悪童日記 の商品レビュー
2人の少年による作文の形式をとった日記です。 本文中にも書かれている通り、徹底して客観的な視点、事実が羅列されています。だからこそ感じる無機質感の中に、強制されない感情を抱かせてくれます。 ただただ戦争を代表とした外的要因に振り回されるだけと思いきや、その中で強く健気に生き延び...
2人の少年による作文の形式をとった日記です。 本文中にも書かれている通り、徹底して客観的な視点、事実が羅列されています。だからこそ感じる無機質感の中に、強制されない感情を抱かせてくれます。 ただただ戦争を代表とした外的要因に振り回されるだけと思いきや、その中で強く健気に生き延びる「ぼくら」の姿。甘えがちな自分の心に強く刺さるものがありました。
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「主観を一切まじえずに書かれた本がある」と勧めてもらったのがこの本だ。 僕らは悲しい気持ちになった。とは言わず 僕らは涙を流した。と客観的事実のみで構成される。 不思議な本だった。 双子の主観から捉えた世界なのに、主観的な表現がひとつもない。 双子の目に映る世界の追体験ができる...
「主観を一切まじえずに書かれた本がある」と勧めてもらったのがこの本だ。 僕らは悲しい気持ちになった。とは言わず 僕らは涙を流した。と客観的事実のみで構成される。 不思議な本だった。 双子の主観から捉えた世界なのに、主観的な表現がひとつもない。 双子の目に映る世界の追体験ができるが、感情は全て委ねられる。 漠然と、何か他のものにも応用が効くんじゃないかと感じた。 日本語版タイトルは『悪童日記』だが、原書は『大きなノートブック』とでもいうのが近いらしい。 日本語版のタイトルの掴みは素晴らしいものであるが、読み終わると原書タイトルが、当然ではあるのだが、最も本書を言い表していると感じられる。
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・あらすじ 戦時下のある国、厳しい環境下で生き残る双子の少年。 彼らの作文形式で綴られる物語。 ・感想 日記調だけど書いてるのが普通じゃない倫理観の持ち主で、出てくる大人達もやばい奴しかいないから大体ヒキながら読んでた。 でもなんだかすごくクセになる文章と作風で面白かった、 あの子達は生来そういう気質なのか時代のせいなのか分からんけどすごく逞しい。 悪どくずる賢く生き抜く彼らはすごく魅力的だった。 3部作らしいから次も読みたい。 あの不思議な魅力のあるふたごたちが最後ああなってしまって、その先どうなるのかすごく気になる。
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ちょっと不潔でちょっとエロい大人の絵本。 ヨーロッパの作家の作品って、作品自体の出来や内容の崇高さに関わらず「不潔でエロい」と感じることが多いのですが、それが狙いなのか私が神経質すぎるのか?? 内容は重いが児童書のような文体と形式でとても読みやすく、話自体も面白いので一気に読んで...
ちょっと不潔でちょっとエロい大人の絵本。 ヨーロッパの作家の作品って、作品自体の出来や内容の崇高さに関わらず「不潔でエロい」と感じることが多いのですが、それが狙いなのか私が神経質すぎるのか?? 内容は重いが児童書のような文体と形式でとても読みやすく、話自体も面白いので一気に読んでしまいました。三部作ということで、まだあと二作あるので続きが楽しみです。
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終わりかたのせいで余韻がすごいのですが、3部作なんですね。だとしてもすごい終わり方。いきなり緞帳がドオンッと落ちたようです。 戦争が激化して、大きな街から小さな街の祖母の家に疎開した双子の男の子たち。そんな彼らを取り巻く暴力、貧富、欺瞞、奔放な性行為、差別などの酷い環境。双子た...
終わりかたのせいで余韻がすごいのですが、3部作なんですね。だとしてもすごい終わり方。いきなり緞帳がドオンッと落ちたようです。 戦争が激化して、大きな街から小さな街の祖母の家に疎開した双子の男の子たち。そんな彼らを取り巻く暴力、貧富、欺瞞、奔放な性行為、差別などの酷い環境。双子たちは生きていくために、労働や「学習」やあるいは盗みや殺しをしていきます。この話はそんな彼らの日記のていで進みます。 彼らの日記は感情を挟まず、事実を書くというルールがあるのですが、それが独特の陰影を生んでいるように感じました。無機質に描写されたせいで、より酷さが克明に思われるというか。白黒写真を見て不意に、見慣れている物がまとっている陰影に違和感を感じるのに似ているのかも。 双子は自分たちで何が本当に必要なことであるかを選んで生き抜いていくのですが、日記には感情が一切伺えず、サイコパス的にも見えます。徹底的に感情を排した日記は、「正義感」「敵と味方に分類する」「憎悪」など、そもそも感情や感覚が戦争などの悲惨さの一因という意味なのかな。
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読み終わった時え??って言っちゃった 国語の授業でありそう。本気で寒気がするシーンが多くて文章なのにすごいな〜ってなった
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双子の不条理な現実の受け止め方が興味深かった。一つ一つ徹底的に練習して自分のものにしていく彼らには悲壮感がない。過酷な生活に押し潰されることなく、冷静に、時に冷酷に生きていく。 双子の『紙と鉛筆とノートを買う』の交渉、『恐喝』のゆすりは秀逸だった。 最後は、え?という驚愕とそ...
