フェルマーの最終定理 の商品レビュー
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「私がさらに遠くを見る事が出来たのならそれは巨人の肩に乗っているからです」と言ったのはアイザック・ニュートンだった。 アンドリュー・ワイルスは40代の大台に乗ってから周りとの交渉を一切断ち、フェルマーの最終定理を解く事に捧げた孤高の人だ。その過程はエベレストの頂上を登らんとする冒険家のようである。 しかしながらこの本を読むにつれて浮かびかがって来たのは「Connection」を作る事の大事さだ。 ニュートンが理解していた通り、アンドリュー・ワイルスもフェルマーの最終定理を解くにあたり、ピタゴラス・オイラー・谷山=志村予想・コリギャリン・フラッハ法・岩澤理論など先人の叡智をフル活用する事により頂きに登りつめる事ができた。また数学者のみならず学問の世界では「架け橋」を作る事は果てしない価値がある。橋を架ける事によりお互いのテーマをより豊かにし、かつ双方を結び付けている基本的真理の存在を明らかにするからである。 歴史的叡智の繋がりとは別に孤高のワイルズを支え続けたのは家族の存在であったり、最終的には自身の論理を検証する為に人に頼る必要もあった所も話としては興味深い。 いくらビッグデータなど複雑な計算をするのはコンピュータであったとしても「結び付けて統一し、さらに隠れた基本的真理を明らかにする」のは人間しかいないし、未来永劫それは変わる事はないだろう。
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数学書の中でも手軽に読むことができる一冊だった。ほとんど数式が出てこなかったので、学術的な価値を求めて本書を選択してしまったら間違いだが全くの失敗ではないと思う。
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3世紀に渡り、数学界最大の謎として残された定理の証明に至るまでのストーリー。実際に定理を証明したアンドリュー・ワイズの人生から、数学自体の歴史までを紹介している。 私は大学でまで線形代数や微積を学んだ工学部出身だが、それでも、読むのがしんどい本であった。悪い意味ではない。難しい...
3世紀に渡り、数学界最大の謎として残された定理の証明に至るまでのストーリー。実際に定理を証明したアンドリュー・ワイズの人生から、数学自体の歴史までを紹介している。 私は大学でまで線形代数や微積を学んだ工学部出身だが、それでも、読むのがしんどい本であった。悪い意味ではない。難しい数学の話をかなり噛み砕いて、易しい言葉で説明してくれているが、如何せん内容が高度などで、難しい。しかし、数学者の追い詰められ具合(工学部門も研究に追い詰められることはままある)などが分かる珍しい本だと思うので、★4つ。 工学部の私からも、数学科は異質な存在である。学科の定員も割ってしまうことも多い学科らしい。数学は良い意味でも悪い意味でも、自分本位な学問だと思う。本でも書いてある通り、数学科専攻は、そもそもが自分の達成感を得るために勉強しているのだと思う。たまたま役立つことがあったとしても、それはただの結果だ。私たち工学部は、基本的には、人類の役に立ったり、環境を保護したりと貢献願望がある人も多いと思う。それに、私たちは実験を行うが、数学科の友人に聞いたことがあるが、研究室生活でも、ただただ問題と向き合い、証明法を一日考える生活だという。私には考えただけで、気が狂ってしまいそうだ。 翻訳者の青木さんいわく、工学分野を数学科に劣ると書いてあるようで、最初は腹たった。私も同じかも。でも、私だって、社会への貢献度や、その心の姿勢においては工学分野を選択したことを誇りに思い、その点で数学科より素晴らしいと思っている。だから、お互いさまで、自分の道に誇りを持つことは大切だと思う。 そして、この世界の命題となった謎を解く鍵となったのが、日本の谷村ー志村予想だったり、岩澤理論だったり、海外の一流大学の教授として今まで知らなかったけどたくさん活躍されている日本人の方がいらっしゃったりと、日本人としても誇りに思える本。
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数学が苦手だったが、とにかく面白い。 x(n)+y(n)=z(n) n>2乗のとき、方程式は成立しない。これがフェルマーの最終定理である。n=2のときは、三平方の定理でおなじみのピタゴラスの定理であるが、nが2よりも大きい場合は成立しない。意外であるがそうらしい。17世紀の...
