沈まぬ太陽(2) の商品レビュー
理不尽な左遷の果てに…
理不尽な左遷の果てに、アフリカに赴任している主人公が、東京本社に呼び戻されるまでの苦悩といった話しだが、仕事の合間にハンティングに興じるなど、バブル崩壊後の不況下で生活苦に喘ぐ自営業の庶民には、大企業っていいよな・・・と思うばかり。
文庫OFF
2001年(発出1999年) 484ページ 2巻を読み終わって感じたことは、モデルである日本航空の御巣鷹山墜落事故、そして、日本航空経営破綻をニュースで見聞きしていた過去の経験から、ナショナル・フラッグ・キャリアにはこの先も暗雲が待ち構えているのだと教えてあげたくなるような気持...
2001年(発出1999年) 484ページ 2巻を読み終わって感じたことは、モデルである日本航空の御巣鷹山墜落事故、そして、日本航空経営破綻をニュースで見聞きしていた過去の経験から、ナショナル・フラッグ・キャリアにはこの先も暗雲が待ち構えているのだと教えてあげたくなるような気持ちです。この小説が書かれた頃は倒産はしていないけど、さもありなんと思わせるような中身の濃い2巻でした。3巻の御巣鷹山編は心して読もうと思いました。 私事ですが、風邪をひいて小説を読むのも辛かったのですが、この2巻目は途中をAudible で聞きました。Audible といっても聴き流しでは内容が入ってこないのである程度の集中力が必要です。この小説は、Audible でも自然に集中して聴くことができました。それほどのおもしろさです。ナレーターも素晴らしかった! 沈まぬ太陽3の配信はこれからなので、先に文庫本を読み終わることになりそうですが、これも楽しみです。 カラチからさらにテヘラン、ナイロビへと、まさに報復と思われる恩地の僻地赴任が続く。テヘラン赴任後、恩地の母の訃報の知らせが届く。慟哭の中、日本に帰国する恩地。その足で社長の桧山のもとを訪れ、テヘラン就航後は日本へ帰すとの約束を取り付けるも、その約束も反故となりその後のナイロビ赴任の辞令。妻とこどもとも離れ離れの生活。ナイロビでは週末ハンターとして、自然の中で唯一の趣味のハンティングに打ち込み、心の均衡をはかっていた。一方、国民航空の旅客機が連続事故を起こす……
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やっと帰国が叶い、ホッとする結末。とにかく一気に読ませる筆致。母なるアフリカの大地に守られた主人公だったのであろう。
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一巻読破からすぐに二巻開始。パキスタンからイラン、ケニアへ赴任させられ、約十年に及んだ僻地勤務が恩地の心情の変化とともに描かれている。 あと少しで日本に帰ることができる、と思い続け目の前の仕事に励むものの、本社から裏切られ続け、最後のケニアでは精神的に限界を迎える恩地。子供がいる身として、10年間子どもと日本で安心して暮らせなかった恩地の身になれば、これほど辛いことはないだろう。 会社に人生を踏み躙られたのだ。会社とは従業員を幸せにすることに存在意義があり、一部の経営陣のためにあるものではない。そんな経営陣に靡かず戦い続けた恩地の信念の強さに感服した。ただその信念を曲げなかった故に家族を巻き込み続けたことは、現代では受け入れられないかもしれない。この時代の妻の度量の広さにも驚く。 また、本社経営陣には見放されても、そのレッテルに左右されずに人を見て評価してくれる人(島津や南)もいるんだとこの作品を読んで思った。辛いことや厳しい時があってもコツコツ努力すれば誰かが見てくれている、と思えば何事も頑張れる。
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恩地が去ってからの本社には、会社の御用組合である第二労働組合ができる。 第二労働組合は第一労働組合から人員を引き抜いた為、第一組合へ残る組合員はわずかな人員となった。 恩地が後を託した第一組合の委員長の沢泉からの郵便メールで、現在の第一組合の実情を知らされる。 かつての労働組合の幹部は劣悪な環境の売却資材倉庫や資料管理室へ追いやられた。第二組合に移籍しない、第一組合員は、第二組合の人間の監視のもと、支店に日がな一日椅子に座らせられて、無為に過ごすことを強制されていた。 話を聞かされた恩地は憤り、本社への不当人事に対抗する憤りを募らせた。 パキスタンからイラン、そしてケニアへと、僻地をたらい回しにされた恩地は次第に心が荒んでいく。 恩地は週末のみのサラリーハンターとして、アフリカの地で、獣を狩る日々に、なんとか心のバランスを保っていた。 そんななか、沢泉からの連絡で、僅か五ヶ月の間に三度もの事故を起こす国民航空の現状を知らされる。 128人の乗客の命を失う連続事故を起こしたにもかかわらず、本社の運行管理者は横滑りの人事交代のみで、その無責任体制は続いていた。 事故をきっかけに国会で、衆議院交通安全対策委員会が開かれた。 これにより、国民航空の労働規約違反が白日のもとにさらされ、恩地はようやく日本への帰還ができることと成った。 恩地を、しぶしぶ日本へ戻すことに同意した労務部長の八馬忠次、副社長の堂本信介は、帰ってくる恩地に対する処遇を巡らした。 日本へ帰れることに成った恩地の荒んだ心は晴れ、家族のもとへ帰れるという希望を持った。 沢泉委員長が国会で、不当人事の状況を説明し、恩地への報復人事を証言する場面は、読んでいて心がスッとした。 三度もの連続航空機事故を起こしながら、変わらない本社役員の体質に憤りを感じつつ、あの稀に見る、御巣鷹山への航空機墜落事故の大惨事へと繋がっていく。 次巻へとつづく。
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主人公が3箇所目の僻地勤務に携わる過程で、生活にも慣れ、狩猟という趣味を見つけ、それなりの妥協を見出しはしたが、会社に対する怒りや孤独が徐々に精神を蝕んでいたという部分が衝撃的だった。 10年間の僻地勤務がようやく終わった。 会社の利益追求するあまりに社員を大事にしない姿勢が、...
