日の名残り の商品レビュー
イギリス人執事の話。 伝統に対する皮肉と哀愁が漂う雰囲気で、時代ものとしても真摯な感じです。 メイドさんと置物の向きについてケンカしたり、ご主人さまのためにジョークを練習する姿がすごい可愛い。キャストを見るかぎり映画も良さそうな感じ。
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何度読み返しても、読み応えがある。 話はイギリスの、それも1950年代の話にもかかわらず情景が頭に浮かぶ。 そして、なぜか郷愁を感じる。 カズオ・イシグロの作品で最も好きな作品。
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哀愁を帯びた美しい物語。 主人公の老執事が過ぎ去った古き良き時代を懐かしく思い出す。 過ぎてしまったことは忘れて前を向いて新しい生き方をしたらどうか?と人は言う。 しかし執事としての職務を全うする代償に個人としては大きな痛みを伴いながらも、その生き方に誇りを持ち、執事としての人生...
哀愁を帯びた美しい物語。 主人公の老執事が過ぎ去った古き良き時代を懐かしく思い出す。 過ぎてしまったことは忘れて前を向いて新しい生き方をしたらどうか?と人は言う。 しかし執事としての職務を全うする代償に個人としては大きな痛みを伴いながらも、その生き方に誇りを持ち、執事としての人生に満足して過ぎゆく時代とともに朽ちていこうとする。 土屋政雄氏の翻訳も素晴らしいです。
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言葉が美しい。 全体的に茶褐色でちょっとダルトーンな感じ。 英国執事の淡々とした回顧、というより“懐古”録。 堅苦しい物語なのかと思ったら意外と笑える。 生真面目で、 クサクサした煮え切らないミスター・スティーブンス。 ああしていたらどうだったろう、 いや、私のしたことでいいの...
言葉が美しい。 全体的に茶褐色でちょっとダルトーンな感じ。 英国執事の淡々とした回顧、というより“懐古”録。 堅苦しい物語なのかと思ったら意外と笑える。 生真面目で、 クサクサした煮え切らないミスター・スティーブンス。 ああしていたらどうだったろう、 いや、私のしたことでいいのだ、 と懐古しているのだけど、いいわけがましい感じで イラッとするわー。 だけど、人は迷ったとき、こうなんだろうな。 ああしていたらどうなっていただろう、 自分の選んだことでいいのか、 いや、よかったのだ、と思いきかせる。 最後のおっちゃんの言葉に、 未来に目を向けられたのはよかった。 今は過去の積み重ね、未来は今から積み上げるもの。
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ある邸宅に仕えた執事が6日間のドライブ旅行をしながら、これまでの執事人生を振り返る。 旅が進むにつれ、思考も進み、女中頭との行き違いの恋や、人生の誇り、悔い、が明らかになっていく。自分が人生を捧げた主人が素晴らしい人物であることを繰り返し強調しつつ、実は世間的には認められなかった...
ある邸宅に仕えた執事が6日間のドライブ旅行をしながら、これまでの執事人生を振り返る。 旅が進むにつれ、思考も進み、女中頭との行き違いの恋や、人生の誇り、悔い、が明らかになっていく。自分が人生を捧げた主人が素晴らしい人物であることを繰り返し強調しつつ、実は世間的には認められなかった不遇の人だったことがだんだん明らかになる。それは、仕えた自分の人生を否定することにもつながる。旅をしながら恐る恐る、その事実に向き合い始める。 そして、女中頭との淡い思いの交換。彼女に応えられなかったのは、執事を全うしようとしたからなのか、それとも執事としての自分の仕立てにほころびを生じたくなかったからか。お屋敷の中で完結していた人生を、小旅行に出ることで客観的に眺めることになる。 自分の人生への悔いか、汚名を着せられ世を去った主人、別の人生を歩みだした女中頭を思ってか。ラスト。涙する主人公が、この休暇を勧めてくれた新しいアメリカ人の主人のためにジョークを練習しよう、と思い立つラストが温かかった。もう一度、文章を味わいながら読んでみたい。
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抑えて抑えて最後グッグッと。 こういう流れを作れるイシグロさん好きです。 翻訳者の文体も素晴らしい。
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「私を離さないで」が話題になってたとき、読みました。 翻訳小説になれていなかったこともあいまって、なかなかリズムをつかめなくて、苦戦しました。 中盤あたりからすいすい読めた。土地に根付いている文化ってあるなぁとしみじみした。 「私を離さないで」、結局読んでなかったから、近々読み...
「私を離さないで」が話題になってたとき、読みました。 翻訳小説になれていなかったこともあいまって、なかなかリズムをつかめなくて、苦戦しました。 中盤あたりからすいすい読めた。土地に根付いている文化ってあるなぁとしみじみした。 「私を離さないで」、結局読んでなかったから、近々読みたいです。
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エンタメ作品に続けて読んだせいか最初は単調な感じがして物語にうまく入り込めなかったが読み進めるうちに深く静かに心のうちにじんわりとした感動がたまっていく。 短い旅行の狭間に人生を振り返り仕事に対するこだわり父への尊敬ミスケントンとの様々な出来事。 執事としての品格、男として生き抜...
エンタメ作品に続けて読んだせいか最初は単調な感じがして物語にうまく入り込めなかったが読み進めるうちに深く静かに心のうちにじんわりとした感動がたまっていく。 短い旅行の狭間に人生を振り返り仕事に対するこだわり父への尊敬ミスケントンとの様々な出来事。 執事としての品格、男として生き抜くことへの矜持を強く強く感じる。
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E.M.フォスター作品をとりあげてきたジェームズ・アイヴォリーが映画化したのも大きくうなずける名作。 (ただし映画ではまだまだその深遠さを完全に映像化しきれていない。監督はこの人以外に考えられないが) 一言一言が奥深い示唆を含み、読後の余韻にいつまでも浸っていたい、“イギリスらし...
E.M.フォスター作品をとりあげてきたジェームズ・アイヴォリーが映画化したのも大きくうなずける名作。 (ただし映画ではまだまだその深遠さを完全に映像化しきれていない。監督はこの人以外に考えられないが) 一言一言が奥深い示唆を含み、読後の余韻にいつまでも浸っていたい、“イギリスらしい”文学。 カズオ・イシグロはコロニアル作家の範疇になるのだろうか??
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英国執事小説。 なんというか・・・とても格調高い感じのする小説。 執事が語る、お屋敷の仕事やご主人様のこと、はたまた品格について・・・。味わい深い話です。 最後は、静かな感動に包まれました。 でも、「わたしを離さないで」のほうが物語に入り込めたな。 これはこれで、素晴らしかったの...
英国執事小説。 なんというか・・・とても格調高い感じのする小説。 執事が語る、お屋敷の仕事やご主人様のこと、はたまた品格について・・・。味わい深い話です。 最後は、静かな感動に包まれました。 でも、「わたしを離さないで」のほうが物語に入り込めたな。 これはこれで、素晴らしかったのだけれど。 品格についてスティーブンスが言ってた面白いこと忘れちゃった。
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