双子の不条理な現実の受け止め方が興味深かった。一つ一つ徹底的に練習して自分のものにしていく彼らには悲壮感がない。過酷な生活に押し潰されることなく、冷静に、時に冷酷に生きていく。 双子の『紙と鉛筆とノートを買う』の交渉、『恐喝』のゆすりは秀逸だった。 最後は、え?という驚愕とその余韻の中で、続きの2作もぜひ読みたいと思った。
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⚫︎受け取ったメッセージ 狂気。毒。 過酷な戦中、終戦時 早熟で双子が感情抜きで 事実のみを語る形をとった サバイバル日記 ⚫︎あらすじ(本概要より転載) ハンガリー生まれのアゴタ・クリストフは幼少期を第二次大戦の戦禍の中で過ごし、1956年には社会主義国家となった母国を捨てて西側に亡命している。生い立ちがヨーロッパ現代史そのものを体現している女性である。彼女の処女小説である本作品も、ひとまずは東欧の現代史に照らして読めるが、全体のテイストは歴史小説というよりはむしろエンターテインメント性の強い「寓話」に近い。 そもそもこの小説には人名や地名はおろか、固有名詞はいっさい登場しない。語り手は双子の兄弟「ぼくら」である。戦禍を逃れ、祖母に預けられた「ぼくら」は、孤立無援の状況の中で、生き抜くための術を一から習得し、独学で教育を身につけ、そして目に映った事実のみを「日記」に記していく。彼等の壮絶なサバイバル日記がこの小説なのである。肉親の死に直面しても動じることなく、時には殺人をも犯すこの兄弟はまさに怪物であるが、少年から「少年らしさ」の一切を削ぎ落とすことで、作者は極めて純度の高い人間性のエッセンスを抽出することに成功している。彼らの目を通して、余計な情報を極力排し、朴訥(ぼくとつ)な言葉で書かれた描写は、戦争のもたらす狂気の本質を強く露呈する。 凝りに凝ったスタイル、それでいて読みやすく、先の見えない展開、さらに奥底にはヨーロッパの歴史の重みをうかがわせる、と実に多彩な悦びを与えてくれる作品である。続編の『証拠』『第三の嘘』も本作に劣らない傑作である。(三木秀則) ⚫︎感想 非人道的な戦争、常に冷徹な双子の行動、主観を排除し、事実をあるがまま書くという体裁で書かれた二人の9歳から15歳までの間の日記。二人の完全なサイコパスぶりと、気持ちの揺れは全くかかれないせいで、感情のない人間二人が浮き彫りになり、余計に気味が悪い。 日記小説はたくさん書かれてきたであろうが、「悪童日記」は黒い光を放つ、唯一無二の小説であると思う。 最初に衝撃を受けるのは、母方の祖母の横暴、不潔、奸悪。だが、それを淡々と受け流し、必要なことを考え、間違いなく遂行する9歳の双子も怖い。そして、出てくる大人の性的搾取と簡潔な描写。圧倒される。 母と義妹の死を目前にしても淡々とし、父に至っては彼の命と引き換えに双子の片方は父を踏みつけた上、越境する。 読後、毒を喰らって心臓を掴まれた気持ちになるが、真唯一無二の存在感と小説内で語られる「主観抜きで書く日記」の設定の見事さに★5
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貧しい中でたくましく暮らす双子。東ヨーロッパ特有?の殺伐とした雰囲気。 最後がまたすごいエピソード。あの後どうなったんだろう?
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翻訳なので、難しいと思っていたが、 章が細かく分かれており、非常に読みやすい。 ぼくらが感情なく淡々と物事を進めていく。 ハンガリーの戦時中の話。 特に盛り上がる所もないように思うが、続きが気になり読み進めてしまう。婆さんと関係が築けていくのが なんだかほっこり。 ぼくらの今...
翻訳なので、難しいと思っていたが、 章が細かく分かれており、非常に読みやすい。 ぼくらが感情なく淡々と物事を進めていく。 ハンガリーの戦時中の話。 特に盛り上がる所もないように思うが、続きが気になり読み進めてしまう。婆さんと関係が築けていくのが なんだかほっこり。 ぼくらの今後が気になるため、二部作目も読んでみます。
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