フェルマーの最終定理 の商品レビュー
恥ずかしながら、私、この本を読むまで、数学=計算 かと思ってた。数学って論理、なんだ。もちろん計算やそのテクニックも含まれますが、そのテクニックを生み出すための思考の整理や論理なんだ、と知った。 数学は意見交換によって、新しいアイデアを得たり、自分の間違いに気づいたりと、交流が主...
恥ずかしながら、私、この本を読むまで、数学=計算 かと思ってた。数学って論理、なんだ。もちろん計算やそのテクニックも含まれますが、そのテクニックを生み出すための思考の整理や論理なんだ、と知った。 数学は意見交換によって、新しいアイデアを得たり、自分の間違いに気づいたりと、交流が主流な中、ワイルズは、フェルマーの最終定理解明までは、引きこもりを決めた、そして発表後、論理矛盾を指摘され、それを再追求して行く過程のワイルズの精神はいかほどだろうと、こちらも緊張した。邪魔されない環境、手柄を横取りされないと言う目的と、交流によって得られるアイデア。その両天秤でどちらを取っても、得るもの失うものがあるわけで、これは、自身が何を掴みたいか、その決断なのだ。 あと、どの偉人に共通するのは、それに興味を持って絶えずそれを考えている事、諦めない事。何かで成し遂げられる人は、この精神力に尽きる。 また、日本人数学者、女性数学者が登場し、その描かれ方が好意的なのも、日本人女性読者として嬉しい。あとがきにある、著者と志村先生の対面があったから、この著はイギリス人によって書かれているが、内容が現代日本史の一部に触れるように、身近に感じられたのはそのおかげだろう。 数学が苦手な私には、数論や一部計算方法でついて行けないところもありましたが、数学というより、数学史と捉えて読めばいい。出て来る数式まで理解したら、心底膝を打って「面白い!」と言えたでしょうが、そうならなかったので星4。
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正直モジュラーのあたりでちとついていけなくなったけど。ややこしい数式とかはできるだけ避けて書かれていたと言えよう。なかなか面白かった。
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私には、ある定理を証明するため1年間数学に没頭した経験があります。その期間は、「高揚感」、「失望感」、「迷い(この定理は成り立たないかもしれないので)」等のさまざまな感情が入り乱れた、半分狂気じみたものでした。フェルマーの定理を証明したアンドリュー・ワイズは、これを解くために7年...
私には、ある定理を証明するため1年間数学に没頭した経験があります。その期間は、「高揚感」、「失望感」、「迷い(この定理は成り立たないかもしれないので)」等のさまざまな感情が入り乱れた、半分狂気じみたものでした。フェルマーの定理を証明したアンドリュー・ワイズは、これを解くために7年間も遁世した生活を続けており、その状態で心を病まなかった強靭な精神力(精神に異常をきたした数学者はたくさんいます)と、300年以上未決の定理を証明した頭脳は驚愕に値します。さて、本題に入ります。この本の内容は、フェルマーの定理の証明ではありません。むしろ、「フェルマーの定理が出来た歴史的経緯」、「フェルマーの時代の天才数学者たちの紹介」、「フェルマーの定理に挑んだもしくは、挑まなかった数学者たち」といった数学史紹介本と思っていよいでしょう。多少の数学の説明もありますが、数学嫌いにも十分楽しめると思います。今年(2007年)、私が読んだこの手のジャンルの本の中では最高です。ぜひ一読を。
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"フェルマーの最終定理を証明した数学者ワイルズさんの物語。最高におもしろい本。フェルマーの最終定理とは、 3以上の自然数nに対して Xn(Xのn乗)+Yn(Yのn乗)=Zn(Zのn乗) を満たすような自然数XYZはない というもの。その証明の中身はさっぱり理解できない(...
"フェルマーの最終定理を証明した数学者ワイルズさんの物語。最高におもしろい本。フェルマーの最終定理とは、 3以上の自然数nに対して Xn(Xのn乗)+Yn(Yのn乗)=Zn(Zのn乗) を満たすような自然数XYZはない というもの。その証明の中身はさっぱり理解できない(モジュラー形式や谷山=志村予想、ガロア群論、コリヴァギン=フラッハ法など難しい理論はさっぱりわからない)が、そんな人にもどんなドラマがあったのかをこの著者は見事に描いている。また、この証明に多くの日本人も貢献していることもうれしい事実だ。 数学も楽しいかも。賢くない私にもそんな気にさせてくれる本。"
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読んだような記憶があります。 面白いなあと感じたのも朧げながら覚えています。 10年以上経つと忘れた事をありがたいと思うようになります。 そうだ!も一回読めるじゃあないかと。
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読む前はフェルマーの最終定理(といいますか、フェルマーの最終予想といいますか)の説明に終始するのかと思いきや、数学の歴史と絡めてこの予想を取り巻く逸話をドラマチックにまとめて仕上げた名著でした。
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土曜の夜に読み始めて、日曜の深夜に読み終えた。日曜の空いている時間はすべてこの本を読むことに使った。先に読み始めていた村上春樹の短編集と並行読みをするつもりだったが、こちらを読み始めると戻ることができなかった。本書で紹介されている帰納法の証明のように、最初のページを読みだすと最後まで読まざるをえないのだ。ピタゴラスなどの有名どころから、名前だけ聞いたことのある人やまったく知らなかった人まで様々な数学者が登場し、興味深いエピソードとともにその人生が紹介され、古代から現代まで連綿と続く数学の歴史の面白さに本を閉じることができなかった。数学に詳しくなくても楽しめるが、やはり詳しい人ほど面白さは倍増すると思う。高校数学ぐらいの知識ではフェルマーの最終定理を証明するクライマックスででてくる、モジュラーだのE系列だのM系列だのは説明されてもチンプンカンプンで、技術的にどのような手順で問題を解いたのかはまったくわからない。それに関わる人々の苦悩や歓喜の様子で熱いものは伝わってくるが、知的に満たされない感覚は残る。本の評価を4としたのはそのためだが、著者や本そのものに落ち度があるわけではない。偉そうに本の評価などといって点を付けているが、結局読む側の能力が低いために評価が下がることもあるのだと気が付いた。巻末の書籍紹介ページには同じ著者・訳者の作品が紹介されていたので、是非読んでみようと思う。
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難解な話をよくここまでエンターテインメントに仕上げられたなと感心する。 数学者の生い立ちや感情が描かれ、飽きることがない。 日本人が出てくるのも興味を引く。 300年超の挑戦はさすがに壮絶だった。 専門家ですら分からないというのは燃える。
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ピュタゴラスからワイルズの証明まで、数学の歴史に合わせてフェルマーの最終定理が様々な人の発見の積み重ねで証明までこぎつけたことを表している。解はないことを3世紀かけて証明する壮大なドラマ。分りやすく面白い。
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数学ロマン。 確かに最終定理がシンプルで理解できる数式なのが美しいですね。これを解くのに350年あまり、すごいお話です。そこに至るまでの過程が先人たちの積み重ねによるものであること。ワイルズ氏は10歳からこれにとりつかれていたこと。日本人の仮説が大きく証明に関わっていること。なか...
数学ロマン。 確かに最終定理がシンプルで理解できる数式なのが美しいですね。これを解くのに350年あまり、すごいお話です。そこに至るまでの過程が先人たちの積み重ねによるものであること。ワイルズ氏は10歳からこれにとりつかれていたこと。日本人の仮説が大きく証明に関わっていること。なかなか興味深いお話でした。世の中は深いです。理解し得ぬ世界があります。
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