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無限論の教室 の商品レビュー

4.2

70件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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2013/09/23

無限論についての話を大学のゼミを舞台にした寸劇形式で解説している。無限論にはまだまだ議論の余地があるのかな。 ゲーデルの不完全性定理もどこまで正確かどうかわからないのだけど、何となくわかりやすくなっている気がする。

Posted byブクログ

2014/08/23

3人のキャラ造形が抜群にいい。特にタジマ先生。 読んでて理解が追いつかないなー、と思った箇所では必ずと言っていいほど和尚さんもついていけなくなってて、いったんまとめてくれるのがうれしい。 ただタカムラさんは別に不美人設定じゃなくてもよかったんじゃないかなー!? 一回読んだだけで...

3人のキャラ造形が抜群にいい。特にタジマ先生。 読んでて理解が追いつかないなー、と思った箇所では必ずと言っていいほど和尚さんもついていけなくなってて、いったんまとめてくれるのがうれしい。 ただタカムラさんは別に不美人設定じゃなくてもよかったんじゃないかなー!? 一回読んだだけでは最後までは理解できず、再読するたびに理解が少しずつ深まっていくのがなんかトンネルを掘り進めているようで快感。

Posted byブクログ

2013/04/21

現代数学は、構造の科学であると言われる。「構造の科学」というのはドイツ語"Strukturwissenschaft"の直訳であるが、単に数学と呼ぶよりずっと的確に現代数学の様相を表現しているように思う。 数学は本来的に言語であり、広大な視野と厳密な論理を持つ...

現代数学は、構造の科学であると言われる。「構造の科学」というのはドイツ語"Strukturwissenschaft"の直訳であるが、単に数学と呼ぶよりずっと的確に現代数学の様相を表現しているように思う。 数学は本来的に言語であり、広大な視野と厳密な論理を持つ非常に洗練された世界認識の方法である。近代哲学の論理的基礎を構築し、その発展の嚆矢となったのもまた数学である。しかし、人文科学・自然科学という幻想的な二項対立の檻の中にあって、数学は長らく後者の枠内に幽閉されてきた。殊、日本に於いてこの傾向は顕著で、数理的モデルを駆使した構造主義やその周辺思想すら、一義的な人文知として受容され、浸透している。 構造主義の「構造」とはヤコブソンがソシュールの一般言語学を形容する際に用いた表現であるが、文脈からも彼がこの語を数学的構造、すなわちカントールの集合論における構造(structure)という意味で使用していることは明白だ。 集合論によって新たな展望を獲得しその地平を開拓することに成功したのは数学だけではない。哲学も、カントールからの莫大な恩恵のもとに大きな転回を経験した。前期ウィトゲンシュタイン以降の哲学は、その根拠の多くを集合論的論理モデルに預けていると言える。 著者である野矢茂樹は日本におけるウィトゲンシュタイン研究の第一人者の一人であり、数学・論理学にも深い造詣がある言語哲学者だ。哲学的な色彩の濃い『語りえぬものを語る』が一応の主著であるが、他にも『論理学』『論理トレーニング101題』など実践的な著作も多くあり、いずれも工夫と創意に満ちた名著である。同じく講談社現代新書から出版された『哲学の謎』が観念的・概念的な哲学の入門書だとしたら、本書『無限論の教室』は論理的な入門書に相当する。 ではなぜ無限論なのかと言えば答えは簡単で、この無限という観念の取り扱いこそがカントール集合論の新しさであり、肝要であるからだ。 元来、無限については二つの対立する見解が知られている。ひとつはアリストテレスに代表される「可能無限」であり、これに対してカントールが対置するのがもう一つの無限、いわゆる「実無限」である。 可能無限とは自然数を数えていくという行為の無限性であり、アリストテレスは無限を「いかなる限界をも超える可能性」として見出していた。「数える」という手続きが時間の経過の中で継起するという意味で、可能無限は時間的な無限であるといえる。 一方の実無限はアウグスティヌスの「永遠の今」というアイデアを数学に持ち込んだもので、いわば数え尽くされた無限である。集合は常に数える手続きから独立して同時に併存し、閉じている。故にそれらは無時間的で、空間的である、というのがカントールの主張だ。 有限の場合には集合数と順序数として既に見られていたこの時間と空間の対立は、無限を経由することで原子論的で空間的な集合論を導いた。本書はこれらの議論を追いながら無限論へと向かう。その過程の中で、集合論において極めて重要な一対一対応や無限集合などの概念や操作を示し、解説してゆく。議論は簡潔かつ軽快なテンポで進み、なんと最終的にはゲーデルの不完全性定理にまで発展する。この辺りの話の運びにもほとんど無理を感じさせないところに、野矢の哲学的センスが光っている。 持ち味である会話調の平易な語り口は健在で、大学を舞台にした甘酸っぱいジュブナイルストーリーと緻密で刺激的な哲学講義が本書では見事に融和している。内容はユーモアに溢れ、初学者が当然抱くであろう疑問や謎に対する教授からの解答にも独特の味わいがある。楽しく読めて、しっかり学べる。入門書として、新書として、これ以上の審級があろうか。 高度な論理学を様々に駆使する現代哲学を本質的な意味で理解する為に、集合論は欠かせない。その準備として『無限論の教室』以上に有効な本を、僕は今のところ知らない。

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2013/03/29

無限集合の話なのだけど、ゲーデルの不完全性定理まで触れています。 厳密な数学的な手順は省いているけれど、何かと誤解されやすい不完全性定理のざっくりした概念を知るには良いのではないかと思います。 数学カテゴリに入れるか迷ったけれど、とりあえず哲学カテゴリに分類。

Posted byブクログ

2013/03/01

物語(大学の講義を舞台にした主人公の男の子と女の子と先生の哲学的な数学のお話)のように、会話形式で書かれている。しかし、簡単に流し読みできる形というわけではなく、一つ一つ、考えさせられる内容になている。哲学に興味ある人や、数学のパラドックスなど、数学の不思議について考えたい人にお...

