鷲は舞い降りた の商品レビュー
使命達成に命を賭ける…
使命達成に命を賭ける男たちを描く傑作冒険小説―その初版時に削除されていたエピソードを補完した決定版。
文庫OFF
「イギリスのチャーチル首相を誘拐してこい」というヒトラーの無茶振りに従ってイギリスに降り立ったナチスドイツのパラシュート部隊の決死行を描いた名作冒険小説。 登場人物は多いがそれぞれキャラが立っていて、主人公であるパラシュート部隊隊長のシュタイナ中佐はカッコいいし、IRAの革命戦士...
「イギリスのチャーチル首相を誘拐してこい」というヒトラーの無茶振りに従ってイギリスに降り立ったナチスドイツのパラシュート部隊の決死行を描いた名作冒険小説。 登場人物は多いがそれぞれキャラが立っていて、主人公であるパラシュート部隊隊長のシュタイナ中佐はカッコいいし、IRAの革命戦士デヴリンは雲のジュウザを想起させてこれまたカッコいい。 デヴリンを筆頭にアツいセリフも多く、特に「(捜し求めているものを)すでに見つけて、見つけることによって失ってしまったのだ」というのはアツい。「愛を捧げるべき女性(モリイ)」を指すと思われるが、カッコ良すぎてシビレます。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
神父が最後に語った衝撃の事実。まさかのチャーチルが替え玉だったとは。もし仮にあそこで彼を撃ったとしても、歴史的には何も変わらないということ。そしてその替え玉を狙ってドイツ軍もそうだし、イギリス軍もそうだし、たくさんの命が失われた。 しかもである。その事実はイギリス軍側にも伝えられていなかったということか。イギリス側の方が一枚上手で、その策略にドイツ側が踊らされた。これはまさにどんでん返しだな。最後にすごい。 これがなかったら、いわゆる戦争ものというか冒険もので、戦争ものの主体を中心としたドイツ軍兵士たちの活躍というか、なんというか、生々しい戦場を描いた話だったんだけど、最後にこれが来ることによって、そもそも戦争ってなんだろうかというか、何かを信じて戦って命をなくすということがなんだろうかというようなところに、ちょっと考えが行く。 正しいと思っていたものが正しくなかったっていうか、そういったのは最後にちょっとびっくりさせられて面白かった。星3.3くらいかな。 シュタイナーとデブリンとモリーのストーリー、その他いろんな人たちのストーリー。でもやっぱり登場人物が多すぎて、途中でなんだかわからなくなってしまったけれども。
Posted by
読むのは何度目くらいになるだろうか。もう自分でも良く思い出せない。初めて読んだのはいつ頃か。大学生の頃か、社会人になった頃か。マクリーンから始まって、冒険小説を読みあさっていた頃に手にした。「深夜+1」を先に読んでいたのだと思う。 改めて読んでみて、こんなにサービス精神満載...
読むのは何度目くらいになるだろうか。もう自分でも良く思い出せない。初めて読んだのはいつ頃か。大学生の頃か、社会人になった頃か。マクリーンから始まって、冒険小説を読みあさっていた頃に手にした。「深夜+1」を先に読んでいたのだと思う。 改めて読んでみて、こんなにサービス精神満載の作品だったんだなあとびっくりした。読み始めの展開、つまりノンフィクションとフィクションの境界を曖昧にしながらルポ的に始まるあたりから、作戦の進行をある意味淡々と書いていくあたりは、後のフォーサイスを読んでいるようである。中盤から後半にかけて、サスペンスにあふれる犯罪小説的であったり、アクション満載の戦争小説であったり、ラストのそこはかとなく皮肉な結末まで、実にいろいろな要素を盛りこみながらぐんぐんと読者を引き込んでいく物語の力は、名作と言うにふさわしいものだと感じる。 登場人物は誰も印象的。作者に愛されている立派な人物が多い中で、はっきり敵役・憎まれ役として描かれている人物が露骨にいて、それが少し残念な感じがする。第二次世界大戦を背景にしているのだがら、逆にこの程度は最小限として認めるべき(むしろドイツ側に素晴らしく魅力的な人物が多いことを考えるなら)なのかもしれない。 自分なりの正義と美学を貫く力強い軍人に魅力的な人物が多いが、出色なのはアイルランドのテロリストだろう。ただ彼の場合は評価が分かれるところがあるかもしれない。いろんな意味で興味を引かれる人物だし正直かっこいいと思うけれど、こういう作戦をするにはあまりにも雑な部分が多いような気がするし「おいおい、そんなことをやっている場合かよ」とツッコミを入れたくもなる。でもそこが魅力なのも間違いなく、作者自身もとても気に入っていることが読んでいてわかる(実際この後もいろんな作品に再登場したりする)。 とにかく読み応えがあり、とことん楽しませてもらえる作品である。作者の特色である(と僕は勝手に思っているが)男のロマン、哀愁、誇りといったものもたっぷりと盛りこまれて、さっくりとしたハイボールかと思って吞みはじめたら濃厚で香り高いストレート・ウイスキーだったような印象である。たくさんの人に読まれてほしいし、絶版になどなってほしくない作品である。
Posted by
タイトルは落下傘部隊が任務地へ降り立ったことを意味する暗号であり、その暗号コードを送るまでの様相が綿密に描かれる。そのため、作戦を計画し、準備をし、実行に移すまでが中々に長く、おい、いつになったら鷲舞い降りんねんと始めは面食らった。でもその分緊張感は高く、冒険小説、軍事小説として...
