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悪童日記 の商品レビュー

4.4

448件のお客様レビュー

  1. 5つ

    217

  2. 4つ

    136

  3. 3つ

    47

  4. 2つ

    7

  5. 1つ

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2022/08/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 読みやすかった。細かい作文に分かれており使われている言葉も平易(固有名詞もない)からスラスラ読めた。  双子が過酷な環境でたくましく困難を突き破っていく様子はとても痛快だった。たしかに非道徳的な行いはしているものの、おばあちゃんや将校に対する思い遣りは本物である所から考えるに過酷な環境で心が歪んでしまったわけではないらしい。双子が非行をしたのは心が歪んだからではなく鍛えられたからにすぎない。解説でもあった通り双子は非常に自律している。おばあちゃんにも取り込まれないし、久しぶりに会った母親をも拒否して、神にも祈らない。一番最初の母と祖母の会話を盗み聞きする時から双子の外界のものに依存しない性質が読み取れる。つまり他者に対して思いやりを持ちつつも主体的に動くという両面性が、双子を魅力的にしている。まぁこれはほとんど解説に書いてあったことですが。  しかし悪童日記を読んで思うのは、どんなに悲惨な物語でも主人公がハツラツとしてればそれほど陰惨な印象は受けない、ということである。話は変わるがチェンソーマンという漫画も主人公がかなり残酷な目に遭う物語である。しかし当の本人はケロッとしているのだ。悪童日記にも言えることだが、やはり主人公(たち)自体がどういう人間性を持っているかで物語全体の世界観が変わるのだなぁとひしひしと思う。  注目すべきは一番最後のシーン、双子の別れである。私は続編はまだ読んでいないので見当違いの考察になったら申し訳ない。私が思うに双子の別れは最後の「練習」なのかもしれない。たしかにあらゆる障害を打ち破ってきた双子が物語の幕引きが、双子の唯一の弱点である「孤独」を克服することなら、納得できるものがある。

Posted byブクログ

2022/07/29

久しぶりに読んでみた。、昔読んだのは中学生くらい?? なんとなくあー、そういう内容だったかな?と思いつつも改めて読むと惨すぎて戦争をありありと語っているという名作なのはよくわかった。それでいて飽きさせないというか、淡々としてるけどテーマがかなり広く触れてある。 続きは多分読んで...

久しぶりに読んでみた。、昔読んだのは中学生くらい?? なんとなくあー、そういう内容だったかな?と思いつつも改めて読むと惨すぎて戦争をありありと語っているという名作なのはよくわかった。それでいて飽きさせないというか、淡々としてるけどテーマがかなり広く触れてある。 続きは多分読んでいない気もするのでこれから読みすすめる。なんで双子は別々の国に行くことにしたんだろう??そこが謎なんだけどそこも明かされるのかな?

Posted byブクログ

2022/06/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

おばあが好きだからおばあが嫌な目に遭わないかずっと心配だったけど、なんだかんだ大往生でよかった。 最後、そうなるんだ…!それぞれ別の道をいった双子たちは今後どうなるんだろう。 事実が淡々と情景を排除して描かれてるのって余計な入れ込みをしなくてよくて良い感じ。

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2022/06/21

■ Before(本の選定理由) 戦争をテーマとした世界的人気の小説らしい。村上春樹がエッセイで、著者の文体を自身のそれに重ねていたことも興味を持ったキッカケ。 ■ 気づき 小説内では記述されないが、ドイツによるハンガリー侵攻が描かれているようだ。どこまでも客観的で、感情は排除...

■ Before(本の選定理由) 戦争をテーマとした世界的人気の小説らしい。村上春樹がエッセイで、著者の文体を自身のそれに重ねていたことも興味を持ったキッカケ。 ■ 気づき 小説内では記述されないが、ドイツによるハンガリー侵攻が描かれているようだ。どこまでも客観的で、感情は排除されている。戦時下の出来事を描くだけでなく、それを天才の双子というキャラクターを通じて語ることで、こんなにシニカルでエンターテインメントになるなんて。率直に言って、著者を恐いと感じた。 ■ Todo グロテスク・エロティックな描写も多い。でもそれが剥き出しの人間というものなのかもしれないな、と感じた。続きの巻も読んでみよう。

Posted byブクログ

2022/06/02

戦争で祖母の家に預けられた双子。この双子が書いた日記のような形で綴られる物語。 買い物にいく描写も、残酷な描写も、等しく淡々と事実のみが記され、双子の感情を一切排した文体が独特で面白かった。 異常とも言える双子だけど、時にその行動の中に温かい感情が見えるのが良い。 感情描写...

