ハードボイルド/ハードラック の商品レビュー
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H30.10.02 読了。 不思議な読後感。 さらーっと読んでさらーっと流れていく。 初期村上春樹作品の様な気付いたら終わってた、という程ではないにしろ、なかなかの薄い感じ。 多分、その余韻とかを楽しむ作品なんだろうが、あんまり響かないかな。 面白くなくはないけど、ちゃんとした着地点がある作品が好きなのでうーむ、というところ。
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死んだ元恋人のことを繰り返し夢にみる奇妙な夜を描いた話と、死を待つ姉を前に少しずつ気持ちを整えていく人々を描いた話の短編集です。 ひとつめのお話(『ハードボイルド』)で印象的だったのは、恋人との別れについて書かれた部分で、「季節が変わるように、時期が終わるのだ(p55)」とあり...
死んだ元恋人のことを繰り返し夢にみる奇妙な夜を描いた話と、死を待つ姉を前に少しずつ気持ちを整えていく人々を描いた話の短編集です。 ひとつめのお話(『ハードボイルド』)で印象的だったのは、恋人との別れについて書かれた部分で、「季節が変わるように、時期が終わるのだ(p55)」とあります。そこに飽きたとか本人たちの意思は関係ないのだと。そんなふうに考えたことはなかったので、少し目からうろこです。 反対に「あ、私もこんなふうに考えて悩んだことがある」という場面に何度も遭遇します。 吉本ばななさんの本を読むたびに、この文章たちに全く共感するところがない女の子なんてほとんどいないのではないかと思います。 少なくとも私はそれがクセになって吉本さんの本を次々と手に取っているところです。 ふたつめのお話(『ハードラック』)で印象的だったのは次の文章です。「私はその古いマンションと、コンビニ弁当の暮らしの中で、じょじょに大人になるための心の筋肉をつけていった。(p55)」 大人になるためにはまず大人になるための準備がいるのだなと、すとんと腑に落ちる部分です。大人になりたいと日々焦っているのですが、準備をしっかりしないといけないのかもしれません。今悩んでいるいろいろなことが、それに通じるといいなと思います。
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ちょっとスピリチュアルな「ハードボイルド」と、脳出血を起こした姉が脳死になり亡くなっていくまでの、残された者たちのこころのありようをやさしく、哀しいことばで包み込む「ハードラック」の2編。 「ハードラック」が特に好き。 大好きな姉が亡くなることを主人公が受容していくその過程が、簡単だけど深いことばで綴られていく。 吉本ばななの作品は、言葉の宝庫。なんということもない、エピソードも音もなく降る優しい雨のように、心にしみこんでくる。 だから、読み終わったあとは、本を閉じてそっとため息をつきたくなるのだ。
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ばななさんの小説はいつも「死」が近くにあります。悲しいのは死んでしまうことじゃなくて、もう会えないことだなと読むたびにいつも感じます。つらい状況でも過去でも先でもなく、「いま」に足をつけて、小さなひかりを見つけるのが、とても好きなところです。
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初めて読む作家さん。森博嗣『MORI LOG ACADEMY』シリーズに、たびたび登場していたので試し読み。 すごく不思議な物語。ホラー?幻想?恋愛? ものすごく淡々とした文章が印象的だった。 もう何冊か読んでみようか。
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2回目読了。一回目は12年前くらいで、初めて読んだよしもとばななの本だった。内容は全然覚えてなかったけど、この霊的なことが当たり前にある世界感が懐かしかった。 久しぶりによしもとばななに触れて、大学生の時片っ端からこの人の本を読んでたなぁとあの頃を思い出した。精神的に元気な時じゃ...
2回目読了。一回目は12年前くらいで、初めて読んだよしもとばななの本だった。内容は全然覚えてなかったけど、この霊的なことが当たり前にある世界感が懐かしかった。 久しぶりによしもとばななに触れて、大学生の時片っ端からこの人の本を読んでたなぁとあの頃を思い出した。精神的に元気な時じゃないと色々持って行かれて読むのがしんどいけど、それだけこの人の淡々とした文章に支配される。 生と死を、人の温かさを、いつも考えさせられる。
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「バードボイルドに生きてね。 何があっても、いばっていて」 心が折れそうになる時、 何度も思い出す。 私はもしかしたら、 へらへら笑ってごまかしてぺこぺこする生き方しかできないかもしれないが、 好きな人には いつも自分を曲げないでハードボイルドに生きてほしいと思う。 次の一歩を踏み出す好きな人にいつもかける言葉だ。
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・作品をいくつか読んだ中で一番覚えている ・うまく言えないけど好き ・思い出に確執があるタイプの人に薦めたい
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「ハードボイルド」 奇妙な夜の出来事が描かれている。 人と別れることはすごくつらい。けどあらゆる罪悪感から抜け出して、ハードボイルドに生きなくちゃ、という前向きな気持ちにさせてくれる。 奇妙だけれど、不思議と癒される。 「ハードラック」 姉の死と向き合う家族の物語。 姉との思い...
「ハードボイルド」 奇妙な夜の出来事が描かれている。 人と別れることはすごくつらい。けどあらゆる罪悪感から抜け出して、ハードボイルドに生きなくちゃ、という前向きな気持ちにさせてくれる。 奇妙だけれど、不思議と癒される。 「ハードラック」 姉の死と向き合う家族の物語。 姉との思い出や、これからの日常について、時間について、主人公の立場になって考えてみると、自然と心が浄化されてゆくような気持ちになった。
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どちらもタイトルに「ハード」とつくのが不思議なくらいに、むしろソフトで空気に透明感のある物語。また、ともに「死」を仲立ちとしつつ、逆説的だが「生」の喜びや悲しみが静かに静かに語られてゆく。「ハードボイルド」では、「真っ黒い石が十個くらい輪になって置いて」ある結界を越えて、いわば夜...
どちらもタイトルに「ハード」とつくのが不思議なくらいに、むしろソフトで空気に透明感のある物語。また、ともに「死」を仲立ちとしつつ、逆説的だが「生」の喜びや悲しみが静かに静かに語られてゆく。「ハードボイルド」では、「真っ黒い石が十個くらい輪になって置いて」ある結界を越えて、いわば夜の異世界(夢の世界)に入っていくのだが、翌朝の光の情景がそれを洗い流す。こちらは依然として孤独だが、それでも「ハードラック」とともに、読後には不思議なカタルシスが残される。まことに、よしもとばなな(当時はまだ吉本だが)らしい小説。
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