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夫婦善哉 の商品レビュー

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50件のお客様レビュー

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2013/09/05

男は何者かになり、何かを得られると根拠もなく信じ狡く気儘に生きる。女はその男を一人前にしようと裏切られながらも献身的に尽くす。しかし、二人の願いは叶わない。何度も間違いを繰り返し、その度に以前いた所よりも深く暗い生の暗がりへ落ちて行く。二人の姿はみっともないだろうか?確かにそうだ...

男は何者かになり、何かを得られると根拠もなく信じ狡く気儘に生きる。女はその男を一人前にしようと裏切られながらも献身的に尽くす。しかし、二人の願いは叶わない。何度も間違いを繰り返し、その度に以前いた所よりも深く暗い生の暗がりへ落ちて行く。二人の姿はみっともないだろうか?確かにそうだ。しかし、それだけではない。この物語は胸を打つ。それは何故だろう。二人が表すのは美しい夫婦の姿なのだろうか。それは違う。惨めで悲しいものだ。この物語にあるのは、初めから掛けた部分のある人というものが他者と一緒にあることによって社会の中を生き残って行こうとする懸命な姿だ。それは共依存というものとも違う。人間の大元にあるものだ。

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2013/09/02

どうして、私はこの人についていくのだろうか……そう思わせる表題作。しかしそんな無頼な生き方に魅力が潜んでいるからだろう。大阪の人情を写したオダサクの小説は今読まれても古くはないのではないか。

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2013/08/24

昔読んだときにはやっぱり古かったんだけど、今は違うかもしれないね。 ドラマ化のおかげで再読する。織田作と言われ、庶民に愛された作家の作品だと言うのが手に取るようにわかるね。昭和初期の小説が最近どうも古さがなくなりつつあるのは、今が再び戦前だからなのか?やめてくれ~~~

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2016/04/14

表題作より「木の都」や「世相」が面白い。戦中・戦後の大阪京都を描いたデカダンス文学の短編集。短いが読み応えはかなりある。

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2017/06/28

2013/04/11読了 人生、流転を繰り返し、醜くも儚くも生きては死に。 人間の生きる「様」をリアリスティックに描いた六篇。 当時と現在では価値観は異なるであろうが、現在でも共感できるところはあるし、衆愚的な面でも、毒々しく、生々しい表現に目を見張るものがある。 以下、各篇評...

2013/04/11読了 人生、流転を繰り返し、醜くも儚くも生きては死に。 人間の生きる「様」をリアリスティックに描いた六篇。 当時と現在では価値観は異なるであろうが、現在でも共感できるところはあるし、衆愚的な面でも、毒々しく、生々しい表現に目を見張るものがある。 以下、各篇評 『夫婦善哉』は女方がやや不憫に思えるものの、それでも渋々連れ添う夫婦の"縁"を(夫婦"愛"ではない)を描いている。 『木の都』はロードムービーのような、情景回想を読む。 『六白金星』こそ、人生の一大ストーリーを描いているのでは。締めの一声が、彼の人生の苦悩を越えた、周囲に流されずに一人で築き上げた「人生」を体現している。 『アド・バルーン』タイトルのつけ方は微妙だが、この本の中では個人的に最も好きな一篇である。六白金星と対照的な物語だ。父親の再登場は嬉しく、その演出もまたニクい。 『世相』著者の私小説、もとい独自という形であろうか。かつて世を賑わせた猟奇的殺人事件「阿部定」と、小説家としての欲求。こういう視点は読者としての第三者からみるととても面白い。 『競馬』人が「かわる」ということ、幸福から転落した者の末路と、その行く末。それでも「1」というかつての幸福を信じて手放さなかった、その末の大穴を得た、一人の男の末路とは。

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2012/12/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

作品の舞台となった時代を実際に知っているわけではないのに、その時代に生きた人々のリアルな息遣いが感じられるようだった 「木の都」と「六白金星」が特に好き

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2012/11/17

半月かかってゆっくりと読み終えた。 ゆらり揺れる嫉妬と好意、愛憎のバランス。 侘しさの中のほんのひとときが、人間らしくて好い。 大阪の繁華街の明るさと、裏路地の暗さが鮮明で美しい。

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2012/07/10

青空文庫にて。大阪の風土はよくよく滲み出ていると思う。淡々と短文で書き連ねる登場人物たちの悲喜こもごも、蝶子の深い深い情と現実世界に根ざしたドライさがとてもここちよく、ああ才能のある人なんだなあと思いながら読めた。

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2012/05/04

池田敏春の秋深きを観て、素敵だったので思わずぽちった。 人気があるのは知っていたけれどやはり面白かった。 デカダンとか放蕩とか出てくるけど、それよりも文中でも言う様に大阪の人々の風俗をとても愛していて、戦中戦後の大阪の空気や温度が手に触れる様に。 私小説っぽいナルシーな感じもあま...

池田敏春の秋深きを観て、素敵だったので思わずぽちった。 人気があるのは知っていたけれどやはり面白かった。 デカダンとか放蕩とか出てくるけど、それよりも文中でも言う様に大阪の人々の風俗をとても愛していて、戦中戦後の大阪の空気や温度が手に触れる様に。 私小説っぽいナルシーな感じもあまり無いし。短編で気軽に読める。すきです

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2012/04/03

2012年3月27日読了。iPhoneの青空文庫リーダーアプリにて読了。ダメ男と彼に惚れた芸者上がりのお蝶が大阪の町で慣れない商売をしては身を持ち崩すさまを何ともいえないタッチで描いた表題作ほか短編集。いずれも大阪を舞台にしているが、威勢良くタンカを切り空元気をふかす江戸っ子とは...

2012年3月27日読了。iPhoneの青空文庫リーダーアプリにて読了。ダメ男と彼に惚れた芸者上がりのお蝶が大阪の町で慣れない商売をしては身を持ち崩すさまを何ともいえないタッチで描いた表題作ほか短編集。いずれも大阪を舞台にしているが、威勢良くタンカを切り空元気をふかす江戸っ子とは違う、「かめへん、かめへん」の言葉でダメなものもよいものも混ぜこぜにしてすませてしまう、吉本などで強調されたものとは違うOLD大阪の懐の深さ・強さ・したたかさ・滑稽さを存分に味わえる。どの作品もダメな奴ばっかりで、「愛すべき大阪人」などとは簡単には言えないのだが・・・それでも皆には過去があるし、明日があるのだよなあ。

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