主人公が3箇所目の僻地勤務に携わる過程で、生活にも慣れ、狩猟という趣味を見つけ、それなりの妥協を見出しはしたが、会社に対する怒りや孤独が徐々に精神を蝕んでいたという部分が衝撃的だった。 10年間の僻地勤務がようやく終わった。 会社の利益追求するあまりに社員を大事にしない姿勢が、立て続けに飛行機事故を起こしてしまった。起こるべくして起きた墜落事故。それでも企業は保身に走るもんなんだなぁ。巨大企業の恐るべき裏面を見た。
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10年にもわたる僻地をたらい回しにされた報復人事を、同じく日本で不条理な配置転換された仲間と共に、巨大組織と戦うさまに惹きつけられる。人事というどこの会社にもある普通に行われることが1人の人間とその家族を追い詰めていく。 正義と矜持のために組織と戦うか。地位と家族の幸せのために組...
10年にもわたる僻地をたらい回しにされた報復人事を、同じく日本で不条理な配置転換された仲間と共に、巨大組織と戦うさまに惹きつけられる。人事というどこの会社にもある普通に行われることが1人の人間とその家族を追い詰めていく。 正義と矜持のために組織と戦うか。地位と家族の幸せのために組織に取り入り社畜と化すか。小説としては非常に面白く読み応えがあるが、現実に組織社会で働く自分に引き寄せれば、極論の二者択一ではなくその中間に多種多様な選択肢が転がっており、常にその最適解を探し求めているのが現実なのだろう。
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この時代にアフリカに行く日本人が何人いたことか。ケニアの美しさも、本からしっかりと伝わってきました。また、そんな場所で恩地さんが、気丈に振る舞いながらも、精神的に追い込まれて行く様子も分かります。 1人の人間をここまで追い詰める会社組織にぞっとしつつ、恩地さんを信じて支える家族や...
この時代にアフリカに行く日本人が何人いたことか。ケニアの美しさも、本からしっかりと伝わってきました。また、そんな場所で恩地さんが、気丈に振る舞いながらも、精神的に追い込まれて行く様子も分かります。 1人の人間をここまで追い詰める会社組織にぞっとしつつ、恩地さんを信じて支える家族や、組合の仲間に感動と覚えます。
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人を想い筋を通す。それ故に心が弱る。僻地盥回しの不当な人事などで時折り人の醜さを感じるが、それでも筋は曲げず人を想い続ける恩地元という素晴らしい人間性に惹きつけられた。
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信じられないくらい不条理だったけど、 1人の社員のために組合員がこれだけ動いたり、 大企業の一社員が社長にアポなしで会いに行くのよ信じられなかった。 組合員離れが進んでいると新聞で読んだのだけど、 「個」が強くなっていく社会で 組合にかわるつながるものってなんなんだろ。 本...
信じられないくらい不条理だったけど、 1人の社員のために組合員がこれだけ動いたり、 大企業の一社員が社長にアポなしで会いに行くのよ信じられなかった。 組合員離れが進んでいると新聞で読んだのだけど、 「個」が強くなっていく社会で 組合にかわるつながるものってなんなんだろ。 本に書いてあるような組合の考え方っておそらく現代では受け入れられないところもあるだろうし、、、、 資本主義とか、稼げる稼げって悪いのもではないと思うんだけど、難しいな。 頑張ったら評価されたいし、 均等分配と平等、努力が報われないって違うよなーなんて考えたり。 わからん!
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