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悪童日記 の商品レビュー

4.4

448件のお客様レビュー

  1. 5つ

    217

  2. 4つ

    136

  3. 3つ

    47

  4. 2つ

    7

  5. 1つ

    1

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2021/10/28

読んでいて勇気が出てくるくらいにたくましい双子。惨くて汚ならしい戦争体験だし感情を排して書かれているのに何故だか文体が美しく描写が胸に迫ると感じた。気付いたら読み終わってしまってた。誰が良い人だとか悪い人だとかは判断できない意味がない。彼らを狂わせたのは戦争だ。 三部作だそうで、...

読んでいて勇気が出てくるくらいにたくましい双子。惨くて汚ならしい戦争体験だし感情を排して書かれているのに何故だか文体が美しく描写が胸に迫ると感じた。気付いたら読み終わってしまってた。誰が良い人だとか悪い人だとかは判断できない意味がない。彼らを狂わせたのは戦争だ。 三部作だそうで、最後の二文はどうしてそうなったんだろう…と続きが気になる。

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2021/09/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読書好きの彼のおすすめのひとつ。 双子のその世界で生きている事実だけがそこにある。主観的な?感情は描かれてない、けど、ぼくらの行動にはしっかりと表れている印象。だから私からしたらぼくらはその時代をちゃんと見つめ続けた人だと思った。 二人が何をどう見て、聞いて、考えて生き抜いていく。あまりにも残酷な状況の中でちゃんと個として自立をして成長していく姿に日々ぬめっと生きている自分が映る。 とても読み易いためすいすい進んだ。 ハッとしてしまうことが多かった。色んなことが書かれているが特に人の死について二人が取る行動には考えさせられた。その二人がその人のことをどう思っているのか。時に愛を持って、時に利用して。 とにかく私たちは考えなければならないのだと思った。例えば人が死んだら世間体やなんやらを気にして一般的にやられている手順をただ〝みんなそうしているから〟という理由だけでやる。ということではなく、なぜ今自分はこれを選んだのか、なぜ自分はこの人を弔っているのか、とか。やることを考えなければならない。 ただ流されてはいけないと私は今思う。

Posted byブクログ

2021/09/24

衝撃的な作品だった。 「ぼくら」には主観的な感情表現がないので、このときに彼らは何を思って行動したのだろうとか色々想像しながら読み進めてしまいました。 読み終えた時のなんとも言えない気持ちで、今も過ごしています。

Posted byブクログ

2021/09/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読み始めてしばらくすると「絵本」のように思えてきた。絵のない絵本。子供向けという訳ではない。「大人のための寓話」と評する本書の解説を目にして、なるほどと手を打った。 戦時を舞台とする本作には重く、深刻なテーマが随所にあふれている。にもかかわらず淡々とした調子で物語が進んでいくのが面白い。 主人公の双子を始め個性的な登場人物たちの名前が一切出てこないのは、「ぼくら」が名前を尋ねなかったということなのか。名前を知って生身の人間としての存在感が急に増すことがある。「ぼくら」がそれを避けたことはあり得そうだ。

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2021/08/16

過酷な戦時下を強かに生きる兄弟が書く日記を通じて、悲惨な現実や人間の愚かさ弱さを描き出す物語。少年らしい雰囲気の文体だけれども書かれていることは穏やかではない。兄弟が見ている事実という視点で淡々と記載されていることがどこかコミカルなような不気味なような感じがする。読み進めるうちに...

過酷な戦時下を強かに生きる兄弟が書く日記を通じて、悲惨な現実や人間の愚かさ弱さを描き出す物語。少年らしい雰囲気の文体だけれども書かれていることは穏やかではない。兄弟が見ている事実という視点で淡々と記載されていることがどこかコミカルなような不気味なような感じがする。読み進めるうちにこの兄弟に抱く印象が少しずつ変化してきて、当時の戦時下には彼らのような信念や意志を持っていた大人はいなかった、または意志を持てるような状況ではなかったのだろう、それを彼らの目を通じて著者は描き出したかったのではないかと感じた。続作も読まなければ。

Posted byブクログ

2021/08/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「衝撃的な内容」っていう前情報だけある状態で読んだ。 ・・けど、「どういうこと?」って感じだった。衝撃受ける以前に、よくわからなかったのが悔しい。 「ぼくら」ってのは何?双子であることの意味がよくわからなかった。「ぼくら」といいつつ、ほぼ「ぼく」と同じでしかないと思った。ていうか、そういう不思議感覚を味わえってこと? そして、最後あっさり別れたのは何?自分が理解できなかっただけで、何かの比喩だったりする?続編読めばわかる??

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2021/07/19

ヨーロッパの宿命。国と国が地続き。 戦争のはざまで国が無くなっていく。 幾たび国がつぶされたか。 よみがえったか。 この過酷な状態のうえに 強くてすさまじい個性のひとびとの中で たくましく、なにげなく 生き延びていくふたごの兄弟の日記風物語りは いきいきしている。 こんな...

