風の万里 黎明の空(上) の商品レビュー
前2作と違い、陽子が主人公になると再びトーンが暗くなる。 三人の同じ年頃の主人公達それぞれの視線から交錯していく物語。 初期の陽子のように、全く勝手な女の子感情を振り回す2人にモヤモヤしつつ読む。
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陽子の喋り方が変わってたので慣れるまで苦労しました。読んでて思ったけど主要な女性キャラはとりあえず最初に叩き潰しとくのはこのシリーズの特徴なのかな。
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女子の物語ですねぇ。なかでも、不幸がるのがクセの鈴は、私の生き写しを見ているようで…清秀に説教されている場面では、真面目に恥ずかしくなりました。とくに、222ページからの二人のやりとり。だらしない自分に負けて逃げそうになったら、ここに戻ってこようと思う。 自分の悲運を、きっと誰か...
女子の物語ですねぇ。なかでも、不幸がるのがクセの鈴は、私の生き写しを見ているようで…清秀に説教されている場面では、真面目に恥ずかしくなりました。とくに、222ページからの二人のやりとり。だらしない自分に負けて逃げそうになったら、ここに戻ってこようと思う。 自分の悲運を、きっと誰かが救ってくれると夢想ばかりしている鈴タイプの私には、同じく最低レベルでも、人を陥れてやろうという気概があるだけ、祥瓊のパワー発散力を羨ましくも思ったり。 二人より一足先に、逃げずに自分と向き合い始めた陽子が二人に出会ったとき、何が起こるんだろう。 小さくてもいいから、それぞれにハッピーエンドという始まりが待っていますように。そうじゃなきゃ、女子としても救われない。 才王や供王のようなオトナ女子になれたらいいね。ついでに梨耀や沍姆の未来もちょっと覗いてみたいかも。
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陽子に感情移入してきたからこのまま陽子のストーリーを読みたいということで刊行順ではなく飛ばしてこちらを。だけどそれよりまたほかのショウケイと鈴、二人に感情移入してきてなかなか忙しい。なにより自分を省みるいい機会になったと思う。言葉がひとつひとつ心に響く。いい物語です。先が楽しみ。
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舞台は芳国、才国、ちょっと恭国で、メインは慶国。再び、陽子の登場である。 雁国の後ろ盾を得て偽王を倒し、ようやく真に景王として登極を果たす陽子。しかし、ここ数代続いた女王の失政により、登極したばかりの若い女王に対する宮廷の反応は厳しいものだった。胎果(蓬莱の生まれ)である故にこの...
舞台は芳国、才国、ちょっと恭国で、メインは慶国。再び、陽子の登場である。 雁国の後ろ盾を得て偽王を倒し、ようやく真に景王として登極を果たす陽子。しかし、ここ数代続いた女王の失政により、登極したばかりの若い女王に対する宮廷の反応は厳しいものだった。胎果(蓬莱の生まれ)である故にこの世界のことがわからない。文字も読めない。官の不信を身に感じ焦りを感じる陽子。「良い王になりたい」と決意して玉座についたものの、陽子は途方にくれていた。 景王登極の数年前、芳国では州候月渓により峯王と峯麟が討たれ、圧政に喘いでいた民は月渓を歓迎した。公主祥瓊は仙籍を剥奪され、里家で「孤児の玉葉」として生活を余儀なくされていた。辛く貧しい生活の中で自らの不幸を嘆いていた祥瓊は、慶国に同世代の女王が誕生したことを知り、言いしれぬ憎しみを覚える。 海客(蓬莱から流されてきた蓬莱人)である鈴は二度と故郷へは帰れない。言葉もわからず苦しんでいた鈴は才国で仙となり言葉はわかるようになったものの、仕える主人の暴挙に辛い日々を送っていた。そして胎果の若い女王の噂を聞き、「景王ならばこの苦しみをわかってくれる」と憧憬をつのらせる。 祥瓊は憎しみから、鈴は望郷の思いで慶国を目指す。そして陽子も、この世界のことを学ぼうと宮廷を出て、下界に降りていた。三人の同年代の少女は、引き寄せられるように慶国和州にて出会う。和州では折しも不穏な空気が広がっていた…。 慶国の権力闘争を背景に、「自分が一番可哀想」だと思い、「どうして誰も自分を憐れんでくれないの」と嘆いていた祥瓊と鈴の姿は月の影 影の海での陽子の姿を彷彿とさせる。祥瓊と楽俊。鈴と。この出会いによって閉じていた目を開かされ、二人の少女が成長してゆく様は秀逸だ。知らないこと、知ろうしないことがいかに罪深いことであるかを考えさせられる。 そして陽子もまた、これらの出会いを通し、自らの目指すもの、進むべき道をおぼろげながらつかんでゆく。 慶国の未来は、まだまだ厳しいながらも明るい光が見える。そんなラストになっている。 しかし、脇がいい。今回もやっぱり不器用で要領の悪かった景麒も、相変わらずお人好しで面倒見の良すぎる楽俊も、琥瓢と夕蝉の兄弟も、熊男冠たいも、みんないい味だしてます。(2001-04-20)
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「風の万里 黎明の空 十二国記」小野不由美 ファンタジー。紅色。 十二国記シリーズ第四作。 第一作の続編と言うべき、慶国平定への物語。 景王・陽子は全く以てキャラクター変わっちゃってますねぇ・・・。 前半は二人の少女の慢心がぷんぷん匂ってます。これはどう考えても後半へ...
