夫婦善哉 の商品レビュー
ぼんくらのぼんぼんはなぜ優柔不断なんだろう? そんなことは知らないが 織田作之助のバックボーンに、プロレタリア文学の挫折が あったかもしれないということを 武田鱗太郎との関係から想像することはできる 女に働かせながら、正義の活動にうつつを抜かすというアレね しかしまあとりあえず ...
ぼんくらのぼんぼんはなぜ優柔不断なんだろう? そんなことは知らないが 織田作之助のバックボーンに、プロレタリア文学の挫折が あったかもしれないということを 武田鱗太郎との関係から想像することはできる 女に働かせながら、正義の活動にうつつを抜かすというアレね しかしまあとりあえず 正義のことはどうでもいいとして ぼんくらのぼんぼんは、ぼんくらなりにもぼんぼんであるから 遊ぶことだけは誰がどう見たって一人前なんだということを 明らかにしておかねばならない 夜毎、花町に大金をばらまきつつ 食べ物だけはなにか、屋台や横丁の小汚いところに本物があるみたいな じつに小癪な、じつにつまらないこだわりを持っていやがるのだ けれどそれがしまいには、芸者と駆け落ちなんかして 実家から勘当されて、ただのぼんくらになってしまったとき はじめてその、食べ物に対するこだわりが 真に迫った哲学となってゆく気がするような そうでもないような気がするんだ でもなんだ 戦後になって小島政次郎の書いた食エッセイに比べれば ずっと謙虚なものではあるよ
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大阪に暮らすことになったからには、やはりオダサクは避けて通れまいと思ったのだが、それほど関西臭い感じはしなかった。といっても、関東大震災のあった時代の話なので、どんなものかは想像の域を出ないのだけれど。しかし、人の関わりかたというのはやはり人の数だけあるものだとしみじみ感じた。
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超メジャーというわけでもない織田作之助の作品を今まで読んだことがなかった自分が恥ずかしい。非常に読みやすく、力強い。六白金星は特にお気に入り。
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「六百金星」感想 「今月の売り上げ目標はいくらだ?」 「ありません!!」 会社一怖い営業部長をまえに 全力の大きな声で、目標はないと答えた入社5年目の彼。 色んな部署に飛ばされ厄介払いをされ クビにしたいがために飛ばされた営業部にて 彼は今日もトンチンカンをやらかし続けている...
「六百金星」感想 「今月の売り上げ目標はいくらだ?」 「ありません!!」 会社一怖い営業部長をまえに 全力の大きな声で、目標はないと答えた入社5年目の彼。 色んな部署に飛ばされ厄介払いをされ クビにしたいがために飛ばされた営業部にて 彼は今日もトンチンカンをやらかし続けている。 突き抜ける真っ直ぐさは 外から見てる分には愉快な喜劇。 けど、それが近親になると これほど恐ろしいことはないと思う。 自分の頭の尺度では、 到底測れない純真さは どこまでいっても理解することができず 時にイライラし、時に死ぬほど心配し それでもわかりあえない苦しさ。 物事を自分のものさしの中ではかりはかり 暮らしているから 予期せぬものにであったとき ありえない!と無駄に驚いたり軽蔑したり 怒ったり悲しんだり その人がほんとに大切なら そのまんま受け入れられる度量を 身につけたいなぁとこの短編を読みながら 考えました。
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著者の作品を初めて読む。大阪のごたごたした街をこてこてした文章で綴る。後先考えない放浪癖というのが大阪人の象徴のようになっている。2015.8.22
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駄目男とそれに振り回される女 いつの時代もそういう関係は嘲笑と僅かの羨望をうけていたのだろうか 大阪旅行事前準備の一環
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オダサクさんの文章は読みやすく、するする入ってくる。 しかし当時の流行語?など解らない言葉がいくつかある。こういうのは註が欲しいなあ。 「夫婦善哉」 どうしようもない柳吉をかいがいしく支え続ける蝶子。 勘当された実家にみっともなくすがり続ける柳吉。 さっぱりわからない、男女のこ...
