存在の耐えられない軽さ の商品レビュー
本当に自分達が考えるものは人生の重荷なのだろうか、反対に人生の軽さって何なのだろう。多くのレビューや解説を読んで思ったのが、この重さや軽さというものは常に人間の人生の中で天秤にかけられるものではないだろうか。そこに歴史を変えるような事なんかが関わってくると余計に一瞬一瞬の選択の正...
本当に自分達が考えるものは人生の重荷なのだろうか、反対に人生の軽さって何なのだろう。多くのレビューや解説を読んで思ったのが、この重さや軽さというものは常に人間の人生の中で天秤にかけられるものではないだろうか。そこに歴史を変えるような事なんかが関わってくると余計に一瞬一瞬の選択の正しさみたいなものにこだわってしまう。ドラマチックといえば語弊があるかもしれないが、戦争は全ての私たちの経験を色濃く残していくようなものなのだと思う。でもそんな状況でも、もっと軽く生きてごらんって事ですよね?それがこの本の意味なのだろう。
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この一冊は恋愛小説であり、エッセイであり、思想書であり、歴史書でもある。こういう類の稀有な本を読むときの感動は、時間と場所を超えて感情や価値観の芯を揺さぶってくる、どきりとさせられる文章に出会ったときに生じる。
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チェコスロバキアの「プラハの春」を背景とした描いた、優秀な外科医トマーシュと田舎娘テレザを取り巻く恋愛物語。ニーチェの永劫回帰の考え方が盛り込まれており、非常に哲学的で、メタファーを多用した難解な小説である。一度ではなかなか理解し難い文章だが、恋愛の軽さと重さ、人生の軽さと重さな...
チェコスロバキアの「プラハの春」を背景とした描いた、優秀な外科医トマーシュと田舎娘テレザを取り巻く恋愛物語。ニーチェの永劫回帰の考え方が盛り込まれており、非常に哲学的で、メタファーを多用した難解な小説である。一度ではなかなか理解し難い文章だが、恋愛の軽さと重さ、人生の軽さと重さなど、深く考えさせられるものとなった。
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冒頭から永劫回帰の話とか始めるので身構えたけどその後は思ったより読みやすくて、とても面白かった。ウクライナ侵略もあってタイムリーでもあり、ロシアと共産主義に蹂躙されるチェコの描写は心が痛む。息苦しい話なんだけど、作者が登場人物の解説をしているような趣なので距離を取って冷静に読み進めることができるし、とにかく対比を繰り返しながら話が進むから分かりやすい(時系列は前後するが)。 最後のほうに出てくる、神学と糞の話、ヨーロッパの思想は創世記に基づく存在への絶対的同意から生まれているという話が好き。 ストーリーには重さと軽さという対比が常に付きまとう。一度は数のうちに入らない、というドイツの諺が紹介され、人生は一回限りの体験の連続であって必然的に軽く、無いも同然なものだというテーゼから始まる。 「重さは本当に恐ろしいことで、軽さは素晴らしいことであろうか?」 トマーシュは軽さを追い求めるサビナと同類なのに、テレザへの同情によって重さに引きずり落とされていく。でも天職である外科医や愛人たちとの営み、息子も捨てて、偶然に偶然が重なっただけのテレザを選び続けることは、トマーシュにとっては重さからの逃走だった。重さに押しつぶされて死んだときもトマーシュは幸福だったというのは皮肉なのか希望なのか?これは人によって読み方も感想も違いそう。 でも対照的にフランツが眼鏡の女の子を置いて行ってキッチュな行進へ向かったすえに絶望のうちに死ぬことを考えると、やはり少しだけ肯定的に描かれてはいるように思う。最後にはダンスするシーンへ回帰することを考えても。私自身はとても重たい人間だから、そう思いたいだけかもしれないけど…。人生には多少の錘が必要なんじゃないか、それは自分で選ばなくてはいけないのではないか…みたいなことを個人的には考えた。
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歴史的な知識についても鮮明に記述しパンパンに詰め込みながらも小難しいやと読み手を退屈させず、飽く事無く魅了させ、頭をいじくられるような文章を書けるのが凄すぎる。政治的な背景は確かに追って探求すべきかもしれないが、癖の強さと生々しさにおいても素晴らしいし、こんなにも皮肉で虚空を彷徨...
歴史的な知識についても鮮明に記述しパンパンに詰め込みながらも小難しいやと読み手を退屈させず、飽く事無く魅了させ、頭をいじくられるような文章を書けるのが凄すぎる。政治的な背景は確かに追って探求すべきかもしれないが、癖の強さと生々しさにおいても素晴らしいし、こんなにも皮肉で虚空を彷徨い、そして最後のページを閉じた瞬間に光を視るようなラブストーリーは他にないだろう。小説というより神話と言うとしっくり来る。もはや伝説とも称えたい。
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まず、"歴史の中心"であるヨーロッパで様々な被害を受けていたチェコの特殊性をこの本を読むことで少しは理解できるのではないだろうか。そういういった特殊な環境であるからこそ、左翼的な思想がや偶然の出会いというものが際立っているのではないか。 人々は往々にして、自...
