FBI心理分析官 の商品レビュー
FBI行動分析課の活躍を描いた『クリミナルマインド』というドラマが好きで見ている。 15年くらい昔に読んだ本だが、もう一度プロファイラーのことが詳しく知りたくなって再読した。著者は『羊たちの沈黙』などのモデルになった人物で、犯罪捜査にプロファイリングの技法を持ち込んだ先駆的人...
FBI行動分析課の活躍を描いた『クリミナルマインド』というドラマが好きで見ている。 15年くらい昔に読んだ本だが、もう一度プロファイラーのことが詳しく知りたくなって再読した。著者は『羊たちの沈黙』などのモデルになった人物で、犯罪捜査にプロファイリングの技法を持ち込んだ先駆的人物。『クリミナルマインド』では伝説のプロファイラー、デビット・ロッシのモデルだ。 プロファイリングとは猟奇殺人の現場から、被害者の損傷の程度や、年齢や性別、人種や社会的地位、周囲の状況、地理的な要因などから犯人を推理する(プロファイリング)ことにより、初動捜査の段階から犯人像を絞り込み、次の被害者が出る前に犯人を追いこむという技術だ。 毎回犯人の特徴をあまりにも的確に捉えるのはドラマだから当たり前だが、実際のプロファイラーも相当な確率で犯人像を言い当てるようだ。 連続殺人者は主に「秩序型」と「無秩序型」に分かれる。 「秩序型」は周到に犯罪の用意をする。殺人のための道具をあらかじめ用意し、標的となる人物に関しても下調べしていることが多い。知能が高く、標的を欺き、支配することに長けている。死体は周到に隠し、偽装工作を施すこともある。おおよそ似たような特徴をそなえたあるカテゴリーの人が被害にあう。 「無秩序型」は衝動のままに殺人を犯す。道具は現場で手に入るものを使い、自分で用意はしない。死体を隠そうともせず、その場に放置する。標的の特徴に好みがなく、誰が被害者になるのか予想できないこともある。 この大まかな二つ型から様々派生して、複雑怪奇な殺人者の心理に迫っていくのだが、その心理は常人には理解できないことだらけだ。 例えばチェイスという殺人者は、体中の血液が粉になっていくという妄想にとりつかれ、絶えず新しい血を飲まなければ死んでしまうという理由から次々に殺人を犯す。幼いころに虐待を受けたり、母親からの愛情を受けないで育つと、こういった異常な精神状態の大人になる可能性があるらしい。連続殺人者はほぼ例外なくこういった幼児体験をしている(だからといって、そういった体験をした人が必ず殺人者になるわけでない)殺人者へと変貌するには、なんらかの「ストレス要因」が必ずある。愛する者の死や、失職、身体的欠損などのストレスに耐えられずに犯行に走る。初めは小さいことからはじめ、次第にエスカレートしていく。要するに手慣れていくのだ。栓が飛んだシャンパンみたいに、一度吹き出すともう溢れる一方になり歯止めが利かない。 数年前に千葉県で、出所からわずか数日で女子大生を強姦し、放火殺人した男のことが 被害者を貶める週刊誌の誤報の件も含めて話題になったが、あの犯人はたぶん「無秩序型」の犯人だと思う。著者は「連続殺人犯」に更生の余地はないと言う。自己の妄想に支配されているので、いくら模範囚として長年刑に服していたとしても、刑務所から出て、強制力がなくなった時点で妄想実現のために犯罪を再開するという。この犯人も釈放したことがそもそもの間違いだったのではないかと思う。 神戸の連続殺人犯「少年A」も幼児期のしつけの厳しい母親のもとで愛情を感じることなく育ち、唯一人愛情を注いでくれていた祖母の死がストレス要因となって、動物虐待など軽犯罪に手を染め、猟奇殺人へとエスカレートしている。まさにシリアルキラーの典型だ。 この本を読むまでは少年法の更生プログラムを信用していたけど、彼に更生の余地があるかどうか、とても疑わしくなってきた。 人権とか性善説を信じるのはいいが、新たな被害者がでることが一番の問題だ。日本には終身刑がないし、裁判員制度もまだまだ未熟だから、更生の余地のない犯罪者を、再び社会に放ってしまう危険性が高い。よくよく考えなくてはいけない問題だと思う。
Posted by
