FBI心理分析官 の商品レビュー

ロバート・K.レスラー(著者),トム・シャットマン(著者),相原真理子(訳者)

2017/09/18

プロファイリングの第一人者とされるロバート・K・レスラーの代表作として知られる本書。前半はプロファイリングを用いて犯人を追いつめていく事件小説的内容、後半はプロファイリングの在り方やシリアルキラーの心理を考察した学術的内容となっています。
作者自身、プロファイリングは必ずしも犯人逮捕へと導く万能物ではなく、犯人逮捕に繋がる道具であるという考えを示しつつも、プロファイリングの第一人者とされる経歴からか若干プロファイリング万歳な内容になっているような気がしました。
本の内容はそれなりに楽しめたが出来過ぎ感も否めず、「本当にその通りだったの？」って感じの記述が多かったように思えます。
プロファイリングを用いた犯人逮捕劇を学ぶっていう点では良作だったんじゃないかと、ただ内容はそこまで面白くなく、もう少し捻りがあっても良かったかなとも…。

2017/05/07

再読。
プロファイル技術の確立者であり「羊たちの沈黙」クロフォード捜査官のモデルと言われるR.レスラーの著書で、信じ難いほど凄惨な有名殺人犯たちの記録。写真あり。

当然鬼畜の所業の数々が紹介されるが、いたずらに下卑た興味を煽るような書き方はしておらず、あくまで捜査官目線で良い。

R.チェイスの事件をはじめ、プロファイリング技術の活用話は面白い。
しかし一方で、国民に米国ほどの多様性がないうえ、証拠裁判主義を採る日本には馴染まない技術であることも分かる。著者も繰り返し主張している通り、プロファイリングは魔法ではないし、科学とも言い難い。日々地道な活動で犯罪者を捕まえているのは、あくまで名もない警察官である。

2017/03/29

幼少期のある瞬間の事をめちゃくちゃ覚えてたりするけど、そういう感覚の一種なのかなと理解した。
子どもの育て方がすごく重要だということもわかった。

2017/03/19

『羊たちの沈黙』のモデルというのに惹かれて購入。
とりあえず写真ページがカラーでなくて良かった。
凄惨な殺人と向き合ってきた作者の真摯さが伝わってきます。
興味深く面白いのですが、所々で知っている事を前提で犯人の名前をあげることがあり、アメリカでは知らない人は居ないだろうけど、日本では馴染みのない犯人の場合「誰？」となる所が少し読みにくいところです。

2016/12/31

決して期待を裏切らないハヤカワNF。
この本は極めて興味深い。連続殺人犯の生態研究を長らく続けてきた著者による精神分析、自伝的著作。
『面接した殺人犯の半数は家庭に精神病患者がおり、別の半数は両親に犯罪歴があった。七十パーセント近くの家族にはアルコール、あるいは麻薬の常用者がいた。そして全員---一人残らず---子供のときにはなはだしい精神的ぎゃくたいを受けていた。彼らは成長すると、精神科医のいう「性機能障害者」になった。つまり、他人と合意にもとづく成熟した関係を持つことができないのだ。』p104
『人と好ましい関係を築き、それを維持し発展させる能力は子供のときに芽生え、十歳から十二歳の間に強化される。この能力が身につかないまま思春期を迎えてしまうと、もはや手遅れだ。』p117
このような文献を読むことで、厳罰化が凶悪犯罪の抑制にどれほど効果が有るのか甚だ疑問である。
〈2〉も早々に読んでみたい。

2016/03/31

面白い！めっちゃ面白い！！
凶悪犯を追う捜査官、というストーリーはハリウッド映画でも海外ドラマでも何度も見た。それが作り物ではない、空想の産物でもない、本当の話なんて、なんて感動！
理解しがたい異常な殺人はどうやって生まれるのか、その殺人にどんな意味があるのか、異常な人間とはどんな人物なのか。ただの頭のイカれた人として片付けるのではなくて、解剖していくように殺人犯の内部に入り読み解いていく。到底共感は出来そうにもない恐ろしい怪物であるはずなのに、何故か興味を惹かれる。本を媒介しても著者の好奇心や興奮に伝染してしまう。
深淵を覗きたくなるのは自分の中にも悪が潜んでいると分かっているからだろうか。
犯罪心理学に興味のある方は…もう読んでいるんじゃないだろうか。精神的に健康な方に、悪影響のない程度におすすめしたい。

2015/12/24

まだ１０代のころにはじめて読んで、久々にまた買って読んでみた。
こんな怖かったかなっていうくらい怖くてね…。
初めて読んだ時は、きっとまるで実感がなくて、遠いよその国の話っていうか、完全にフィクションになってしまったのだろう。
歳をとって、そういう世界もあるのだと分かって読むと、背筋が凍る。

2015/04/09

深淵を覗き込む時,その深淵もこちらを見つめているのだ.

序盤における筆者の喜々とした語り口調に違和感

2014/10/13

連続殺人、大量殺人、その他残虐な性的殺人。
秩序型犯人であろうと無秩序型犯人であろうと、異常な空想を現実化するに至るその精神状態は、治療で改善されるものではない。
幼い頃からの家庭環境や、何かしらのショッキングな体験が創り上げてしまった『怪物』。
そういった『怪物』は誰しもの心底に潜んでいるのかもしれないが、自らに置かれた環境がそれを目覚めさすきっかけとなる。
本書は、FBI行動科学課特別捜査官のプロファイリング技術によって、事件解決を導いた数々の例を綴っている。
残虐な性的殺人となると、細かな描写はかなり気持ちが滅入るが、引き込まれて読み進めてしまう衝動は、やはり誰しもの奥底に眠る『怪物』の存在なのだろうか。
被害者やその親族の無念は計り知れないが、犯人もまた心身的な被害を受けて育った惨い被害者だということ。
そう思うと、片っ端から死刑判決を下しても何の解決にもならないのだと思わされた。
その個人個人の生い立ちや性質、その後の様子をデータとして収集し、今後に役立てていくことが最善だ。
このFBI特別捜査官が数々の事件を解決に導くことができたのも、収容中の犯人との面接も含めた多大なデータ収集の成果だろう。
人が生み出す空想は、時に破壊的で脅威的。
人間形成に大きく影響する、幼少期からの家庭環境や生活環境が、いかに重要なものかを痛感させられた。

2014/06/21

犯罪者の内面に、理論ではなく実際家として切り込んだ傑作。
犯罪者を題材とした創作にも役立っています。
時代柄、同性愛への差別的な記述や、筆者の不謹慎な面が見られます。