。

ではまた

2010/05/23

帝都大アメフト部のOB西脇哲朗は、十年ぶりにかつての女子マネージャー日浦美月に再会し、ある「秘密」を告白される。あの頃の未来にいるはずの自分たちは、変わってしまったのだろうか。過ぎ去った青春の日々を裏切るまいとする仲間たちを描く傑作ミステリー。 （amazonより抜粋）

2010/04/25

東野作品も久しぶり。

東野圭吾は当たりはずれが極めて少ない良質の作家さんです。

この本はおもしろいです。映画やらドラマやらになる気配は一切ないですが、おもしろいです。

他の東野作品とは一味違ったテーマですので、東野作品に飽きつつある人におすすめです。

2017/09/20

１０年ぶりに会った元マネージャーの美月の告白は衝撃的でした
性同一性障害は今ではテレビなどで取り上げられる事も多くなって
分かっているつもりでしたが、差別や生活への苦悩、半陰陽など知らない事も多く奥深い内容です。

作中で美月の行動に理解出来ない所が多々あるのですが
読み進めるうちに私も一つの固定観念に縛られていたのだと
知らされました。

ひとつひとつ、明らかになっていく真実は
変わってしまった仲間、揺らぐ家族、それでも変わらない友情など
人間ドラマが満載でした。

私は思慮深い中尾に一番、惹かれ感情移入してしまいましたが
この結果が良かったのかどうか・・・
読んだみなさんの感想が聞きたくなりました。

2010/03/18

先になかなか進めないカンジで
読み終えないと思ったけど最後どうなるのか
知りたい思いで最後まで読み終えました。
読み終えたらなんとなく納得だけど途中が気が重くなるというか
切ない思いがたくさんあるなって思った。

2010/02/13

性同一障害をテーマに殺人事件を絡めた
奥深い内容だった。
「男と女は繋がっているが、どこかで必ず捻じれている」＝メビウスの帯
（半陰陽という言葉を初めて知った。）

自分らしく生きたいと戸籍を交換し、
その生活を守ろうとみんなが一生懸命生きている。
世の中知らないことがまだまだ多い。

結末が気になって一気に読んでしまった。
悲しい結末だったけど、大事な人を守ろうとする気持ちに感動した。

2009/10/07

ほほぉー，なかなか面白い。末永の半陰陽については、つい最近、話題になった陸上選手を思い出した。小説になった時点で、現実が追いついてくるとは，さすがの東野さんも予測できなかったことか？理系の人が書く推理小説はホントに面白い。もっと読んでみたい。

2009/10/29

ある日数年ぶりに再開した学生時代の仲間
なんと「性」が変わっていた。しかも衝撃の告白は続く・・・
数日後、姿を消したその仲間を追ううちに、事件は意外な方向へと転がり出す・・

さすがは東野作品
ラストまで一気でした。
性同一障害って案外多いのかもしれないね。
その人たちの抱える苦難って想像を絶するものがあるんだろうなぁ

2010/05/25

いやあ、東野作品あれやこれやオススメされてる未読タイトルいっぱいあるんだけど、これは誰からも言われてなかったからノーマークで。ドラマ化か映画化されてる原作タイトルもメモあるんだけど、そっちでもかかってないし。シンプルすぎる装丁とタイトルに、図書館で何度かみかけつつも手にとってなかったんだけど。

お(ﾟ∀ﾟ)　も(ﾟ∀ﾟ)　し　(ﾟ∀ﾟ)ろ　(ﾟ∀ﾟ)か(ﾟ∀ﾟ)　っ(ﾟ∀ﾟ)　た(ﾟ∀ﾟ；)　！！！！！！！！！！

読んではじめてこのタイトルに込められた意味の深さがわかる。途中からもう、次が気になって気になって、睡眠削っても読破しちゃうストーリー展開。ラストも、せつないね、これ。。。。お話の完成度でいえば十二分に映画化したくなる読み応えなんだけど、そうさなあ、これが映像化に手付かずなままの理由も、誰でもわかるね。キャストが難しすぎるからだ。美月を演じられる人いないよね。どう役作りしても、声がねぇ。嵯峨も末永睦美も。カオリも無理かもな。テーマを一語で言うなら「性」。ジェンダーの性ね。性同一障害、だいぶ社会的に認知されてきたようでも、そうだよな、「障害」という言い方自体が実はすでに差別なのかも。　「性同一障害なんて存在しない、治療すべきは少数派を排除しようとする社会のほうなんです」中盤で相川が語るこのひとことがいちばん刺さった。難しいね。この想いが両想いになることはないんだろう。内面の性と肉体の性器が違うというようなはっきりしたケースだけの問題でなく、男だからとか女だからとか、性差による被害、気苦労、その程度なら誰だってぜったい悩みあるよね。みんなどこかがグレーなんだとおもう。私だって、ある面ではすごく男性寄りな自分の中身を感じるもんな。ジェンダーのことだけなく、いろんな差別の間で傲慢と卑屈を揺れ動いてる自分についても傷の痛みを感じた。誰だって、なにか自分にとって大事なものを守るために、捨てる、ことはできなくても閉じ込めて蓋をして見ないようにしてる箱があるでしょ。その箱の重さのぶんだけ、読んだ人は西脇といっしょにため息をついて胃が疼くとおもうよ。や、読んでよかった。単なるセンセーショナルな物語ということだけでなく、その奥にある重いテーマを、わかる歳になったら息子たちにもこれ読んでほしいな。東野作品のなかでナンバー３くらいには躍り出たかも。隠れた名作、必見です。

2011/08/06

「分身」にもどことなく（遺伝子繋がり？）似たテーマ：性同一障害やあるいはその言葉を超えた「男とは？女とは？」まで。。。読んでる途中は　男の心を持った肉体的に女、その逆、さらには同姓に恋愛、更にさらにそれでも割り切れないもっと曖昧な部分もでてきて、ややこしや〜　でも、説明としてメビウスの環の例えは分かりやすかったので助かった。なんとか自分の中で整理できました。話としてはとても深く、タイトルにもいろんな意味が込められていて、ちょっといろいろ考えます。後読感も悪くないですね。いろいろあっても強く生きていこうとする登場人物たちに励まされる思いです。