鏡のなかの鏡 の商品レビュー
『モモ』や『はてしな…
『モモ』や『はてしない物語』で知られるエンデの代表作の一つ。30編からなる連作短篇集です。さすがエンデだと思わず唸ってしまう面白さです。何もかもが巧みです。
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モモや果てしない物語…
モモや果てしない物語の著者の作品なので、結構期待してたのですが、私にはちょっとテイストが合わなかったようです。ファンタジーなのですが小難しいです。短編同士にどこか繋がりがあったりするのはおもしろい。
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※このレビューにはネタバレを含みます
意味不明な他人の夢をずっと見せ続けられているような魅力的で気持ちの悪い本だった。けれども、その世界は不思議で幻想的であり、そこへ引きずり込まれていくのが嫌ではない自分がいた。個人的にはお互いを求めて門から門へ果てしない時間と道のり歩き続け、結果お互いを認識できずにそれを繰り返す男女の話がシュールで印象的でした。最後に花を男に投げつける花嫁、ボロボロの男、ぞっとしました。
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第3回ビブリオバトル全国大会inいこま予選会テーマ「かがみ」で紹介された本です。 2018.1.28
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「モモ」、「はてしない物語」、「自由の牢獄」など、エンデの世界観は大好きなので本書も手に取りました。なるほど、ほかの代表作に見られるような、ファンタジー性の比率は減り、現代社会の抱える病巣が記述されているなど、もはや児童文学ではまったくありませんが、それにしてもエンデ・ワールドは...
「モモ」、「はてしない物語」、「自由の牢獄」など、エンデの世界観は大好きなので本書も手に取りました。なるほど、ほかの代表作に見られるような、ファンタジー性の比率は減り、現代社会の抱える病巣が記述されているなど、もはや児童文学ではまったくありませんが、それにしてもエンデ・ワールドは本書も全開だと思います。本書は30の説話が盛り込まれていますが、ほかのレビュワーの方も書かれているように、最初は頭の中にクエスチョンマークが並びます。それぞれの説話のつながりが全く見えないからです。いったいこの本は何?という感覚ですが、それぞれの短編の世界に単純に身をゆだねてみることがよいでしょう。 そして後半になると徐々につながりが見えてきます。最後の5話くらいがまさにクライマックス、謎解きとなりますが、30話読んだあとも、完全には腑に落ちませんでした。そして本書の最後に精神分析の専門家の方が書かれている解説を読んで、やっと本書の全体像がわかり驚愕・畏怖の念を抱いた、という感じでした。そこでふと思ったのが、(最後の解説は読まずに)、30話目から逆に1話目に向かって読むのも面白そうだな、ということです。自分の内の内のさらに最奥部にいきつくという疑似体験ができるのではないでしょうか。 最後に自分の体験を紹介したいと思います。これは単なる偶然あるいは勘違いかもしれませんが、本書を読み始めてから、やたらと睡眠中に夢を見るようになりました。そして毎晩の夢はつながりがありそうで、なさそうでもあり、あたかも自分自身も夢の中で「鏡の中の鏡」を疑似体験しているかのようでした。そう思うと、「はてしない物語」のバスティアンのような、何か自分自身が物語の中に入り込んだという、ある種空恐ろしい感覚も抱いた次第です。 (2022年9月1日の追記)久しぶりに、ディカプリオ主演で渡辺謙も出演している映画「インセプション」を見ました。見れば見るほど、エンデの「鏡の中の鏡」とオーバーラップします。極めつけはディカプリオの奥さんの名前がモル、ということで、本書の第1話に登場するホルとの関連性を感じずにはいられませんでした。
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まさに「鏡に映った鏡」のような連作短編集。前作のラストと同じ表現で始まりながら全く新たな視点で立ち現れてくる、幻想的で美しい30篇の物語が楽しめる。
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途中睡魔と戦わねばならぬところもあったが全体的に冷たく硬質な幻想に満ちていてよかった。何故かなんとなく山尾悠子が彷彿とさせられた。 P177 吐き気をもよおすような外観の、この三匹の生き物が、いっしょになって音楽を奏でるなどということが、いったいありえるのか? あの暗く汚れた隅で...
途中睡魔と戦わねばならぬところもあったが全体的に冷たく硬質な幻想に満ちていてよかった。何故かなんとなく山尾悠子が彷彿とさせられた。 P177 吐き気をもよおすような外観の、この三匹の生き物が、いっしょになって音楽を奏でるなどということが、いったいありえるのか? あの暗く汚れた隅でいっしょにうずくまっている三匹が、あらゆる和音のなかでもっとも純粋なこの和音を生みだすなどということが、ありえるのか?
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一度目をようやく読了。全体的に難しく感じた。作中「この人って前にいた人?」と思いながらも混乱のまま。2回目、3回目と読んでいくと理解が深まるかもしれないけれど、読むには結構気合いがいる。
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※このレビューにはネタバレを含みます
全30話の短編集。モモや果てしない物語のような児童文学を想像していたら、暗く難解な大人向けの物語ばかりでびっくり。 印象に残ったのは、舞台の上でひたすら幕が上がるのを待つダンサーの話と、展覧会を見て回る夫婦の話。どの話も総じて不気味な雰囲気があり、世にも奇妙な物語を彷彿とさせた。タイトルの通り、出口のない迷宮に迷い込んだような錯覚に陥った。
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30の小さな物語から構成された一冊。一つのお話が言葉とイメージによって次のお話へとゆるやかに繫がり、やがて円環の中へと閉じていきます。イメージに遊ぶうち、合わせ鏡のように読み手と物語の境界がぼやけてゆき、どこまでも迷宮に彷徨うような読書体験でした。
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