タイトルは落下傘部隊が任務地へ降り立ったことを意味する暗号であり、その暗号コードを送るまでの様相が綿密に描かれる。そのため、作戦を計画し、準備をし、実行に移すまでが中々に長く、おい、いつになったら鷲舞い降りんねんと始めは面食らった。でもその分緊張感は高く、冒険小説、軍事小説として力強い魅力を放っている。ミステリとして勧められると「???」という気分になりそうではあるが、この手の冒険小説も好物なので楽しく読めた。(中でもシュタイナ中佐がかっこよくてさあ!) 敵地へ乗り込みチャーチルをさらうという大胆な計画はある程度史実に基づいたものらしく、絶対悪として使われがちなナチスドイツの軍人たちを一人一人の意思ある人間として格上げして描いている部分が特色だろう。この相対化の視点には人類学に近いものがあり、その点から言っても好みに合う小説だった。ただ、極力殺人を行わず任務を遂行していくというのはちょっと綺麗ごとすぎる気もしてリアリティ不足な気がしなくもない。戦争という特殊な状況にあっても人間性を保つ人々は確かにいて、それはナチスドイツであっても変わらない、というメッセージは飲み込みやすいのだけど、同時に彼らを英雄視する可能性もはらんでいるわけで、手放しに称賛していいものかどうか……。 と頭の片隅で思いつつ、エピローグにあたる現代編で明かされる真相と、それに対する情のこもったあの言葉には、熱く込み上げるものがありました。そう、彼こそはーー。
Posted by
著者、ジャック・ヒギンズさん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。 ---引用開始 ジャック・ヒギンズ(Jack Higgins, 1929年7月27日 - 2022年4月9日)は、イギリスの小説家。本名はヘンリー・パタースン (Henry ...
著者、ジャック・ヒギンズさん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。 ---引用開始 ジャック・ヒギンズ(Jack Higgins, 1929年7月27日 - 2022年4月9日)は、イギリスの小説家。本名はヘンリー・パタースン (Henry Patterson) 。 第二次世界大戦や、イギリス対アイルランドの紛争を題材にした冒険小説を得意とする。 ---引用終了 で、本作の内容は、次のとおり。 ---引用開始 鷲は舞い降りた!ヒトラーの密命を帯びて、イギリスの東部、ノーフォークの一寒村に降り立ったドイツ落下傘部隊の精鋭たち。歴戦の勇士シュタイナ中佐率いる部隊員たちの使命とは、ここで週末を過ごす予定のチャーチル首相の誘拐だった!イギリス兵になりすました部隊員たちは着々と計画を進行させていく…使命達成に命を賭ける男たちを描く傑作冒険小説―その初版時に削除されていたエピソードを補完した決定版。 ---引用終了 ジャック・ヒギンズさんは、チャネル諸島ジャージー島に住居を移し、作品を書き続けたそうです。 そのジャージー島、ウィキペディアには、次のように書かれています。 ---引用開始 牛のジャージー種の原産地であり、また衣類のジャージの語源になったといわれている。アメリカ合衆国のニュージャージー州の州名もこの島に由来する。 ---引用終了
Posted by
カッコいい! 出てくる人、みんな、カッコいい! 第二次世界大戦中の1943年秋ドイツ、東部戦線の失敗・イタリアの敗北で戦況は悪化するなか、イギリス首相のチャーチルをイギリス本土から誘拐する計画が持ち上がり、ドイツ軍落下傘部隊の精鋭たちが……。 この小説は「歴史小説」ではない。...