物語(大学の講義を舞台にした主人公の男の子と女の子と先生の哲学的な数学のお話)のように、会話形式で書かれている。しかし、簡単に流し読みできる形というわけではなく、一つ一つ、考えさせられる内容になている。哲学に興味ある人や、数学のパラドックスなど、数学の不思議について考えたい人にお勧めする。

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2013/02/19

とある架空の大学ゼミのお話。 小説形式で進行し、「無限」というものを数学者たちが如何に扱ってきたか、その議論の歴史、要点を教えてくれる。 数学の専門知識がなくても楽しんで読める本だと思う。 「無限とは何か?」に興味を持ったことがある人には絶対お勧め。

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2013/03/04

 哲学的な話題で始まるがかなり数学的。タジマ先生が現代数学の常識とされる実無限を否定するところから論旨を始めるのが刺激的だった。結局可能無限か実無限かは読者の判断に委ねる形となるが、そこまでたどり着くのに、無限集合の濃度、ラッセルのパラドックス、ゲーデルの不完全性定理を通過するの...

 哲学的な話題で始まるがかなり数学的。タジマ先生が現代数学の常識とされる実無限を否定するところから論旨を始めるのが刺激的だった。結局可能無限か実無限かは読者の判断に委ねる形となるが、そこまでたどり着くのに、無限集合の濃度、ラッセルのパラドックス、ゲーデルの不完全性定理を通過するのでかなり難しい。その分読みごたえがある。  どう考えても本の展開には関係ない、タジマ先生と男女二人の学生の雑談が本をなじみやすいものにしている。さすが今年度(2012年冬学期)単位がこない座禅の授業をやろうとした野矢先生らしい。

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2012/12/02

「無限」とは何か、をテーマに、教授と二人の大学生が講義を進めていく形で話が展開します。抽象的で難しいテーマでしたが、かなり丁寧に解説されている印象を受けます。数学が苦手な僕でもストレスをあまり感じませんでした。 ベキ集合のところの感覚を掴むのが少し大変でしたが、非常に興味深く読...

「無限」とは何か、をテーマに、教授と二人の大学生が講義を進めていく形で話が展開します。抽象的で難しいテーマでしたが、かなり丁寧に解説されている印象を受けます。数学が苦手な僕でもストレスをあまり感じませんでした。 ベキ集合のところの感覚を掴むのが少し大変でしたが、非常に興味深く読むことが出来ました。特に、可能無限という考え方(実無限の考え方が頭から離れなくてなかなか考え込んでしまいましたが、一度しっくり来てからはこちらのものですねw)やそれに基づいた実数の捉え方、対角線論法、ヒルベルトプログラムについてが面白かったです。 高橋昌一郎先生の「限界シリーズ」にもゲーデルの不完全性定理が出てくるのですが、ヒルベルトプログラムの詳しいところは書かれていなかった(ハズ^^;)ので、その背景を読むことが出来てよかったです。 タジマ先生と二人の学生のやりとりも、ユーモアがあってクスッと笑ってしまいました。 本書からの引用 「どうも数学っていうのはわれわれのちゃちな想像力を越えて自然連動していくところが、なんとも面白いですねえ。」

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2012/09/18

「可能無限」か「実無限」かをめぐる無限論。かなり、数学的には高度な話題だが、学生二人に講師の三人の対話形式で進み、なんだか分かったような気にはなれる。まぁ、まさに大学の講義でその議論の「さわり」を学んだというような感じだろうか。「可能無限」、「実無限」の議論を歴史的な感じで追って...

「可能無限」か「実無限」かをめぐる無限論。かなり、数学的には高度な話題だが、学生二人に講師の三人の対話形式で進み、なんだか分かったような気にはなれる。まぁ、まさに大学の講義でその議論の「さわり」を学んだというような感じだろうか。「可能無限」、「実無限」の議論を歴史的な感じで追っていき、最後は、ゲーデルで一応の落ちがつく。 本書の形式としては、多分、『数学ガール』なんかが近いのだろう(といいつつ、こっちは読んでないが)。それが楽しめたひとなら、本書も楽しんで読めると思う。 ところで、なぜ、ぼくは、そもそもこの本を手に取ったかが謎だ。数学には縁遠く、ちょっとした数学ネタ本ならまだしも、対話形式の新書とはいえ無限論などという高度なものを扱っているのに。「無限」という言葉の深遠な響きに導かれてしまったのかもしれない。その意味では、その期待には応えてくれる本である。

Posted byブクログ

2012/07/07

ひと癖もふた癖もあるタジマ先生に導かれて、無限論の世界へ。 大学時代、哲学の授業の教科書がわりになった本。 無限論ってなにさ!?って遠い世界のことのように思っていた人でも、 物語に引き込まれてしっかり楽しく学べる一冊。 この授業、受けなきゃ損。

Posted byブクログ