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猫背の王子 の商品レビュー

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45件のお客様レビュー

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2013/02/22

彼女の作品は既に「マラケシュ心中」を読んでいたので、この処女作を読む前には心の準備はできていた。何といってもレズビアン小説である。偏見は無いが知らない世界だし、これまではそれをテーマにした小説を読もうとも思わなかったし。適切な例えでは無いと思うが、「マラケシュ心中」はビートルズで...

彼女の作品は既に「マラケシュ心中」を読んでいたので、この処女作を読む前には心の準備はできていた。何といってもレズビアン小説である。偏見は無いが知らない世界だし、これまではそれをテーマにした小説を読もうとも思わなかったし。適切な例えでは無いと思うが、「マラケシュ心中」はビートルズで言えば「サージェント・ペパーズ」を何の情報も先入観も無しで聴いたようなものだった。そしてそれを気に入ったので、じゃぁ1stアルバムから聴いてみよう…ということだ。「マラケシュ心中」はかなり重かったが、どことなく洗練された完成品という雰囲気だった。しかし、このデビュー作は違う。まさに1stアルバム。荒々しいラフな魅力が全開である。ほぼ一日で読みきってしまった。レズビアンのセックス描写も激しくエロティックであるが、不思議とドロドロとした感じにならない(僕は、だ)。そういった面も含めて、芝居に命をかけるミチルが生き生きと描かれており、読み終わった後は爽やかな感想さえ持ってしまった程である。

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2009/10/04

処女作です。ビアンでなくとも同性に恋愛をする人は数多く存在します。そんな人たちにモテる主人公ミチルの凸凹な道のお話。正にミチルは中山可穂氏が描いて行く上での原点と言える存在でしょう。

Posted byブクログ

2009/10/04

<あらすじ> 中山可穂さんの処女小説です。 主人公は、女から女へと渡り歩く淫蕩なレズビアンにして、芝居に全生命を賭ける演出家であり役者の王子ミチル。彼女の主催する小劇団「カイロプラクティック」は、一部熱狂的なファンがいるものの、まだまだ知名度もない発展途上の劇団。公演直前のある日...

<あらすじ> 中山可穂さんの処女小説です。 主人公は、女から女へと渡り歩く淫蕩なレズビアンにして、芝居に全生命を賭ける演出家であり役者の王子ミチル。彼女の主催する小劇団「カイロプラクティック」は、一部熱狂的なファンがいるものの、まだまだ知名度もない発展途上の劇団。公演直前のある日、主演女優が突然の脱退を宣言。理由は「私は誉められるけれど、ミチルさんは愛される」...つまり、おいしいところは全てミチルに奪われるから。この脱退の影には思いもよらない男の影があった。常にミチルを支え、誰よりもミチルを理解していたはずの主演男優であり、劇団の制作を兼ねる姫野トオル。真実を確かめる勇気のないまま、公演初日の幕を開ける...。 <感想> 生まれて初めて読むレズビアン小説ということで結構構えて読んだが、そんな思惑や猜疑心は最初の一行目で軽く吹っ飛ぶ。「自分とセックスしている夢を見て、目が覚めた。」衝撃的な一行は、その後明かされる主人公像をよく表している。奔放で傲慢で破滅的で自己中心的な、でも惹かれずにはいられない王寺ミチルの存在。こういうエキセントリックな人物描写を、中山さんはとてもリアルに描き出す。こんな人物が側にいたら堪ったものではない、と思いつつ、あまりにリアルにミチルの傷も悲しみも描ききっている為、憎むことができない。私は最後までミチルに感情移入はできなかったが、それでも彼女はとても魅力的な人だし、彼女の抱える心の闇や渇望は、自分におきかえても思い当たることが多い。彼女ほど純粋にではないにしても。 そして、この話の興味深い所は、つまるところ女性同士の恋愛の話ではないということだろう。ミチルは女性としか愛し合わない(現に恋人も片思いの憧れの相手も全て女性)にも関わらず「姫野トオルの不在」は彼女を破滅に追い込むのだ。ミチルが命をかけて取り込む「芝居」、それを共に作り上げているトオルは、彼女にとってただの戦友ではない、見えない絆で誰よりも強く結ばれた相手なのだ。お互いの大切さを不在によってしか確かめられない、触れあうことのない思い。同性愛とか異性愛とかいった拘りは、結局のところあまり関係なく、思える。 全身全霊をかけて何か一つのことに打ち込むことができる人は、そして、演劇という物に一度でも嵌ったことがある人は、是非読んでもらいたい話だと思う。

Posted byブクログ

2009/10/04

中山氏の第一作。レズビアンの話でありつつ、しかしそれ以上に青春演劇小説といっても差し支えないのでは。彼女の、淫蕩なレズビアンという属性が、破滅をまとった感じを上手く増長させているように感じる。

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2009/10/04

<読了日;2004.9.25> 王寺ミチルが余りにも自分に似すぎていて驚いた。 流石に、わたしはミチルほどには激しく感情を表せないけれど。 自分に似ているから、異常なまでに惹かれてしまったのかもしれない。 冷めているくせに、自分の愛する物を狂う程求めてしまう。その為には周りの事...

<読了日;2004.9.25> 王寺ミチルが余りにも自分に似すぎていて驚いた。 流石に、わたしはミチルほどには激しく感情を表せないけれど。 自分に似ているから、異常なまでに惹かれてしまったのかもしれない。 冷めているくせに、自分の愛する物を狂う程求めてしまう。その為には周りの事を顧みない。 本当は一人じゃ生きていけないくせいに、仲間の事を大切に思っているくせに、そういう感情を上手く表に出せない。だから誤解される。仲間に裏切られる。捨てられる。 余りにも激しく求めすぎてしまう。余りに感情をむき出しにしてしまう。 わたしにとっては、特別な一冊。

Posted byブクログ