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存在の耐えられない軽さ の商品レビュー

4.2

206件のお客様レビュー

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自国の過酷な歴史に翻…

自国の過酷な歴史に翻弄されるチェコ人のカップル、愛人の女性と、そのまた相手の男性…。複数の国、人間が織り成す複雑な関係の中、自分の存在をどれだけ感じられるか。

文庫OFF

チェコの作家クンデラ…

チェコの作家クンデラの代表作です。一見恋愛小説ですが、本書のテーマは「たった1回限りの人生の限りない軽さは、本当に耐えがたいのだろうか?」という哲学的な問題です。けして軽い恋愛小説ではありません。

文庫OFF

チェコの人気作家ミラ…

チェコの人気作家ミラン・クンデラ著の名作です。恋愛小説だけど、哲学的意味もたくさん込められていて非常に面白いです。当時のチェコの様子もうまく描写されていて、チェコに興味が持てます。

文庫OFF

2024/11/07

動乱のチェコで繰り広げられる、心震える男女の愛。 愛や誤解が招く幸も不幸も全て描き、読者に、世界にそれを問う。「Muss es sein?」 「一度は数のうちに入らない」が、人生に二度はない。そんな人生を我々はどう過ごすべきか。一瞬一瞬を大切に、重く扱い生きるのか。それとも過...

動乱のチェコで繰り広げられる、心震える男女の愛。 愛や誤解が招く幸も不幸も全て描き、読者に、世界にそれを問う。「Muss es sein?」 「一度は数のうちに入らない」が、人生に二度はない。そんな人生を我々はどう過ごすべきか。一瞬一瞬を大切に、重く扱い生きるのか。それとも過去を捨て軽やかにに生きるのか。 答え合わせのない暗中模索の人生のゴールは見つからないかもしれない。けれど、その日を信じて、僕らは「そうでなければならない」行動を続けるしかないのである。

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2024/08/18

メモ→https://x.com/nobushiromasaki/status/1825014622451323325

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2024/08/18

私がこの作品を読もうと思ったのは「プラハの春」以後のプラハの雰囲気を知るためでした。この作品ではプラハの知識人たちが負うことになった苦難の生活の雰囲気をリアルに知ることでできます。また、この作品の中盤以降は特にこうしたソ連による支配に対する著者の分析が小説を介して語られます。これ...

私がこの作品を読もうと思ったのは「プラハの春」以後のプラハの雰囲気を知るためでした。この作品ではプラハの知識人たちが負うことになった苦難の生活の雰囲気をリアルに知ることでできます。また、この作品の中盤以降は特にこうしたソ連による支配に対する著者の分析が小説を介して語られます。これはかなりの迫力で息を呑むほどです。

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2024/07/20

小説というより、一種の哲学書に近い感覚だった。結構な行数を不明瞭な視点(作者自身?)の思考に割かれているように思う。相当に人を選ぶが、ところどころに見過ごせない示唆がある。 ただ本当に人を選ぶ。心や時間の余裕がない時は余計に読めない。

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2024/05/12

とにかくタイトルがかっこいい。 時系列が前後するのと哲学的な描写、夢描写も混じり難解。半分も理解できていないかも。女性たちの心の描写はわりと理解できたが、ドンファンであるトマーシュがテレザと結婚したのはよくわからなかった。図書館で借りたのでいったん返してしまったがまた読み直したい...

とにかくタイトルがかっこいい。 時系列が前後するのと哲学的な描写、夢描写も混じり難解。半分も理解できていないかも。女性たちの心の描写はわりと理解できたが、ドンファンであるトマーシュがテレザと結婚したのはよくわからなかった。図書館で借りたのでいったん返してしまったがまた読み直したい。 チェコのことは全然知らなかったので政治的な部分はたまに調べつつ読み、勉強になった。 動物の統治の概念は他のキリスト教圏では難しいだろうなと思った。

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2024/05/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