戦争で祖母の家に預けられた双子。この双子が書いた日記のような形で綴られる物語。 買い物にいく描写も、残酷な描写も、等しく淡々と事実のみが記され、双子の感情を一切排した文体が独特で面白かった。 異常とも言える双子だけど、時にその行動の中に温かい感情が見えるのが良い。 感情描写がないから何この終わり方って話も多かったけど、警察から解放された章と最終章のラストの切れ味が見事だった。

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2022/04/11

ウクライナ情勢に関連して東欧文学でも読んでみようと手に取ってみました。フランス語で書かれているけど、作者アゴタ・クリストフはハンガリー出身。 作品の歴史的背景については訳者による詳しい解説があるけれど、基本的にどこの国のいつの物語なのかは書かれていない。 おもしろいとは聞いて...

ウクライナ情勢に関連して東欧文学でも読んでみようと手に取ってみました。フランス語で書かれているけど、作者アゴタ・クリストフはハンガリー出身。 作品の歴史的背景については訳者による詳しい解説があるけれど、基本的にどこの国のいつの物語なのかは書かれていない。 おもしろいとは聞いていましたが、噂にたがわぬおもしろさ。双子の少年たちの倫理は独特で、窃盗、恐喝、殺人もいとわず、残酷なまでに冷静に人を裁く一方で、兎っ子や魔女とよばれる祖母に対してはとても親切。誰が正しくて誰が敵なのかもよくわからぬ状況の中、彼らは自分たちのルールで生きていく。 感情を排した書き方はクールというより、暗いはずの世界をユーモラスに描いていて、いろいろ恐ろしいことが起こっているのに、物語は終始明るい。 双子として書かれているけど、彼らは本当に2人なのか、残酷な天使のような少年たち。続編も気になります。 以下、引用。 市場から帰ると、おばあちゃんは売れ残った野菜でスープを、果物でジャムを作る。昼食をとる。葡萄畑に昼寝をしに行く。一時間眠る。それから葡萄畑のめんどうを見るか、そこで何もすることがなければ家に戻る。薪を割る。ふたたび家畜に餌をやる。山羊の群れを連れ帰る。その乳をしぼる。森へ行き、茸と枯れ枝を採ってくる。チーズを作る。茸とインゲンを乾かす。そのほかの野菜をガラスびんに詰め、もう一度畑に水を撒き、いろいろなものを地下貯蔵庫に片づけ……そんなふうにして陽が沈むまで、おばあちゃんは働き続ける。 ぶたれると痛くて、泣いてしまう。 転ぶこと、擦り傷、切り傷、労働、寒さ、暑さ、どれもこれも苦痛のもとだ。 ぼくらは体を鍛えることを決意する。泣かずに痛みに耐えることができるようになるためだ。 作文の内容は真実でなければならない、というルールだ。ぼくらが記述するのは、あるがままの事物、ぼくらが見たこと、ぼくらが聞いたこと、ぼくらが実行したこと、でなければならない。 たとえば、「おばあちゃんは魔女に似ている」と書くことは禁じられている。しかし、「人びとはおばあちゃんを〈魔女〉と呼ぶ」と書くことは許されている。 「クルミの実が好きだ」という場合と、「おかあさんが好きだ」という場合では、「好き」の意味が異なる。 感情を定義する言葉は非常に漠然としている。その種の言葉の使用は避け、物象や人間や自分自身の描写、つまり事実の忠実な描写だけにとどめたほうがよい。 「乞食をするとどんな気がするかを知るためと、人びとの反応を観察するためなんです」 「そうじゃないよ、逆だよ、おばあちゃん。ぼくらは殺すのがいつも厭で、気が進まないんだ。でも、気が進まないからこそ、ぼくらは殺すことに慣れなきゃならないんだ」 「いや、あなたのせいだよ。あなたと、あなたの国のせいだよ。ぼくらを戦争に巻き込んだのは、あなた方じゃないか」 「いいえ、司祭さん。ぼくたちは戒めを守りはしません。第一、戒めを守っている人なんて、いやしませんよ。『汝、殺す勿れ』って書かれていますが、その実、誰もが殺すんです」 「万事休ス、モウ駄目。デモ、負ケル、死ヌヨリ、マシダ」 「この辞書にはもう用があるまい。きみたちは、また別の言語を学ばなくちゃならないだろうから」