まず、"歴史の中心"であるヨーロッパで様々な被害を受けていたチェコの特殊性をこの本を読むことで少しは理解できるのではないだろうか。そういういった特殊な環境であるからこそ、左翼的な思想がや偶然の出会いというものが際立っているのではないか。 人々は往々にして、自分の人生に意味づけを行ってしまう。だからこそ、そのナラティブを強調する選択肢を選んだり、過去の選択を正当化したりしてしまうのだ。しかし、全ての事象は一回しか起こらないのだから、軽く決めるしかないのだろう。 "テレザ、使命なんてくだらないものだよ。ぼくには使命なんてものはない。だれにだって使命なんかないんだ。そして自分が自由で、使命なんかないと気付くのはとてつもなくこころが安らぐことなんだよ" この引用が象徴しているように、重い選択からおりることによって、真の幸せと愛を得られるのではないだろうか。 一方で、迷わない選択も提示しているのが面白い。トマーシュが論考を撤回しないのがそれに当たるのだが、論稿の内容が責任をしっかりとした形で提示しているのも面白い。"こうでなければならない"選択もあるのだろう。
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もっともっと読み込みたい。単なる偶然の連続が生んだ結果で、“そうでなければならない”運命ではなかったとしても、そんな偶然も大事にできる人でありたいと改めて思わせてくれる本。”恋愛小説の最高傑作”という帯の一文は、合わない… 「重さは本当に恐ろしいことで、軽さは素晴らしいことであ...
もっともっと読み込みたい。単なる偶然の連続が生んだ結果で、“そうでなければならない”運命ではなかったとしても、そんな偶然も大事にできる人でありたいと改めて思わせてくれる本。”恋愛小説の最高傑作”という帯の一文は、合わない… 「重さは本当に恐ろしいことで、軽さは素晴らしいことであろうか」 「人間はただ一つの人生を生きるのであるから、仮説を実験で確かめるいかなる可能性も持たず、従って自分の感情に従うべきか否かを知ることがないのである」
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人間はただ一度の人生を送るので、何を望んだらいいか決して知り得ない。 無のためのスケッチ。一度だけ起こるとは、一度も起こらなかったことと同じである。 一緒に眠ることと愛し合うことは違う。 自分の住んでいる土地を離れたいと願う人間は幸せではない。 目を閉じると闇という無限が広がっ...
人間はただ一度の人生を送るので、何を望んだらいいか決して知り得ない。 無のためのスケッチ。一度だけ起こるとは、一度も起こらなかったことと同じである。 一緒に眠ることと愛し合うことは違う。 自分の住んでいる土地を離れたいと願う人間は幸せではない。 目を閉じると闇という無限が広がっている。 未来に逃げ込むことによって自分の苦しみから逃れる。 重さや軽さなど生きる上では関係なのではないか。その人の匙加減が大切。
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インパクトのあるタイトルなので、ずっと気になっていた本をついに読んだ。 あらすじは梗概通りなので繰り返さないが、思わせぶりなタイトルが示す、「存在の軽さに耐えられない人は誰か?」というと、筋書き的には、とても「軽い」プレイボーイの彼氏(トマーシュ)を持って、始終ノイローゼ気味の...
インパクトのあるタイトルなので、ずっと気になっていた本をついに読んだ。 あらすじは梗概通りなので繰り返さないが、思わせぶりなタイトルが示す、「存在の軽さに耐えられない人は誰か?」というと、筋書き的には、とても「軽い」プレイボーイの彼氏(トマーシュ)を持って、始終ノイローゼ気味の恋人(テレザ)なのだろうし、映画版の開設でもそう書いてあるのだが、作中で、「存在の耐えられない軽さ」というフレーズが登場するのは、P156 のサビナ(トマーシュの愛人)の場面だけだった。(見落としたのかもしれないが。) 歴史の大きなうねりに比べれば、個人の人生も、その中の恋愛も、取るに足らない「軽さ」ではあるのだろうが、本人にとっては十分に「重い」。 大変技巧的な小説で、時間軸も行ったり来たりするし、夢の中の話が、そうとは明記されない形でいきなり登場するので、途中で読み返すこと多々。(ペトシーンの丘の自殺志願者のための銃殺広場のシーンとか、終盤の、トマーシュが飛行場に出頭する場面とか。) 共産主義の暗部が、これでもかという次元で生活の隅々に行き渡っていて、自由のありがたみが身に染みた。。
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