猫背の王子 の商品レビュー
再読。それも何度目か分からないほど。 中学の頃に今でもどうしようもない気持ちを湧かせる友人に薦められた一冊。山本文緒さんが嫉妬したという作品。 王寺ミチルはカイロプラクティックという劇団を主催する。レズビアンであり、女たらしの、永遠の少年を魂の双子に持つ。横暴と傲慢と純粋と絶望...
再読。それも何度目か分からないほど。 中学の頃に今でもどうしようもない気持ちを湧かせる友人に薦められた一冊。山本文緒さんが嫉妬したという作品。 王寺ミチルはカイロプラクティックという劇団を主催する。レズビアンであり、女たらしの、永遠の少年を魂の双子に持つ。横暴と傲慢と純粋と絶望の甘さに酔うナルシスト。 彼女を支えた人々は彼女を愛し、憎み、守り、叩き潰し、演劇の神様のもとへ引き摺り出す。 栄光は一瞬で彼女を焼いて影にしてしまう。こびりついた影のなかで彼女の心臓はやはり演劇の神のもとで一脈を生み出す。 血で濡れたような文章。坂を転げる身は炎に巻かれている。中山さんの処女作はまるで生まれたての赤子のように女の血でぬらぬらとして恐ろしいまでの自由の前に泣き叫んでいるように感じる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
燃えるような恋愛だったり、時として儚く狂おしい恋愛だったりといろんな側面を持つ百合小説である。ミチルさんはたくさんの女性と関係をもつ事で意中の女性へ嫉妬をさせ、恋の駆け引きを楽しんでいたのだろうか。私自身は異性愛者(ノンケ)だが、ミチルさんが目の前に現れたら惚れてしまうだろう。実際、ミチルさんに虜になった登場人物たちに感情移入をしてしまった。最後は切なかったがそれすらも美しいと思ってしまった。
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久々に、心掴まれて揺さぶられる本を読めた。 没頭できた。 幸福だった。 中山可穂さんの本は『弱法師』以来。これからまた大事に読もうと思う。
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ミチルがあなたに似ている、と言われて読み始めた“猫背の王子”。まったくそのとおりだ。たらしで自己愛主義者で、そのくせ仲間を失うことを恐れる。一度は身を引いた舞台へ、あの静かな熱気の真中へもう一度立ってみたいと思わせてくれる、鮮烈で魅惑的な作品だった。
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読んでる途中に変な気持ちになった。 同性とか異性とか、どうでもいいのに。 なんで、こんなになるの
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溺れるように読んだ。破滅していきながらもまだ自分の足で立っているミチルがすごく好きです。 女の子に優しいたらしの王子さま、舞台では毅然とした女王さま、ひとりになると寂しさを抱えたお姫さまのようで、見ていて胸がざわつきます。作中でミチルは少女のなんたるかを語っていますが、王子さまで...
溺れるように読んだ。破滅していきながらもまだ自分の足で立っているミチルがすごく好きです。 女の子に優しいたらしの王子さま、舞台では毅然とした女王さま、ひとりになると寂しさを抱えたお姫さまのようで、見ていて胸がざわつきます。作中でミチルは少女のなんたるかを語っていますが、王子さまで女王さまでお姫さまなミチルこそ、本物の少女な気がします。 由紀さんへの独白と、トオルの告白の台詞が重なるようで切ない。決断せざるを得なかった、ぎりぎりに立っていたトオルも好きです。 続きがあるそうで、早くミチルに会いたい
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圧倒的な存在感で、劇団カイロプラクティック〈脊椎矯正〉の座長として君臨する王寺ミチル。ある日、忠実な臣下さながら彼女を補佐してきた姫野トオルの裏切りを人づてに知り、ミチルは劇団存続の危機を感じ始める。 ミチルのワンマンショー的性格の濃い小説だ。結局はトオルの裏切りの真相も追究され...
圧倒的な存在感で、劇団カイロプラクティック〈脊椎矯正〉の座長として君臨する王寺ミチル。ある日、忠実な臣下さながら彼女を補佐してきた姫野トオルの裏切りを人づてに知り、ミチルは劇団存続の危機を感じ始める。 ミチルのワンマンショー的性格の濃い小説だ。結局はトオルの裏切りの真相も追究されていない。そして一番気になるのが、ミチルがここまで芝居に執着する、そのルーツが見えてこないことだ。すべてが少しずつ浅い、そんな気がする。
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矛盾し傲慢で淫乱などうしようもない人間「ミチル」 なのに何故魅力的なのか。 主人公をこんなに好きになる本も珍しい。 自分を見失いそうになる時、思い切れない時、 ミチルが私に力をくれる本です。
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最近気になっている作家、中山可穂さんのデビュー作。 衝撃的ながらもミチルの奔放でどこか一途な性格に強く惹かれ、またその同性愛の切なさに胸が痛い作品。ここまで描くのってすごく神経をすり減らすだろうし、こういう作品はなかなか人に理解されないけれど、私はとにかく良かったと思った。いや...
最近気になっている作家、中山可穂さんのデビュー作。 衝撃的ながらもミチルの奔放でどこか一途な性格に強く惹かれ、またその同性愛の切なさに胸が痛い作品。ここまで描くのってすごく神経をすり減らすだろうし、こういう作品はなかなか人に理解されないけれど、私はとにかく良かったと思った。いや、分かる人にはぜひ薦めたい本だと思う。
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劇団主宰者ミチルさんのシリーズ第一弾。 ミチルさんの生き方はとても見ていて辛いし、性描写もあって万人にオススメはできないけど、好きな人はすごく好きな小説だと思う。
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