日の名残り の商品レビュー
英国人の執事の思い出と、彼の心の想いを探る旅に一緒に出かけていくと・・・ イギリスでブッカー賞を受賞し映画化された作品。
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-品格の有無を決定するものは、自らの職業的あり方を貫き、それに堪える能力だと言えるのではありますまいか- 1989年ブッカー賞(イギリス文学賞の最高峰)受賞作。1993年にジェームズ・アイヴォリー監督で映画化されたので皆さんタイトルは知っているのでは?! カズオ・イシグロという...
-品格の有無を決定するものは、自らの職業的あり方を貫き、それに堪える能力だと言えるのではありますまいか- 1989年ブッカー賞(イギリス文学賞の最高峰)受賞作。1993年にジェームズ・アイヴォリー監督で映画化されたので皆さんタイトルは知っているのでは?! カズオ・イシグロという「外」の経験のあるイギリス人が、愛情いっぱいに、しかし客観的に、「古き良きイギリス」を語っているのがよいのだと思う。 イギリスの長閑な田園風景、執事という仕事の位置づけ、品格のあり方、イギリス外交、そして主人公スティーブンスの人生、全てが"夕暮れ時"、Remains of the Day、というタイトルに戻っていく。 夕暮れ時は、涙が似合う。 名作。
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「人生一度きり」ということをたまらなく痛感させられた。 イシグロさんらしい哀愁感漂うラストに思わずホロリ。
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イギリスの名家に勤める執事、スティーブンが元同僚と会うために旅にでる。その間、思いをめぐらせる。 伝統的なイギリスと本の裏にあるが、その通り。 でもって、この主人公が執事としては優秀なのかもしれないが、人間としては面白みがさっぱりない。さっぱりないんだけど、だんだんシンパ...
イギリスの名家に勤める執事、スティーブンが元同僚と会うために旅にでる。その間、思いをめぐらせる。 伝統的なイギリスと本の裏にあるが、その通り。 でもって、この主人公が執事としては優秀なのかもしれないが、人間としては面白みがさっぱりない。さっぱりないんだけど、だんだんシンパシーを感じてくる。 カズオ・イシグロ、上手い! 「品性」という言葉がポイントのように出てくる。品性が失われた時代に、あえてこれを問うという、手法は古めかしいが切り口は斬新なのである。 つまり、古い皮袋にいれた新しいぶどう酒か…。 村上春樹が、「わたしを離さないで」を絶賛していたのが、納得。 さっさと、文庫になってくれるといいんだがな。
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英国執事好き必読。執事という仕事に誇りをもって人生を捧げてきたスティーブンス。だけど時代が変わり、価値観も変わり…。淡々と語られる執事の心の動きに引き込まれます。翻訳の日本語の美しさや浮かぶ風景も素敵です。
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『私を離さないで』もよかったけど、これも、すごくよい。 読んでいる最中に感じる面白さという意味では、今のところ『日の名残り』の方が好きです。 自分が古びること、自分の存在意義が滅びてゆくこと、がテーマの小説、なのだと思います。 本当に行儀に適った小説です。 テーマとか主張とか、つ...
