すいかの匂い の商品レビュー
まだ少し涼しい夏の朝に、窓際で風を感じながら読みたい一冊。 ひんやりでも、蒸し暑くもなく、夏のもわっとした空気感をこんなふうに物語にできるのかと、静かな驚きが胸に広がった。小学生の夏休みに戻ったような、不思議な感覚だ。 「夏×子ども時代×こわい」のシンプルで美しいかたちを読んだ。...
まだ少し涼しい夏の朝に、窓際で風を感じながら読みたい一冊。 ひんやりでも、蒸し暑くもなく、夏のもわっとした空気感をこんなふうに物語にできるのかと、静かな驚きが胸に広がった。小学生の夏休みに戻ったような、不思議な感覚だ。 「夏×子ども時代×こわい」のシンプルで美しいかたちを読んだ。 江國香織を初めて読んだけれど、圧倒的な一文にかけるのではなくて文章全体で空気感をつくる力量がすごい。 一見異常な行動のように見えることも、江國香織が描く子供たちは澄んだ目線で佇んでいるから、なんだか自分のことのように思える。 とにかく全ての話が良かった。夏にこの本を読めて良かった。
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小学生の頃の思い出は、痛いほど心に刻まれているものですよね。そして夏は、子どもらしい季節です。青青として熱っぽく、灼熱だからこそ、キンとしたひゃっこさ(冷たさ)にびっくりする。夏休みは「夢」の中にいるようなものですよね。 いい塩梅に昏い短編集でした。
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子どもの頃の夏の記憶は、誰しもが鮮明に覚えているようなことだと思う。 それはまだ知っていることが少ないということが関係している。13年目くらいまで、夏はいつも真新しい。 その、13年目くらいのまでの夏の、あらゆる懐かしさや怖さや優しさが、この本には詰まっている。だから読んでい...
子どもの頃の夏の記憶は、誰しもが鮮明に覚えているようなことだと思う。 それはまだ知っていることが少ないということが関係している。13年目くらいまで、夏はいつも真新しい。 その、13年目くらいのまでの夏の、あらゆる懐かしさや怖さや優しさが、この本には詰まっている。だから読んでいて、誰しもが共感出来るような、胸の奥をくすぐるような、気持ちがするのだ。 いつかの夏、どこかで立ち尽くしている自分と、自分の周りで起こる事象を大人になった自分が眺める、変な感覚。 夏に読むのが良い。
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淡々と描かれる夏の出来事。 なのにちょっと怖い。 でもそれが夏らしくて。 短編集なので持ち歩いて、夏の日、時間が空いた時に読むとぴったりです。
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斬新な装幀は安西水丸さん。すいか=夏。 1998年に出版された短編集でずいぶん昔の作品だ。 江國さんの短編集は好きなものが多いかもしれない。 『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』『いつか記憶からこぼれおちるとしても』『号泣する準備はできていた』の3つが好き。 本作は小学生の...
斬新な装幀は安西水丸さん。すいか=夏。 1998年に出版された短編集でずいぶん昔の作品だ。 江國さんの短編集は好きなものが多いかもしれない。 『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』『いつか記憶からこぼれおちるとしても』『号泣する準備はできていた』の3つが好き。 本作は小学生の少女の頃の夏のかけらが11片。 少女特有の自意識や鮮やかに残る他との交流が繊細に描かれていて、どれを読んでも懐かしいような、寂しいような、これが郷愁というものかい?という気持ちになる。 特に好きで共感したのは「焼却炉」。 学校にやって来た学生劇団員に、ほのかな同士意識を抱く少女のもどかしい気持ちがよかった。そりゃあ小学生相手じゃ。だけども小学生にも自意識はあるという。 叔父が父親役をこなす「ジャミパン」も心に残った。「ほかの父親にできて信ちゃんにできないことはないのよ」という母親のセリフがなんだか好き。なんていうことはないんだけども……。 この感じ、男性は理解できるのかなぁ。 かけらを集めて生きていけそうな気がしてくる。 暑いときに、読みたい。
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(1998.03.05読了)(1998.02.01購入) (「MARC」データベースより) 誰にも言えない、とてもどきどきしたから-。記憶は次第にうすくなっていくのに、あの夏の記憶だけ、いつまでもおなじあかるさでそこにある。なつかしい風景の中に鮮やかに描く、十一人の少女の夏物語連...
(1998.03.05読了)(1998.02.01購入) (「MARC」データベースより) 誰にも言えない、とてもどきどきしたから-。記憶は次第にうすくなっていくのに、あの夏の記憶だけ、いつまでもおなじあかるさでそこにある。なつかしい風景の中に鮮やかに描く、十一人の少女の夏物語連作短篇集。 ☆江國香織さんの本(既読) 「綿菓子」江國香織著、理論社、1991.02. 「きらきらひかる」江國香織著、新潮文庫、1994.06.01(1992年) 「温かなお皿」江國香織著、理論社、1993.06. 「なつのひかり」江國香織著、集英社、1995.11.10 「流しのしたの骨」江國香織著、マガジンハウス、1996.07.25 「落下する夕方」江國香織著、角川書店、1996.10.30 「いくつもの週末」江國香織著、世界文化社、1997.10.20 「ぼくの小鳥ちゃん」江國香織著、あかね書房、1997.11.20
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夏の気だるさと汗とめまいの現実の中にあって、過去が冷たいつららでうなじをつついてくる感じ。 夏になったら、読み返してみたい。
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江國さんの文章って、キラキラしてる。 こうばしい日々はこの作品よりもキラキラしてた。 そんなこと思いながら一気に読破。 なんかちょっと怖くなったのは私だけ?
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小説なのか...エッセイなのか... 少女の上目使いな視線がとらえた短編集...と言う印象。 著者もきっとこんな人だと思う。 自分の中に同じ物が無ければ書けないと思う、そして同じ物が無いと読んでいてもピピッと来ないと思う。 何だろう? ちょっと不思議の世界を半歩位 行ったり来た...
小説なのか...エッセイなのか... 少女の上目使いな視線がとらえた短編集...と言う印象。 著者もきっとこんな人だと思う。 自分の中に同じ物が無ければ書けないと思う、そして同じ物が無いと読んでいてもピピッと来ないと思う。 何だろう? ちょっと不思議の世界を半歩位 行ったり来たりしながら、読み終えた一冊。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
江國さんの短編集。 女の子の一夏を描いたものが多い。(全部?) ほっこりするというよりは最後ちょっとゾクッとする感じ。 でも文体は江國さんらしくて好き。
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