オダサクさんの文章は読みやすく、するする入ってくる。 しかし当時の流行語?など解らない言葉がいくつかある。こういうのは註が欲しいなあ。 「夫婦善哉」 どうしようもない柳吉をかいがいしく支え続ける蝶子。 勘当された実家にみっともなくすがり続ける柳吉。 さっぱりわからない、男女のことは当人同士しかわからないというけれども…… 私も結婚したらわかるようになるのかしら(解りたくないような気もするけれど)。 「木の都」 温かくもよそよそしい故郷。 一度も行ったことのない土地なのに、語り手を通して懐かしく感じられた。 深い家族の愛情がしみじみと感じられる。時節のせいか、物悲しくも感じられる。 「六白金星」 これもどうしようもない人のお話。 楢男は彼なりに精いっぱい生きているし、修一も、琴枝も然り。 しかしそれぞれの頑張り方のそりが合わなくて、上手いこと付き合えない。 そんな印象。 「アド・バルーン」 語りに語り手の性格が反映されてるの面白い。 子供時代の詳細な述懐。 「世相」 転んでもただでは起きないし、貧しく惨めでもそうやって生きるしかない。 小説化の視線で切り取られた世界は終戦直後の世相でもどこか情緒的であるような。 「競馬」 とても読みやすい文章。 このどうしようもない男は、これからどうやって生きていくのだろう。
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『競馬』は素晴らしい。ギャンブルへの情熱と、正体の知れない人物に対する嫉妬がないまぜになっている感じが。
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なぜ今まで読んでなかったのだろう。夫婦善哉を含む大阪の街を舞台にした短編集。大阪に生きる人々の人情とオダサクのデカダンス。名作。
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生誕100年!!を迎えた織田作之助さん作夫婦善哉はその処女作であり、代表的な彼の短編小説の一つ。 短編といっても今時の小説のように改行や区切りが結構あったりするものと違ってギュウギュウに書かれておりますヽ(´Д`;)ノ なので最初は読みづらかったんですけど、なんか面白くて味わい...
生誕100年!!を迎えた織田作之助さん作夫婦善哉はその処女作であり、代表的な彼の短編小説の一つ。 短編といっても今時の小説のように改行や区切りが結構あったりするものと違ってギュウギュウに書かれておりますヽ(´Д`;)ノ なので最初は読みづらかったんですけど、なんか面白くて味わい深くてどんどん読めちゃうんですよね。 で、昭和15年に書かれたというこの作品ですが。 男と女ってえのはいつの時代も似たようなことしてるんですねヽ(´Д`;)ノ そしてこれも共通して言えるのですが、 人は人を変えられない ってことですかね。。。 新潮文庫では1冊に6作品収められてたんですが、ものの見事にこれが散りばめられていましたね~~ まあ、育ってきた環境とか性質とかいろいろあるんでしょうけど、親だとて夫婦だとて、子供や夫や妻を自分の思い通りになんてできないんですよね。 もし思い通りになってたとしてもそれはその人の本意でなく、ただ演じているだけかもしれません。 けどお話自体は6編とも違ったテイストのそれぞれが味わい深い作品となってました。 時代が昭和15年とかなのでその頃の様子がよくわからなくてもなんとなく雰囲気が伝わってきて想像できるような。 そしてやってることは今も昔も変わらないっていうヽ(´Д`;)ノ そんな作品でした。 ところどころツボだったのが 芸者が母親と猫と3人(?)で っていう書き方とか、 ライオンハミガキの広告灯 とかそんな時代からあったんだ~とか。 大阪が中心だったのでその地名がちゃんとあったんだ~とか。 とまあいろいろ楽しかった作品でした。 ドラマの方は最終回をちらっと見ただけでしたがオノマチがなんか違うくてやっぱり見なくてよかったかもと納得。
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