数学が苦手だったが、とにかく面白い。 x(n)+y(n)=z(n) n>2乗のとき、方程式は成立しない。これがフェルマーの最終定理である。n=2のときは、三平方の定理でおなじみのピタゴラスの定理であるが、nが2よりも大きい場合は成立しない。意外であるがそうらしい。17世紀の数学者フェルマーは、一見シンプルだが奥深いこの予想をぶち上げておいて、証明しないまま世を去る。 この問題を証明するにあたって、多くの数学者が腐心し証明できず散っていったことが語られる。数学者ワイルズもこの難問に魅せられたひとりだ。彼は先人の遺した数学理論を拾い集め、まるで強力な武器を組み立てるように自身の証明を作り上げていく。彼らのエピソードと合わせて、数の不思議にも触れられる。素数、完全数など不思議で魅力的な数の世界を堪能でき、知的好奇心をくすぐられる一冊だ。
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非常に面白いです! 偉大な数学者フェルマーが残した定理を証明しようと数多の数学者たちが悪戦苦闘し、3世紀半かかってようやく完全証明するまでの経緯が描かれています。 フエルマーが生きたそれ以前の時代的背景からはじまり、挑戦しては跳ね返されていった数学者のエピソードを数学に知識のない方でもわかるようにうまく説明してくれます。数学者のエピソードについてはおそらく専門分野の方でも一筋縄ではいかないような高等なテクニックを用いているにも関わらず、その要旨を見事に伝えてくれます。 完全証明を成し遂げたワイルズの成功や苦悩だけの話に留まらず素数や完全数の存在を挙げ、数字の持つ美しさと奥深さ、そして数学の魅力を味わえる一冊です。
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フェルマーの最終定理は、名前を知っていたもののどのようなことなのか、そもそも最終定理って何だ?というレベルであった。 この本は、専門的な知識がなくともわかりやすく書かれており、数学の歴史から理解できる。 この定理自体はわかりやすい数式であるものの、ここまで複雑な照明が必要なの...
フェルマーの最終定理は、名前を知っていたもののどのようなことなのか、そもそも最終定理って何だ?というレベルであった。 この本は、専門的な知識がなくともわかりやすく書かれており、数学の歴史から理解できる。 この定理自体はわかりやすい数式であるものの、ここまで複雑な照明が必要なのかと、驚くと同時に、数学の奥深さを実感できて、非常に興味深く読むことができた。 理系でありながら、今まで接したことのない考え方も知ることができ、日本人の方がかかわっていたということもこれまた日本人としては誇らしくなってしまう。 もう一度読み直して、さらに理解を深めたいと思う。
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「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここで記すことはできない」フェルマーが亡くなった後に見つかったその命題に、多くの数学者たちが挑戦し、失敗し続けてきた。3世紀に渡って証明され得なかったその命題は、ワイルズによってついに証明される。その証明は100ペ...
「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここで記すことはできない」フェルマーが亡くなった後に見つかったその命題に、多くの数学者たちが挑戦し、失敗し続けてきた。3世紀に渡って証明され得なかったその命題は、ワイルズによってついに証明される。その証明は100ページにも及んだ。以前読んだ「素数の音楽」よりも理解しやすく読みやすかった。そもそも証明可能なのかもわからないものを、人生をかけて証明しようとする数学者たち。一つのことに打ち込むって凄いなぁ。数学の歴史やドラマが感じられる熱い一冊。
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数学が自然科学と同様に巨人の肩の上に乗っていることがよくわかった。 また、一つの問題を解決するのに長期的な集中する実践という意味で示唆的った。
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フェルマーの最終定理といういかにも難しそうな題材で描かれたノンフィクション。かなり上手く誰にでもわかりやすく面白く書いてくれている。普通の小説と変わらずワクワクしながら読むことができた。数学の大変さ美しさ面白さが伝わった。こんなにも完璧であることが求められるジャンルは無いだろうな...
フェルマーの最終定理といういかにも難しそうな題材で描かれたノンフィクション。かなり上手く誰にでもわかりやすく面白く書いてくれている。普通の小説と変わらずワクワクしながら読むことができた。数学の大変さ美しさ面白さが伝わった。こんなにも完璧であることが求められるジャンルは無いだろうな。ワイルズさんの執念というか思いが強くて証明を作り上げたときは軽く鳥肌もの。これで終わりにしたいと思います。
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いや、面白い。中学高校で習った数学にこんなドラマがあるとは。数学は美しい、ちとわかった気がする。いつかもう一度読んでみよう。
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