疫病神 の商品レビュー
暴力団の組の名前や人の名前、関係が複雑でわかりにくい。整理して読めば理解できるが、そこまでするほどストーリーに面白さがない。産廃処理場が不足しており、新規計画に地元有力者やヤクザなどの利権が絡むという構図は現実でもあることなのだろう。大手ゼネコンが汚れ仕事をヤクザに依頼する創作物...
暴力団の組の名前や人の名前、関係が複雑でわかりにくい。整理して読めば理解できるが、そこまでするほどストーリーに面白さがない。産廃処理場が不足しており、新規計画に地元有力者やヤクザなどの利権が絡むという構図は現実でもあることなのだろう。大手ゼネコンが汚れ仕事をヤクザに依頼する創作物は数多あるが、実際のところどうなんだろう。。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
黒川博行氏といえば、筧千佐子のいわゆる「後妻業」を描いた同名の小説で一世を風靡したが、むろんその名は事件報道以前から知っていた。いわゆるハードボイルド小説をものしたら右に出るものはいないと思えるほどの作家である。黒川氏が書く二宮と桑原の「最凶」コンビと呼ばれるシリーズの第一弾が本作だった。 ところで、ごく普通の市民として生きていると、極道の世界にはなかなか現実的な感覚が伴わない。考えてみれば、身近なところにありそうでありながら、実態はアンダーグラウンドな世界に遮蔽されていて実際に目にする機会などまずない。 黒川氏は、そうした普段の我々からは闇に隠されている世界を、ハードボイルドという手法で描いてみせる。ハードボイルドゆえ、語り手の目や五感を通して得られる事実を粛々と書き連ねることとなる。読み手は緻密に描かれた物語の中の事実から立ち昇ってくる感情を、それぞれの読み手に応じて感受することとなるだろう。そのときに誰もが感じる感情こそ、畢竟、ワクワクドキドキといったものではないだろうか。 黒川氏の描写は、どんなシーンをとっても緻密で、丁寧で、読み手は容易にビジュアル化できる。それでいて、文章のスピード感は損なわれない。場面の転換も程よいタイミングで行われる。読み手は心地よいスピード感に乗せられて、あっという間に物語を読み進めてしまうだろう。 もちろん描かれている内容もスリリングだ。本作では、新たな産廃処理場建設を巡って、複数の極道が「シノギ」を求めて暗躍する。といっても、単なる極道同士の闘争ではなく、その裏でおのが手を汚さずに黒幕として姿を見せない奴らが存在するのである。黒幕の代表格は、政治家だ。彼らは極道に負けず劣らず、「シノギ」の匂いを嗅ぎ分けるのに長けている。おのが利権のためになら何でもする人種でなければ、少なくともわが国ではまともな政治家になどなれない。たとえ大馬鹿者であっても、金の匂いを嗅ぐことに長けていれば、政治家は務まる。ある意味では、一見「まともそう」に見える分、極道よりたちが悪い。極道や政治家が金の匂いをプンプンさせ始めると、そこには大手・中小のゼネコンやらヤクザのフロント企業やらが入り乱れ、互いに巧妙な策略を使い、容易に尻尾を掴ませないように複雑な構図を描いてみせる。 最凶コンビは、絡まった糸をほぐすように事実を追いかけ、時には大胆な推測に基づいて思い切った行動をとる。少しずつ交錯した糸がほぐれてくる。その過程を描いた物語こそが本作であり、糸をほぐすプロセスは、絶えず危険な場面の繰り返しである。ゆえに我々はそれを読むことでワクワクドキドキの黒川ワールドに引きずり込まれることになる。いちいち細かな心理描写などが描かれていたら、スリリングさは半減してしまう。黒川氏がハードボイルドという手法を採ったのは、慧眼というほかない。 疾走感あふれるハードボイルド=黒川博行ワールドは、かくも楽しいものであったか。これまで名前は拝見しつつも、作品を読んだのは初めてなことが悔やまれるほどである。黒川博行――またひとり、好きな作家が増えた。
Posted by
疫病神シリーズ第1作 スピード感がすごい作品。 ちょっと登場人物が多く理解できないところもありましたが 面白かった。
Posted by
直木賞受賞作「破門」のシリーズ一作目。普段はあまり手に取らないノワールタイプの小説なのですが建設コンサルタントの二宮と二蝶会のヤクザ桑原のコンビのテンポの良い応酬によくわからないうちにぐいぐい引っ張られ最後まで一気読みしてしまいました。産廃処分場の建設という利権に絡んだ裏社会の経...