世界の凶悪犯罪某映画のモデルになった人物等のインタビューは必見。 まさに狂気。ドラマ、クリミナルマインドや映画 羊たちの沈黙シリーズさらにディスカバリーチャンネルの犯罪者の心理学なんかで興味を持った時の参考文献として読むといいかも。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
クリミナルマインドを紹介してもらったので、ついでに本も読んでみた。レスラーという有名な方が著作したものらしい。心理学を噛む側としては、「臨床」とはまた違った印象を受けた。厳密には違う分野なのだから当たり前なのだけれど、行動分析とは実験やインタビュー、統計から得たデータから当てはまるものを探してサンプリングする、っていうことでいいのだろうか。専門じゃないし、最近知った分野なので自信はない。内容は過激なものが多かったが、日本人としてはどうも理解が遠い気がする。なぜ白人男性ばかりが多いところが気になった。アメリカ自体の人口が多いのも致し方ない統計結果かもしれない。そういった面でもやはり文化の違いによる人間の行動変容がどう示唆されていくのかも考えどころかもしれない。 かなり脱線したが、内容は多くの具体例で編成されているので、読みごたえはある。勉強になった。
Posted by
「羊たちの沈黙」「ハンニバル」のハンニバル・レクター博士のモデルにもなった、元FBI行動科学課の特別捜査官ロバート・K・レスラー氏による、異常殺人者の記録とその素顔を描いたノンフィクション。 内容は有名なので割愛。 本文中でレスラー氏は犯罪者達をジャンル分けし、さらに彼らがそ...
「羊たちの沈黙」「ハンニバル」のハンニバル・レクター博士のモデルにもなった、元FBI行動科学課の特別捜査官ロバート・K・レスラー氏による、異常殺人者の記録とその素顔を描いたノンフィクション。 内容は有名なので割愛。 本文中でレスラー氏は犯罪者達をジャンル分けし、さらに彼らがそうなった理由と思われるファクターを幾つか挙げている。が、そのファクターのどれかは誰しにも該当することではないか…?そう思うと、己の心の奥底にある狂気性の芽をも改めて意識させられる。 そう言う意味で、本当に怖い。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「怪物と闘う者は、その過程で自分自身も怪物になることのないように気をつけなくてはならない。貴方が深淵を覗き込むとき深淵貴方を覗いているのだ」というニーチェの言葉が印象的。 壊れてしまった人間の心理に興味がある方にはお勧め。 ただ、けっこうグロい描写あり
Posted by
ドラマのクリミナルマインドを見続けていて、また羊たちの沈黙シリーズも大好きだったから興味津々で読んだけど、正直恐ろしい。
Posted by
被害者の血を飲む殺人鬼、バラバラにした死体で性行為にふける倒錯者、30人以上を殺害したシリアル・キラー…異常殺人者たちを凄惨な犯罪に駆り立てたものはなにか?FBI行動科学課の特別捜査官として数々の奇怪な事件を解決に導き、「プロファイリング」という捜査技術を世界中に知らしめて『羊た...
被害者の血を飲む殺人鬼、バラバラにした死体で性行為にふける倒錯者、30人以上を殺害したシリアル・キラー…異常殺人者たちを凄惨な犯罪に駆り立てたものはなにか?FBI行動科学課の特別捜査官として数々の奇怪な事件を解決に導き、「プロファイリング」という捜査技術を世界中に知らしめて『羊たちの沈黙』や「X‐ファイル」のモデルにもなった著者が、凶悪犯たちの驚くべき心理に迫る戦慄のノンフィクション。(amazonより抜粋)
Posted by
この本を初めて読んだ時、どんどん引き込まれていった。 猟奇的な事件と、その犯人の周りの環境がどんな影響を与えていったか おぞましいが、悲しい話です。
Posted by
X-Fileが大好きでFBIという言葉に弱い。それ以上に異常殺人者たちの素顔に興味があり、手に取った本。なかなか面白い。自分が読んだのは単行本の方だが、ところどころに差し込まれた写真はちょっときついかも。活字では読めても、視覚的にはちょっと苦手だ。
Posted by
かなり興味深い内容でした。 犯人の名前がカタカナで読むのにすごく時間かかりました 羊たちの沈黙やレッドドラゴンに関わった方なんですね 久しぶりに観たくなりました
Posted by