プラハの春とは、1968年のチェコにおける民主化・自由化運動である。作者のクンデラはこれを文化面で支えた作家だった。だが、この運動はソ連の介入によって鎮圧され、その後「正常化」の時代が始まる。この時代にクンデラは数々の弾圧を受け、1975年フランスに亡命した。これが本作の背景として描かれる。 この作品は風変わりな小説である。小説家はふつう、登場人物の行動をあれこれ解説したがらない。むしろ、解説のいらない文章を書くのが小説である。ところが本書では、作者であるクンデラ自身がたびたび表に顔を出す。これは恋愛小説に仕立てたクンデラの思想であり、あるいは思想について書かれた恋愛小説である。 外科医のトマーシュはいわゆるドンファンで、女とすぐに寝てしまうプレイボーイだ。ただし、どんな女とも一定の距離を置いた。妻とも別れた。軽さこそ彼が人生に求めるものである。だが、テレザは例外だった。彼女と恋に落ちてしまい、部屋に泊めるどころか結婚までしてしまう。トマーシュの人生にテレザが重くのしかかる。 ロシア軍が彼の国を占領したとき、二人はチューリヒに亡命した。だが、スイスにはサビナがいる。サビナはトマーシュが言うところの「性愛的友情」で結ばれた関係だ。テレザは彼女に嫉妬する。それで一人でプラハに戻ってしまう。トマーシュは重荷から解き放たれ、束の間の開放感を味わうが、長くは続かなかった。テレザには自分しかいない。これは自分にしかできないことだ。悩んだ末トマーシュは、テレザを追って占領下のプラハへ帰る。 この小説は、トマーシュ、テレザ、サビナ、フランツの可笑しくも悲しい恋愛模様を描いているが、トマーシュの物語について言えば、軽さと重さの間で引き裂かれた人生と言えよう。あるとき、トマーシュが新聞に投稿した批判文が当局の目に止まり、撤回するか職を追われるかの選択を迫られる。外科医は彼の天職であり、自分に課された使命だった。だが、彼は撤回を拒否して、みずから窓洗いという最下層に落ちる。彼にとっては、それが重荷を下ろすことなのである。 限りない軽さを追い求めるトマーシュに、運命が皮肉な決断を迫る。ある日、自分からはもう会わないと決めていた息子が接触してきて、恩赦を要求する嘆願書にサインしてくれと頼んできた。サインをすれば息子との関係が再び始まってしまう。サインしなければ彼は臆病者の烙印を押される。しかし、「サインすることはお父さんの義務ですよ!」という一言で、サインをきっぱり断る。ここでも彼は〝Es muss sein!〟(そうでなければならない)の重さから逃れようとする。 このように、トマーシュは絶えず軽さを求めるにもかかわらず、その先でまた彼を重たい決断が待っている。窓洗いとしての休息も、二年しか彼に安らぎを与えてくれなかった。追いかけてくる〝Es muss sein!〟。あらゆる重さから逃れたいトマーシュ。二人はプラハを出て田舎に引っ越す。その村には二人を知る者もいない。トマーシュはそこでトラックの運転手になる。 テレザは、トマーシュがこのようになってしまったのは自分のせいだと悔やむ。すべては彼が自分を追ってチューリヒを出たときから始まっていたと。そして、ここから先はもうどこへも行くことができない。それなのにトマーシュは、自分はここにいて幸せだという。自分も彼女も、何の使命も背負っていなくて幸せだと。だが、読者は雄弁な語り手から聞かされているのである。このあと二人を乗せたトラックが崖から転落することを。 トマーシュは本当に幸せだったのか。彼の決断は正しかったのか。作者は言う。一度限りの人生では、正しい決断というものは存在しない。いろいろな決断を比較するための、第二、第三の人生はないからである。 永劫回帰の世界では、一挙手一投足に耐えがたく重い責任が課せられる。しかし、そうではないわれわれの世界では、すべてが重さを失って空気のように軽くなり、無意味で現実感を欠いたものとなる。まさに、Einmal ist keinmal. (一回なんて、なかったのと同じ)なのである。

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2024/05/03

何度か読むのを中断しては復帰しを繰り返して、ようやく読了できた。面白かった分難しかった...! 存在の耐えられない軽さ、の理由がなんとなくわかった気がする。そしてこのタイトルが全てに通づる重要なワードでもある。 トマーシュで表すなら、外科医としての姿は重さであり、様々な女性と...

何度か読むのを中断しては復帰しを繰り返して、ようやく読了できた。面白かった分難しかった...! 存在の耐えられない軽さ、の理由がなんとなくわかった気がする。そしてこのタイトルが全てに通づる重要なワードでもある。 トマーシュで表すなら、外科医としての姿は重さであり、様々な女性と寝る姿は軽さだろう。そしてトマーシュにとっては何より、その重さに耐えることができなかった。 このように4人の登場人物たちは、隣の芝が青く見えるように、自分にはない重さ/軽さに惹かれあったのだと思う。そういう意味ではサビナの軽さのほうが、この本に則している気もした。 歴史的背景がわかったほうがより面白いと思うので勉強してから改めて読み直したい。

Posted byブクログ