菜の花の沖 新装版(一) の商品レビュー
ちょっと途中時代解説的なところがありますが、主人公の嘉兵衛がいきいきと描かれており、一気に6巻まで一気に読みました。
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全6巻。最後の方になると、主人公(嘉兵衛)が何でも出来る気がしてきます。気じゃないんだけど。商売って面白いんじゃないか!とか思っちゃう。
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おふさの姉である網屋の長女は、他の在所の釣りあう家へ縁談で嫁いだが、ふつうの家の場合、こういう例はめずらしかった。縁談も、婚礼もない。 娘のもとに若者が通ってきて、やがて妊ると自然に夫婦になるのである。 若者が単数であることのほうがむしろめずらしい。一人の娘に、何人かの若者が通う...
おふさの姉である網屋の長女は、他の在所の釣りあう家へ縁談で嫁いだが、ふつうの家の場合、こういう例はめずらしかった。縁談も、婚礼もない。 娘のもとに若者が通ってきて、やがて妊ると自然に夫婦になるのである。 若者が単数であることのほうがむしろめずらしい。一人の娘に、何人かの若者が通うが、妊ったときは、その子の父となる者に対する指名権は娘がもつ。娘は、自分が好きな、あるいはやや打算的に考えて生涯を託する上で無難な若者を指名する。指名された若者が、逃げるということは、まずなかった。たとえ多少好まない、と思っても、指名の背後に神でも存在するかのような神聖な感情をもって、それに服するのである。 むろん、生物学的に自分の子でないことが十分ありうる。がそのことが問われることは、西日本の浦々に残るこの古俗のなかでは、まずなかった。このことのなかには、一村の子は一村のもの、という潜在的な原理が働いている。(p.119)
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