読書術 の商品レビュー
経験豊かな筆者が、本を読む楽しさ(本に対する考え方)と読書における様々な方法とおしえてくれる。 本を読むことは、「社会から離れ作者と自分との関係のみに生きること」など読書に対して新たな意味を考えさせてくれます。読書法では、速読の章がおススメです。
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『読書術』 加藤周一 むかしパリで私がある詩人の家に住んでいたとき、談たまたま寝床で読む本に触れたことがあります。「あなたは寝台で本を読まないのか」と私は言いました。「とんでもない」と詩人は言下に応じました。「寝台ですることは二つしかない、寝るか、愛するか」——しかし、私は詩人...
『読書術』 加藤周一 むかしパリで私がある詩人の家に住んでいたとき、談たまたま寝床で読む本に触れたことがあります。「あなたは寝台で本を読まないのか」と私は言いました。「とんでもない」と詩人は言下に応じました。「寝台ですることは二つしかない、寝るか、愛するか」——しかし、私は詩人には賛成しません。読書はまさにその二つの行為に似ている。第三の行為ではないでしょか。(p7) エピソード。辻原登教授も同じことを言っていた。面白い。 「遅く読め」というのは、「古典を読め」というのと同じことになり、また逆に、「古典を読め」というのは、「おそく読め」というのと同じことになるでしょう。(p59) その通りである。そう読みたい。 ……少なくとも一度や二度ゆっくり『論語』を読むのは、けっして時間の無駄にはならないでしょう。(p45) 四書五経の第一は『論語』 ……(西洋文化を指して)その源である古典は、申すまでもなく第一に聖書であり、第二にギリシャ思想を代表するいくつかの本であると言ってよいでしょう。(p47) やはり『聖書』と『ギリシャ神話』。基本中の基本である。 ……キリストの現行を伝えた新約聖書が、いわば儒教の「四書」、ことに論語に相当するということになりましょう。(p46) ここで繋がるのか。興味深い。 たとえば日本を理解するために、論語と仏教の経典、日本の古典文学のいくつか、また西洋を理解するために聖書とプラトンを、できるだけおそく読むことが、おそらく「急がば回れ」の理にかない、「読書百遍」の先祖の知恵を今日に生かす道にも通じるだろうと思われます。しかし、そもそも日本を理解し、世界を理解する必要があるのでしょうか。(p50) 盛り上げといてこうくるとは。結論として、自己の悩みや苦悩の解消として古典は役に立つとなる。なるほど。だが私は日本、世界、自分を知りたい。 一冊でなく、同時に数冊読む。(p82) 基本だが、先に述べた『聖書』など遅読できるものを用意しておくのは新しい。「日本」「翻訳」「新書」「聖書」(など)がベターか。 現代文学は速読すべし(p84) 数があるしね。が一番の理由。物語を速読しても意味はないが、新書等はそうだろう。 一冊だけ読むことが、読まない工夫の第一歩(p98) しっかり選書すること。やはり情報の選別は必須だ。基準を設けたい。 わからない本は読まないこと(p172) わからなければ意味がない。しかし人によっては読みやすかったり、読みにくかったりする。あんま落ち込むなよ。ということ。物語には当てはまらない。 「むずかしい本をよくわかる法」は、ないかもしれません。私たちにとって「必要なすべての本をよくわかる法」があるのです。 必要と思う本、積極的に必要だと思う本を読むべき。「求めよ、さらば与えられん」と書かれている。
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戦後日本を代表する知識人加藤周一の本であるが、読めない本は読まなければいいなど、簡単なことばかり書いてあって意外だった。知の巨人は難解なことばかりいうものではないのだと実感。
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「一読巻をおくこと能わず、寝食を忘る」p13 旅へ出かけること、本を開いて最初のページを読むことは、身のまわりの世界からの出発です。旅と読書はそもそものはじめから、気分のうえでよく重なっているのです。p18 アラン「繰り返し読むことのできないような小説ならば、はじめから読む必要がない」p38 近松浄瑠璃「この世のなごり、夜もなごり、死ににゆく身をたとうれば」p104 「求めよ、さらば与えられん」p206
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「本の読み方」についての本を何種類かよんでいる。 この本はアメリカ初の「本を読む本」と違い、エッセイ風である。 「本を読む本」はアメリカらしくロジカルであるが、こちらは例として登場する方々が知識人や文学者が多く、もっと人間らしい感じ。 読書の方法として参考になったのは、とくに洋書...