「風の万里 黎明の空 十二国記」小野不由美 ファンタジー。紅色。 十二国記シリーズ第四作。 第一作の続編と言うべき、慶国平定への物語。 景王・陽子は全く以てキャラクター変わっちゃってますねぇ・・・。 前半は二人の少女の慢心がぷんぷん匂ってます。これはどう考えても後半への伏線だなー、と・・・。 新たに芳・才・柳の諸国が語られたのは目新しい。 後半の内乱制圧では次々と有能そうな将官が登場してきますが、今ひとつ描写が足りないのは仕方ないのかな。 「松塾門下生即登用」っぽい。陽子の炯眼ということでいいのかなー。 第二作、第三作と過去を描いた”史記”風だっただけに、やっぱり第一作から連なる本作はそれ相応の先入観を持たざるを得ないですね。 ちょっとストーリーが分散してしまった印象はありますが、結局内乱制圧、腹心登用という予定調和?ということでOKなんでしょう。 世界観→異形→君主→民意ってな進行でしょうか。 第五作に期待。
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十二国記、本編第四作目。慶国の王となった景王・陽子の再登場です。 『月の影~』のその後のお話です。 新王となった陽子は周りに信頼できる者がおらず、官吏の言うままになっていた。 こちらの世界のことも政治のこともわからず悩む陽子は民の実情を知ることからはじめようと街へ降りてゆく。 ...
十二国記、本編第四作目。慶国の王となった景王・陽子の再登場です。 『月の影~』のその後のお話です。 新王となった陽子は周りに信頼できる者がおらず、官吏の言うままになっていた。 こちらの世界のことも政治のこともわからず悩む陽子は民の実情を知ることからはじめようと街へ降りてゆく。 そしてクーデターにより両親を目の前で殺された芳国公主・祥瓊と蓬莱から才国に流され言葉がわからず苦労していた鈴に出会う。 この二人の少女と共に戦い、王として成長していく姿が描かれています。 陽子、かっこよかった~!水戸黄門か遠山の金さんかといったところ。 『東の海神~』もよかったけど、こっちのほうが読み応えありました。 登場人物がどんどん増えて、どうなることかと思いましたが、最後はしっかり大団円! 陽子が悩みぬいて出した初勅も等身大で素敵でした。 しかし、小野不由美さんは人の痛いところをよく描きますね~。 『魔性の子』もずしずしきましたが、この作品でも「あるよな~」っていう弱いところがこれでもかってくらい描かれていました。 自分の弱さに向き合って、それを克服し成長していくというのがメインテーマなのですね。 小野さんのホラーは読んだことないのですが、この調子だとさぞかし恐ろしいのだろうなぁと思ってしまいました。
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景王となった陽子は、自信のなさから官僚の言うがままに操られている。 苛政を敷き反乱で殺された芳国王の娘祥瓊は、平民に落とされ虐げられるが「自分は悪くない」「なぜ私だけが」との思いから抜け出せない。 陽子同様、蓬莱から才国に流されてきた鈴は、なんとか女仙の下女となるが、己の境遇を憐...
景王となった陽子は、自信のなさから官僚の言うがままに操られている。 苛政を敷き反乱で殺された芳国王の娘祥瓊は、平民に落とされ虐げられるが「自分は悪くない」「なぜ私だけが」との思いから抜け出せない。 陽子同様、蓬莱から才国に流されてきた鈴は、なんとか女仙の下女となるが、己の境遇を憐れみ「自分より不幸な人はいない」と泣き暮らす。 前半は、国の実情を知るため街に降りた陽子と、二人の少女の残酷な成長譚が並行して語られていく。 現代日本の我々にも他人事ではない心の弱さと、それに向き合う力とは。 後半、慶国内の腐敗の構造と、それを正そうとする抵抗勢力との内乱の兆しが描かれる。 その舞台へ、三人の運命が導かれ、交錯していく。 そして緊迫した情勢から、蜂起、戦闘と、一気に物語の頂点へと駆け上がっていく。 息もつかせない。 王が最初に発するべき勅命を初勅という。 それをどのようなものにするかずっと思い悩んでいた陽子。 内乱が終息し、堂々たる王として彼女が諸官の前で発した言葉は何か。 感動して涙が出た。 物語のバランスも良く、ぐいぐい引っ張られる。 警句にも満ち、色々考えさせられる。 傑作だと思う。
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供麒を見ると「ああ、麒麟は慈悲の生き物なんだなぁ」と納得がいく。 --2010.07.05--(再読)
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「このままではいけないんだ、分かってくれないか」 十二国記シリーズ 本編(?)に戻って陽子の話 当極直後 主役は陽子、鈴、祥瓊の3人の少女です 鈴のように「自分が世界で一番不幸だ」と思うとき清秀の言葉が胸に響く 祥瓊のように「何で私がこんな目に遭うんだ」と思うとき楽俊の言葉が胸...
「このままではいけないんだ、分かってくれないか」 十二国記シリーズ 本編(?)に戻って陽子の話 当極直後 主役は陽子、鈴、祥瓊の3人の少女です 鈴のように「自分が世界で一番不幸だ」と思うとき清秀の言葉が胸に響く 祥瓊のように「何で私がこんな目に遭うんだ」と思うとき楽俊の言葉が胸に響く 人の顔色ばかり伺う自分に気づいたとき陽子の言葉が胸に響く 鈴のように不幸によっていても 祥瓊のように何もしないで人のせいにばかりしていても 陽子のように人の顔色ばかり伺っていても何も変わらない このままではいけないと踏み出したいと私も思う
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