ヨーロッパの宿命。国と国が地続き。 戦争のはざまで国が無くなっていく。 幾たび国がつぶされたか。 よみがえったか。 この過酷な状態のうえに 強くてすさまじい個性のひとびとの中で たくましく、なにげなく 生き延びていくふたごの兄弟の日記風物語りは いきいきしている。 こんなのを読むと 端っこの国の日本人は能天気だ。

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2021/07/12

「ぼくらが記述するのは、あるがままの事物、ぼくらが見たもの、聞いたこと、ぼくらが実行したものでなければならない。」 このルールに基づいて書かれた「作文ノート」を小説として読む、という仕掛け。感情表現を一切排除した文章に、「この子たちは今どんな気持ちなんだろう?」と行間をまじまじと...

「ぼくらが記述するのは、あるがままの事物、ぼくらが見たもの、聞いたこと、ぼくらが実行したものでなければならない。」 このルールに基づいて書かれた「作文ノート」を小説として読む、という仕掛け。感情表現を一切排除した文章に、「この子たちは今どんな気持ちなんだろう?」と行間をまじまじと読み込んでしまう。読み込むに連れて双子や周囲の人々の性格や心の動きがわかるのが面白い。 双子は天才で純粋な努力家。スーパーマンだ。こんな子たち有りえない。それに比べて同じくメインキャラのおばあちゃんは興味深い人物で、人間味に溢れており、感情のひだが双子の観察のそこかしこに溢れていてとても読み応えがある。 亡命者であった作者が外国語で発表した作品なので、その苦し紛れの仕掛けなのかもしれないが、当時(第二次世界大戦後)数十カ国語に訳され今でも本屋で平積みされてる名作。 物語は淡々と、双子の疎開先の様子を描き出す。子どもたちのサバイバル、戦況が進むにつれて逼迫していく田舎町の暮らし、ホロコースト、戦後の占領軍による簒奪、などなど。 様々なスキルを身につけフル活用していく双子のサクセスストーリーという面もあり、戦時中でそうせざるを得なかった切なさに溢れてる。

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2021/07/10

序盤兎っ子と犬の話でこれはちょっと無理なやつかもと挫折しそうになったけど、ひとつのエピソードが3、4ページと短く、悲惨な出来事も淡々と描かれているので、重い話の割にはスラスラ読めた。 1部だけでいいやと思ってたのにラスト2行にびっくりしてしまい、残り二冊もすぐ注文。前知識なしで読...

序盤兎っ子と犬の話でこれはちょっと無理なやつかもと挫折しそうになったけど、ひとつのエピソードが3、4ページと短く、悲惨な出来事も淡々と描かれているので、重い話の割にはスラスラ読めた。 1部だけでいいやと思ってたのにラスト2行にびっくりしてしまい、残り二冊もすぐ注文。前知識なしで読んで良かった。

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2021/07/03

初めて読む作家。 アゴタ・クリストフは1935年生まれ、2011年没のハンガリー出身の女性作家。1956年のハンガリー動乱の際にオーストリアに脱出し、スイスに定住、フランス語で著作を執筆している。 本書「悪童日記」は、1986年に刊行された彼女のデビュー作であり、フランス語で書か...

初めて読む作家。 アゴタ・クリストフは1935年生まれ、2011年没のハンガリー出身の女性作家。1956年のハンガリー動乱の際にオーストリアに脱出し、スイスに定住、フランス語で著作を執筆している。 本書「悪童日記」は、1986年に刊行された彼女のデビュー作であり、フランス語で書かれたものである。この後に書かれる「ふたりの証拠」「第三の嘘」と共に、三部作を形成している。 この小説の中には、人名や国名や地名などの固有名詞がいっさい使われていないが、第二次大戦末期から終戦直後にかけてのハンガリーの、オーストリア国境にほど近い田舎町が舞台。主人公は、ここに疎開させられ、祖母に預けられた、双子の男の子。年齢は物語中に記載はないが、推定すれば10歳前後ではないかと思う。物語は、この双子の目を通して、双子が書く日記のように綴られる。 ハンガリーは、第二次大戦はほとんどドイツの属国として枢軸国側についている。戦争末期から終戦後は、ソ連軍の姿も物語に登場する。舞台になっているハンガリーの国境の田舎町に住んでいる地元の人たちは、基本的に非常に悲惨な暮らしを強いられている。ユダヤ人の話など、さらに悲惨な話も登場する。 そのような中、主人公の双子の男の子は、自ら定めた価値観やモラルに従い、周囲と一線を画しながら生き続ける。一般的な意味での正義感を持ち合わせている訳ではない彼らの行動は時にショッキングであるが、なぜか、それはこのような状況下では自然なことのように思える。 さて、物語は、おそらく「傑作」と呼んでも良いくらいのものだと思う。私も一気読みした。しかし、何が面白いのか、何が傑作なのかを説明するのは、難しい、というか、私の実力では無理だと思うので、それは最初から諦める。 とにかく、他に読んだことのないテイストを持つ小説である。

Posted byブクログ