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朗読者 の商品レビュー

3.8

73件のお客様レビュー

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2020/09/16

会話はできても、文字を読めない、文字を書くことが出来ない。文盲とはつまり、会話でしか言葉を生み出せない、ということだ。会話でしか生まれないハンナの言葉は、できては直ぐに消えゆく泡のようなものだ。ハンナとミヒャエルが愛し合う場面で入浴の光景が多いのは、水や泡のように流れてゆき、そし...

会話はできても、文字を読めない、文字を書くことが出来ない。文盲とはつまり、会話でしか言葉を生み出せない、ということだ。会話でしか生まれないハンナの言葉は、できては直ぐに消えゆく泡のようなものだ。ハンナとミヒャエルが愛し合う場面で入浴の光景が多いのは、水や泡のように流れてゆき、そしてすぐに消えゆくものを暗示している。 文盲を隠し、そのために世界から、そして周りから置き去りにされ、ナチス第三帝国の戦犯として、いつのまにやら裁かれるものとなってしまい、自尊心のために(文盲を明かさないために)牢獄に入れられてしまったハンナ。ハンナと溺れるように恋をし、ハンナに身を捧げ、ハンナに裏切られたにもかかわらず、愛だけはなくならずにそこにあったミヒャエル。 社会は罪を生む。 文盲、それ自体は罪であるわけはない。 社会が文盲を罪とし、それを十字架としてハンナに背負わせた。ハンナはその十字架と共に生き、十字架を隠し、愛する人にも見せないようにした。ミヒャエルは十字架を取り除こうとした。そしてそれは不可能だった。もしかすると、牢獄にいる間だけは、ハンナの背から十字架はなくなっていたのではないか。牢獄でのハンナはまるで教祖のようだった。出所してまた罪人になること、また背負うことになるだろう十字架を、ハンナは拒絶して、だから牢屋で自死したのではないか。 愛とはなにか、罪とはなにか、裁くこととはなにか、あらゆる問いが波のように押し寄せてくるが、著者は「答え」を求めて、これを書いたのではないと思う。 心の解放、そして思い出がなくならないように。 一文、次の文、その次の文と、示唆に富んだ言葉の波。私にとって『朗読者』は、何度も手にとって読むべき本の1冊だ。

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2020/01/06

終始、主人公ミヒャエルの視点である。 ある点では、愛という感情の話であるがナチスドイツを題材としている。 ハンナという歳上の女性と15歳の時に出会った。 ミヒャエルとハンナというキャラクターは共感できるかと言われたら、出来ない。 だが、当時のことに思いを巡らすのには良い作品で...

終始、主人公ミヒャエルの視点である。 ある点では、愛という感情の話であるがナチスドイツを題材としている。 ハンナという歳上の女性と15歳の時に出会った。 ミヒャエルとハンナというキャラクターは共感できるかと言われたら、出来ない。 だが、当時のことに思いを巡らすのには良い作品であり読者はよく考えることが出来る。 非常に文学的で、興味深い。

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2019/04/14

映画を見てから読んだ。 本は2度読むべきと書いてあったが、確かに1回ではあまり心情などが伝わってこなかった。 映画の方が、ハンナの文盲がどんなに彼女を不幸にしていたかや、ミヒャエルの苦悩がより伝わってきた気がする。 また同じ場面で、映画と翻訳が違う部分もあり、ちょっと消化不良気味...

映画を見てから読んだ。 本は2度読むべきと書いてあったが、確かに1回ではあまり心情などが伝わってこなかった。 映画の方が、ハンナの文盲がどんなに彼女を不幸にしていたかや、ミヒャエルの苦悩がより伝わってきた気がする。 また同じ場面で、映画と翻訳が違う部分もあり、ちょっと消化不良気味。原作を読めて、映画を字幕なしで観れるほどの語学力が欲しいとつくづく思った。

Posted byブクログ

2017/07/26

翻訳は読みにくかったけれど、淡々と流れる心情はわかってなかなかよかった。 YAとして紹介していいか?という話を聞いて読んだのだけれど・・・ 大人の本だよねぇ・・・ ナチスとその罪のあたりは若い人に読んでもらいたいけれど。 映画はどうだったんだろう?R指定じゃなかったの?

Posted byブクログ

2016/05/25

数年前に読んだ作品を再読。以前読んだときは作品中の言葉に強く共感したのを憶えている。今回は作品そのものに心打たれた。切ない恋だね。思い出に焼き付いてしまったものは、墓場まで持っていくことになるのでしょうね。歳をかさねて、そんなことがわかるようになった気がした。

Posted byブクログ

2016/02/10

初恋は特別なのだと思う。そしてそれが思春期であるならば、日常とは違う見え方をするのかもしれない。そんなことを思いました。 背景にナチスのユダヤ人迫害があり、単純な恋愛小説とは異質な印象です。罪と愛は対なのかもしれません。

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2015/07/06
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15歳の少年ミヒャエルの初めての切ない恋。 第一章の恋の部分はかなりあっさり読んでしまいました。 第二章から引き込まれました。 裁判でかつての恋人を見るために裁判に通い詰める主人公。 元恋人が「文盲」であることに気がつくが 彼女のプライドを優先する。刑期を終えた 彼女が選択したのは自らの死。 「あなただったら何をしましたか?」 「あなただったらどうしましたか?」 ハンナの問いかけに私は答えられない。

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2015/05/23
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※このレビューにはネタバレを含みます

21歳差の恋愛の話、では全然なく。生身の人間、それも憎しみより愛情を感じている相手の罪(と自分の罪)をどう受け止め、裁くか。そんな答えが無く、深淵を覗くような物語でした。さて日本人はどうしてきただろう、と思いました。

Posted byブクログ

2014/09/11

少年の淡い恋物語かと想像していたら、まさかのアウシュビッツ関連で、後半いきなり心が重くなる。戦争中の狂気の中でだれが自分の思う正しい行動を出来ただろうか? 裁判長に問いかけたハンナの言葉が印象的でした。「あなたならどうしました?」言葉につまる裁判長。

Posted byブクログ

2014/02/24
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確か村山由佳の小説で出てきたのでタイトルが心に引っかかっていた。内容は想像と違った。年上の女性との恋愛、という意味では村山由佳の小説と共通点はあったな。

Posted byブクログ