『私を離さないで』もよかったけど、これも、すごくよい。 読んでいる最中に感じる面白さという意味では、今のところ『日の名残り』の方が好きです。 自分が古びること、自分の存在意義が滅びてゆくこと、がテーマの小説、なのだと思います。 本当に行儀に適った小説です。 テーマとか主張とか、つい作者が登場人物の口やモノローグを借りて説明しはじめてしまう凡百の赤裸々な小説とは違い、 ただただ外堀を埋めることで確かに読者を見せたい景色の前まで運んでいく抑制の利いた筆致。 好きです。 今、主人公の父が『失くした宝石を探すように』あずまやの石段を下を向いて歩いているシーンを過ぎたところ。 比喩を使うと小説は腐敗するとかいうけれど、このカッコ付きの映像的な比喩は、響きました。 多分作者としては渾身の一撃というか入魂の一投なんやけど、冷静な提示の仕方で読者を醒めさせないのがさすがやなと思いました。 うーんおもしろい。しばらく楽しみます。 ==================== 『日の名残り』やっと読了。 最後、リトルコンプトンに着いてからの時間的な濃密さに、思わず緊張感でハァハァしました。 しかもラストの桟橋のシーンときたら、劇的な悟りとでも言うべき視界の開け方というか、わかってはいたけれど直視するかどうかを思案するために建てておいた堰が決壊したというか、 人が打撃を受けたとき、内部がいっきょに顕わになる感じ、それでも日常に踏みとどまるように働く保護本能とか、うますぎて頭垂れざるを得ませんです。 しかし丸谷才一の解説ってすごい含蓄あるけど、直截的で余韻も何もない(悪いといってるわけじゃなくて私が感傷的だということです)。 あらすじを3行でまとめる力業には恐れ入るけど本編読んだ直後に読むのでなかった(笑)。
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作品全体に漂う、過ぎたものを惜しんで愛おしむ切なさ ずっと抱いて来た信念と美学を揺るがす違和感がゆるやかにあらわになる過程…本当に上手い小説だなあ、と。 個人的なことと社会的なことがうまく絡み合って、さらに英国そしてヨーロッパの特性、「伝統」 伝統は歴史のこと。その歴史に含まれ...
作品全体に漂う、過ぎたものを惜しんで愛おしむ切なさ ずっと抱いて来た信念と美学を揺るがす違和感がゆるやかにあらわになる過程…本当に上手い小説だなあ、と。 個人的なことと社会的なことがうまく絡み合って、さらに英国そしてヨーロッパの特性、「伝統」 伝統は歴史のこと。その歴史に含まれる悪。 ノスタルジーの空気でいっぱいでありながら、ノスタルジーそのものを本当に肯定すべきなのか?と問いかけて来る小説。すごいです。
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WW2直前のイギリス、貴族ダーリントン卿はベルサイユ体制に疑問を持ち、ナチスに利用されているとは知らずに親ドイツの立場で政治活動を行う。やがて戦争はおわり、ナチのシンパとして名誉を奪われ、失意のうちに卿は生涯を終える。残された広大な屋敷はアメリカの富豪が買い取る。 卿に忠実に使え...
WW2直前のイギリス、貴族ダーリントン卿はベルサイユ体制に疑問を持ち、ナチスに利用されているとは知らずに親ドイツの立場で政治活動を行う。やがて戦争はおわり、ナチのシンパとして名誉を奪われ、失意のうちに卿は生涯を終える。残された広大な屋敷はアメリカの富豪が買い取る。 卿に忠実に使えていた執事がそれらの出来事を振り返りながら、昔淡い思いを抱いた女中頭に会いに行く。 …と、あらすじだけ読んだらめちゃめちゃツボにはまりそうな小説なのですが、読んでる最中、何か気持ち悪い、もやもや感がずっと付きまとっていました。ただ単にこの作者(訳者)の文体、そして主人公に共感しなかっただけかもしれませんが。 人は誰でも、当然、未来の事はわからない。 後から振り返ってみた時に、あれは誤りだった、もっと他のやり方があったと思っても、その時点では己の信じる正義に従うしかない。 でもその「過ち」が全て、悪い結果を生むわけではない。 「一日で一番いいときは夕暮れ」という台詞が救いになってると思う。 ・・・それにしても、イギリスのツンデレのめんどくささ、はんぱない。
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切ない。 解説の「つまらない男」云々の記述にちょっと反発を覚えるほど主人公に感情移入(?)してしまった。
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<poka> アキバでもはやっている「執事」の、古き良き英国のお話。 私のような日本人にはちょっと理解できない世界ですが、興味深く読めました。 ラストが印象的でした。 <だいこんまる> アキバにいって「執事」体験してみよっかな。
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