「本の読み方」についての本を何種類かよんでいる。 この本はアメリカ初の「本を読む本」と違い、エッセイ風である。 「本を読む本」はアメリカらしくロジカルであるが、こちらは例として登場する方々が知識人や文学者が多く、もっと人間らしい感じ。 読書の方法として参考になったのは、とくに洋書の読み方。 小林秀雄が原書と翻訳書を2冊かい、辞書をひかずに2冊をくらべてよむ。これを1年やれば早くよめるようになる、と紹介していたそうです。 これはぜひやってみようと思う。 また、古典の読書の効用についても書いてあり、現代でも本を深く理解するためにはその背後にある思想を理解する必要があることを改めてしった。特に海外の文化が違う本については。 最近はビジネス書をよむことが多かったが、また古典も読んでみたいと思うきっかけになった。
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テクニック、効用だけでなく、読書にたいする考え方を展開。速読、熟読を併用する。古典は、現代の本の源泉。
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自分を発見するために古典を読む 同じ時代に住む著者の作品から文学を読みはじめるのは、自然である 主人公に比べてわが身の幸福を知るのは、悲劇的な物語を読む功徳の第一です 一生に一万冊の本を読むのもむずかしいでしょう。それは、たとえば東京都立中央図書館の蔵書150万冊の1%にも足りないということです
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本の読み方という意味では、他の読書法の本と同じ。 二点面白かった。 読んだことのない本でも、読んで無いとは言わずに会話する時間…スノビズム指数 は知識を得て行くのに重要だ、と言っているところ。ハッタリ苦手の私ですが、やってみようかな。 二点目、下記。 哲学や文学と自然...
本の読み方という意味では、他の読書法の本と同じ。 二点面白かった。 読んだことのない本でも、読んで無いとは言わずに会話する時間…スノビズム指数 は知識を得て行くのに重要だ、と言っているところ。ハッタリ苦手の私ですが、やってみようかな。 二点目、下記。 哲学や文学と自然科学とでは、古典の存在意義が違う。 自然科学では、一度証明された事実が万人にとって同じ前提となる。 一方、文学では、私という作者の個人的な経験と絡み合っている。そのため、古典と向き合うことは、その時代や文化や個性との対決を意味する。前の仕事は、一面は次の時代の仕事の基礎として働きながらも、他面ではそれ自身として、そのまま次の時代にも存在し続けて行く。 仕事を効率化するのに役立ちそうな視点。
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前半はよかった。 まぁ当たり前のことが書かれているわけだけど、 20世紀の日本を代表する知の巨人が言うんだからそうなんだろう、っていう本です。 ありがたや、ありがたや
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初版は1962年。内容はほとんど変わっていないのに、内容はひとつも古くないです。 速読の重要性をきちんと指摘しつつ、「急がば回れ」と言い「早く読むために遅く読む本も必要だ」と言われています。つまり、基本となるような古典1冊は、じっくり時間をかけて読むべきで、そうすることで、その...
初版は1962年。内容はほとんど変わっていないのに、内容はひとつも古くないです。 速読の重要性をきちんと指摘しつつ、「急がば回れ」と言い「早く読むために遅く読む本も必要だ」と言われています。つまり、基本となるような古典1冊は、じっくり時間をかけて読むべきで、そうすることで、その関連の本は早く読めるようになる、と書かれています。 非常にオーソドックスで普遍的な内容だと思います。 目新しいことは特には書かれていないでしょう。 でも、実行できている人も(僕を含め)あまりいないのではないかと思います。
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