カッコいい! 出てくる人、みんな、カッコいい! 第二次世界大戦中の1943年秋ドイツ、東部戦線の失敗・イタリアの敗北で戦況は悪化するなか、イギリス首相のチャーチルをイギリス本土から誘拐する計画が持ち上がり、ドイツ軍落下傘部隊の精鋭たちが……。 この小説は「歴史小説」ではない。 チャーチルは誘拐されていないし、ドイツは1945年春に降伏する。 ましてや、この物語にある事柄はどこにも記録されていない。 だからと言って「架空戦記」というわけでもない。 歴史とは「紙もしくはそれに準ずるものに書かれた事柄をもとにして推測され、広く認められた過去の出来事」 「記録されていない(認められていない)こと」が「なかったこと」と同じではないところを、作者は物語の構成で巧みに活用し、「作者自身が取材し集めたレポート」として、巻頭と巻末に挿入することで、とたんに登場人物たちの物語の実存性が高まる。 「もしかしたら、本当にあったかもしれない…」、こう思わせてしまうことですでに作者は成功している。 当時珍しい“ドイツ軍兵士が主役”ではあるが、当然にこの物語も映画化された。 監督は「OK牧場の決闘」「荒野の七人」「大脱走」などで知られるジョン・スタージェス。 この物語も、カッコいい人満載! ほんと、感想は「カッコいい」に尽きる!
Posted by
“たとえどのようにいわれようと、彼は、勇気のある立派な軍人であった“ もちろんかの悪名高きナチス・ドイツにもいたのです 誇り高く、勇気があり、友情に厚く、公平で、命に真っ直ぐな人物が そしてもちろん『鷲は舞い降りた』は冒険小説の歴史に燦然と輝く名作でした 3人の主人公とも言...
“たとえどのようにいわれようと、彼は、勇気のある立派な軍人であった“ もちろんかの悪名高きナチス・ドイツにもいたのです 誇り高く、勇気があり、友情に厚く、公平で、命に真っ直ぐな人物が そしてもちろん『鷲は舞い降りた』は冒険小説の歴史に燦然と輝く名作でした 3人の主人公とも言えるドイツ落下傘部隊長クルト・シュタイナ中佐、アプヴェールZ部第3課課長マックス・ラードル中佐、IRAの兵士リーアム・デヴリン、この3人がとんでもなく魅力的で、心を鷲掴みなわけです鷲だけに(いらないやつ) 特にシュタイナ中佐はもうめちゃくちゃに格好良くて部下たちが彼のために命を投げ出すのを有無を言わさず納得させられてしまうわけです またラードルの苦悩とそれによって浮かび上がるヒムラーとゲシュタポの不条理な残忍さ デヴリンが出会う真実の恋と別れ もう怒ったり、笑ったり、泣いたりと大忙しなわけです 人の持つ全ての感情を揺さぶる名作、それが『鷲は舞い降りた』なわけです
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
冒険小説の古典的名作. 物語は,歴史に埋もれた驚愕の出来事の手がかりを,作者であるヒギンスが発見する1章で始まり,ヒギンスが主人公たちの後日談を知る20章で結ばれる. 劣勢が明らかになってきたドイツ軍が「チャーチル誘拐計画」を立案する.ここに一癖も二癖もある主人公たちが巻き込まれてゆくのだが,ステレオタイプの「ナチ」的な人物は1人もおらず(いや,主人公たちの”邪魔をする”のはヒムラーやSSをはじめとする典型的な悪党なのだが),彼らはみな血が通った普通の格好いい人たちとして描かれている.オルガンが特技だったり,バードウォッチングが趣味だったり,溺れた地元の子供を助けたりするのだ. チャーチルが誘拐されたことはない,ということは後の世に生きる我々は知っている.従って,作戦が失敗することは我々みんなが知っているのだが(しかも,とんでもない失敗だったことが20章で明かされる),しかし,プロットの巧みさと,登場人物たちの魅力が,本書を腐朽の名作としている.
Posted by
第二次世界大戦時、チャーチル首相を誘拐する特殊任務を受けたドイツ軍部隊が主役。 主役であることもそうだし、ドイツ軍がかなり真っ当な兵士として描かれているのが珍しい。 主人公であるシュタイナ中佐と、アイルランド人のデヴリンがとても魅力的。 歴史から見れば成功しないことが...
第二次世界大戦時、チャーチル首相を誘拐する特殊任務を受けたドイツ軍部隊が主役。 主役であることもそうだし、ドイツ軍がかなり真っ当な兵士として描かれているのが珍しい。 主人公であるシュタイナ中佐と、アイルランド人のデヴリンがとても魅力的。 歴史から見れば成功しないことが決まっている任務なんて面白いのかと思ったけど、読んで納得。 準備期間も面白いし、失敗が確定してからのシュタイナ中佐の行動がめちゃくちゃカッコイイ。
Posted by