Posted byブクログ

2022/04/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

友人から面白かったとおススメの一冊。 前回の読書で読書術を学んだので実践的に試せるものを読もうと思っていたが、昨年の面談の際、チーフが先輩デザイナーさんから読書で進められたものとして小説や物語、ストーリーのあるものをあげていた。 ということを踏まえて、自分としては想像力を鍛えるトレーニングになり、文章から想像した世界を感想としてまとめるいい実践になると思ったので、今回は小説に挑戦することにした。 事前に内容には一切触れていない。 まず簡単にどういったお話かというと、 時代は第二次世界大戦時のヨーロッパ。戦禍乱れる都会から一人の母親が双子の息子(主人公)を田舎の祖母の家に疎開させる。母と祖母は仲が悪く、彼らが生まれてから顔も合わせたことはない。祖母は働き者ではあるが、綺麗な母親とは全く正反対で文盲で不潔、粗野でケチがすぎる。しかも近隣では夫殺しと噂されることから魔女と呼ばれている。 そんな祖母に預けられた主人公二人にはこれから過酷な生活が待ち受けていて、いじわるな事ばかりが起こるのだろうと思いながら読み進めるわけだが、二人は押しつぶされることなく才能を活かし、次々に起こる事態にもたくましく対応していくお話です。 少女漫画のようにハッピーに瞬間的になってはすぐに問題を抱えてストーリーが進んでいくものとは違い、基本的に舞台背景は戦時中ということもありずっと明るいものではないのだが、この話を読んでいると二人の行動に爽快感すら覚えることが多々あり、しんどくなく読み進めることができる。 二人が主人公なのに紛らわしくなく読み進められるのはこの二人の感情や行動、思いなどがもはや一心同体となっていて二人の行動を一つとしてとらえられるからだと思う。 最初から最後に至るまで二人の意見が食い違ったことは一度もなかった。もしかすると一度しかなかったのかもしれないが。。 この本の面白いところであるが、 この本は主題にあるとおり、二人の書き残した日記である。 そこには彼らだけのルールが存在し、本文に決して嘘を語ってはいけないというのだ。 あるがままの事物、二人が見たこと聞いたこと、やったことでなければならない。 例えば「『小さな町』は美しい」と書くのはダメ。なぜなら他人の目には汚く映っているかもしれないから。 たとえば「従卒は新設だ」はダメ。もしかすると従卒に意地悪な面があるのかもしれないから。 このように作中の一遍で二人が作文を書いて確認しあうという場面があるのだが、その要領でこの本の文面はできているのだと思う。 なので変な言い回しだな。。とか、なんでそんな言い方するんだろう?と思うところにちょくちょくでくわす。 全体を通して、、 僕だけかもしれないが、なんとなくこう動いてほしいなと思う方に彼らはことを運ぶ。もちろんなんでやねん。。って思う理解不能な行動も多々あったが。 そして僕では考えられないくらいに二人は決してまわりに流されない。 流されないし、どんな抑圧にも押しつぶされない。 自分たちが見、感じた状況の中で瞬間的に自分達で考え、自分たちの思う通りに決めて行動する。泣かないし神頼みなんてしない。 世の非道と向き合いながら、時に残酷に、時に愛情をもって日々を送る。 おばあちゃんとのやり取りや兎っ子がいじめられているシーン、従卒との会話など、人間らしさ、愛を感じる場面がある反面、 二人を放っておき、知らない男性と一緒に迎えに来た母親と対した時、二人に暴行した刑事が将校に連れられて行く時など、すごく二人に冷酷さを感じる場面もたくさんあった。 そんな二人は見極めがすごくて、人間を見る目に関して、自分たちにとって良い人間、よくない人間、どちらでもない人間との接し方が絶妙であった。 と、感想を並べると理解しがたい超人双子のお話のように見えてくるが、そんなわけでもなく、この作中のご時世・状況の中でひとつの完璧を成し遂げた子供の日記を第三者が読ませてもらったのだ。ただ二人の行動は平穏な日常を送る自分たちにとっては破天荒すぎてもはや劇やショーを見ているかのようにストーリーが展開されていったのかもしれない。 終わり方も十二分に彼ららしさを詰め込んだ終わり方をしているので関連作も気になるところである。 スラスラと読み進められる不思議面白い作品でした。

Posted byブクログ

2022/03/07

なんて読む手の止まらない文章だろうか。 ぼくら、が事実のみを作文にする。 ここまで読むとエセ理系はそこに痺れる憧れる、次はどんなクールを見せてくれるんだい?手が止まらねえ状態に陥る。 戦争下での悲惨さ、過酷な状況で生きる子どものたくましさ、適応した感情の起伏に心が打たれるとか...

なんて読む手の止まらない文章だろうか。 ぼくら、が事実のみを作文にする。 ここまで読むとエセ理系はそこに痺れる憧れる、次はどんなクールを見せてくれるんだい?手が止まらねえ状態に陥る。 戦争下での悲惨さ、過酷な状況で生きる子どものたくましさ、適応した感情の起伏に心が打たれるとか言って人にオススメもしやすい。 ただし本心では厨二心が揺さぶられまくっている。 いやこれ続編ってどうなるのさ、ラストの鳥肌回収できるの?気になってしょうがない。

Posted byブクログ

2022/02/21

事実が淡々と書かれてて、感情については一切触れられていないのに、感情移入してしまう、そんな不思議な本やった。

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2022/02/07

凄い ガンガンと引き込まれた 淡々と戦火の影響を受ける日常を逞しく生きる子供視点で描かれていたが、それが逆に恐怖に感じた

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