果つる底なき の商品レビュー
江戸川乱歩賞受賞作品。 二都銀行渋谷支店で融資業務にあたる主人公伊木。 同僚の坂本が不振なアレルギー死を迎え、その解明に挑む。 ボリューム、物語の展開とスピード、張り巡らされた伏線と真実。 どれをとっても、ここ最近読んだ小説の中では、 一級品のクライムサスペンスだった。 元...
江戸川乱歩賞受賞作品。 二都銀行渋谷支店で融資業務にあたる主人公伊木。 同僚の坂本が不振なアレルギー死を迎え、その解明に挑む。 ボリューム、物語の展開とスピード、張り巡らされた伏線と真実。 どれをとっても、ここ最近読んだ小説の中では、 一級品のクライムサスペンスだった。 元銀行員である著者ならではの、銀行の裏を書いた内容も、 フィクションでありながらも、リアリティを醸成している。 今後も池井戸作品を読んでみたいと思わせるには十分な良作。 久々の星5つ。
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池井戸潤のデビュー作にして、江戸川乱歩賞受賞作。 著者のキャリアである財閥系銀行の腐敗をテーマにした作品で、 そういう意味では現場感や銀行の派閥含めた内情は、 脚色こそあれこんな感じなのかなと思わされるところはある。 ただ、ビジネスの成功のために、 何人も殺人するものなのかなあっていう違和感はちょっとあって、 著者のキャリアを活かす銀行内部の腐敗と、 殺人事件を解決するというミステリーの融合に、 著者が相当の苦心しつつも完全には成功し得なかったのが ちょっと残念。 ただデビュー作ということを考えると 期待値が高すぎる気はするし、 すごく読ませるミステリーになっているので、 江戸川乱歩賞受賞に納得感はある。 空飛ぶタイヤ、鉄の骨といった著者のその後の活躍を考えると、 このデビュー作で江戸川乱歩賞受賞というのは 審査員の先見の明を感じさせる。
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都市銀の内部話が続いたときは目が滑りそうだったが(^-^;郵便受けに置かれた…辺りからは一気に。真実にじわじわ迫るにつれ闇が襲う!対峙を決意するとこなんて痺れまっせ。最後は静かに動きはじめる幸せを思わせる未来が^^金融ハードボイルドミステリー。
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経済ものはなかなか読めないんだけど、これは読めた。 というかドンドン読めた。 ミステリーだからかな。 元銀行マンだからこそ、このリアリティなんだと思う。
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ミステリーは人間への信頼。 読み終えてそう感じさせられた。 私をはじめ、多くの人がミステリーを楽しむ。 爽快感やスリルを疑似体験する。 読むに足るいろいろな理由があるだろう。 しかし、読後、人間への愛情が残ってほしい。 この物語はそうだ。 だから、読み終えた後に感動までも立ち上っ...
ミステリーは人間への信頼。 読み終えてそう感じさせられた。 私をはじめ、多くの人がミステリーを楽しむ。 爽快感やスリルを疑似体験する。 読むに足るいろいろな理由があるだろう。 しかし、読後、人間への愛情が残ってほしい。 この物語はそうだ。 だから、読み終えた後に感動までも立ち上ってくる。 銀行の内側を舞台とした希少なミステリー。 主人公は都市銀行支店の融資担当・伊木。 出だしから銀行員の印象を裏切る軽さがある。 そして、最後に挨拶をした同僚が不可解な死を遂げる。 物語の幕開けだ。 伊木は、死に疑問を抱き調べ始める。 そして、伊木の過去も明らかにされる。 本店勤務時代に不正を暴き、支店へ飛ばされたのだ。 そして、次第に明らかになってくる銀行の闇。 伊木にも迫る敵の手。 後半、長野での証拠調べの最中にはカーチェイスも織り交ぜられ サスペンス、アクションが入りまじった凄まじい展開に突入する。 そして。ラスト。 死んだ同僚の坂本の人格、 優しさが明らかになり涙を誘う。 伊木も、失った自分を再び取り戻す。 人間への愛が、信頼がそこにはある。
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前半面白かったけど後半失速した感じ。 「おぉ~」とも思うんだけど、せっかく銀行を題材にした話なのに リアルさに欠ける
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銀行に行きたいなら読んでみたらと薦められた本。 作者が元銀行員だけあって、リアル。働いたことなくても、リアル。笑 就活中の息抜きとしては、得るものが多かったと思う。 とにかくスピード感がすごくて、退屈なところが皆無だった。最後の章は時間を忘れて一気に読んだ。 全体として、大げさだけど、作者に対して人間としてのセンスみたいなものを感じた。かっこいいなあ。洒落てるねえ。 けどこういったミステリーってどうしても腑に落ちないところがあったりするんですよ、わたし。‘え、じゃああれはどうなったの!?’ってとこ。それと、内容が専門的なだけに分かりにくかったのでこの評価です。
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第44回江戸川乱歩賞受賞作品で 金融系のミステリー、というカテゴリーになるのでしょうか。 銀行の仕組みや暗部、企業の裏事情、経済との関わり方…と 普段なじみのない分野なので 難しいなぁ。。とやや構えて読み始めましたが 難しいのに読むのを止められない、先が気になる1冊でした。 ...
第44回江戸川乱歩賞受賞作品で 金融系のミステリー、というカテゴリーになるのでしょうか。 銀行の仕組みや暗部、企業の裏事情、経済との関わり方…と 普段なじみのない分野なので 難しいなぁ。。とやや構えて読み始めましたが 難しいのに読むのを止められない、先が気になる1冊でした。 ミステリー要素もあり、 ドキドキするようなアクション??ハードボイルド??要素もあり、 あっという間に読み終えてしまいました。 主人公が左遷されて今の部署に居る、という背景や、 おなじ部署でもそれぞれ派閥や立場があったり、 複雑な状況が続く中、登場人物も多かったので大変でしたが(笑) 頭を使いつつも、ストーリーに引き込まれてしまいました。 銀行事情が詳細に描かれているなーと感じていたのですが、 著者はどうやら銀行行員さんだそうで。
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巷でよく描かれている銀行内部事情の汚い側面を柱に 組織に媚びない主人公が圧力にめげずに真相を暴く よくあるサスペンス、スピード感もあり面白い 垣間見える上司や先輩の人間的な格好良さ・魅力の描き方が上手かったな~
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銀行を舞台にした云々という技術論はさておき、日々「やった者勝ちなんて許せねえ…(プルプル)」と社会の不条理に直面している人なら溜飲を下げること間違いなし、な作品。良い意味で娯楽的でもありますね。
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