直木賞受賞作「破門」のシリーズ一作目。普段はあまり手に取らないノワールタイプの小説なのですが建設コンサルタントの二宮と二蝶会のヤクザ桑原のコンビのテンポの良い応酬によくわからないうちにぐいぐい引っ張られ最後まで一気読みしてしまいました。産廃処分場の建設という利権に絡んだ裏社会の経済事情がとても興味深いです。二宮のやたら強いのではなくて痛めつけられながらの駆け引きに苦笑しながらもその信念に惹かれます。桑原のキャラも最高。まさしく題名通りの疫病神(どっちが)。受賞作までコンビを追いかけたくなりました。
Posted by
わっかりやすいくらいハードボイルドな小説。 ドラマを見て興味を持ち読み始めましたが、 話の複雑さが映像向きです。入り組む登場人物達の関係性が文字だけで追うのは難しいかもしれません。 それにしてもドラマの再現度凄いです。ドラマままの小説は逆に凄いです。普通ドラマ化するにあたり、なに...
わっかりやすいくらいハードボイルドな小説。 ドラマを見て興味を持ち読み始めましたが、 話の複雑さが映像向きです。入り組む登場人物達の関係性が文字だけで追うのは難しいかもしれません。 それにしてもドラマの再現度凄いです。ドラマままの小説は逆に凄いです。普通ドラマ化するにあたり、なにかしら の脚色や変更があるのに、そのまま使われるのは凄い!! それだけ、話の枠組みがしっかりとしているということなんだろうなぁ。
Posted by
「疫病神」シリーズの第一弾。すでにシリーズの続編の方を先に読んでしまったので、やはりこちらから読めばよかったと少し後悔。相変わらず二宮、桑原のコンビが笑わせてくれる。二宮さんはお友達になりたいタイプ、桑原さんはお付き合いしてみたいタイプだと個人的には思った。
Posted by
一筋縄ではいかない登場人物達が次々と絡んできて、最後の決着が知りたくて一気に読めました。産廃の事情や企業とヤクザの絡みなど一度には理解できないけど雰囲気で読み進めた。次の話しも読みたくなった。くせになりそう。
Posted by
内容(「BOOK」データベースより) 建設コンサルタント・二宮啓之が、産業廃棄物処理場をめぐるトラブルに巻き込まれた。依頼人の失踪。たび重なる妨害。事件を追う中で見えてきたのは、数十億もの利権に群がる金の亡者たちだ。なりゆきでコンビを組むことになったのは、桑原保彦。だが、二宮の...
内容(「BOOK」データベースより) 建設コンサルタント・二宮啓之が、産業廃棄物処理場をめぐるトラブルに巻き込まれた。依頼人の失踪。たび重なる妨害。事件を追う中で見えてきたのは、数十億もの利権に群がる金の亡者たちだ。なりゆきでコンビを組むことになったのは、桑原保彦。だが、二宮の“相棒”は、一筋縄でいく男ではなかった―。関西を舞台に、欲望と暴力が蠢く世界を描く、圧倒的長編エンターテインメント。
Posted by
大阪のヤクザ物語といった感じ。 産業廃棄物処理の話の知識がないので、よくわからず読みすすめた。 あとヤクザの世界の話も馴染みはもちろんない苦笑 ヤクザ、ハードボイルドが好きな方はぜひ一読しみるといいだろう。
Posted by