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アムリタ(下) の商品レビュー

3.8

47件のお客様レビュー

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2009/10/04

◆変わっていく、私の記憶も、竜一郎という存在も、そして妹の死の意味も。そして心の力を一つ一つひらいていく弟のいとおしさ。陽も、水もなにもかもが、今日が一回しかなくていろんなことが惜しみなくあふれている。流れていく時間の残酷さと生きていく優しさを私は愛する。また、生きるための扉を開...

◆変わっていく、私の記憶も、竜一郎という存在も、そして妹の死の意味も。そして心の力を一つ一つひらいていく弟のいとおしさ。陽も、水もなにもかもが、今日が一回しかなくていろんなことが惜しみなくあふれている。流れていく時間の残酷さと生きていく優しさを私は愛する。また、生きるための扉を開く、そこにある輝きに満ちた天気雨の慈雨、神が飲む水アムリタ。紫式部文学賞受賞。◆ 引用。『「行きたい。」彼は言った。生きたい、と言ったのかと思った。そういう真摯な響きだった。』『感傷的になるのは、暇だからだ。』『(略)いつもより視力がよくなったような感じだった。』『人と人がいて、お互いがこの世にひとりしかいない、二人の間に生まれる空間もひとつしかない。そのことを知ると、ましてそこになにか特殊に面白そうな空間があることを知ると、無意識に人は距離をつめてもっとよく見ようとする。でも彼は作家だから、そこでふみとどまることができる。そして二人の間にしか存在できない陽だまりのようなもの、なにかあたたかく、明るく、ひとりでは創れない空間、そこにいろんなものが生まれ得る微妙な空気だけを大切にする。その、優先順位がはきっぱりしているところが、彼の面白いところだった。』『風がふくと、前の住人が残していった白いカーテンがオーロラみたいに揺れた。音楽にしたら、オルゴールの旋律みたいな揺れ方だった。』 私は竜一郎が実在したら、すごくすごく魅かれてしまうと思う。吉本ばなな作品全般に横たわる死や地に足のついていない浮遊の気配が、全体に渡って味わえます。私は吉本ばななの書く主人公がとても好き。脱力してみえて、感覚が研ぎ澄まされていて、他者を世界を愛していて。

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2009/10/04

私の心の小説その2の下巻。 不思議な話で、現実的にはあまりありえない内容の部分もあるのですが、 でもやっぱり、よしもとばななさんの世界観に私はあこがれます。 こんな感性を持ちたい、こんな人間でありたい。 そう、思わせてくれる目標の小説。すばらしいです。

Posted byブクログ

2009/10/04

疲れつつも続きを読んでしまいました。ただ、ひとつ心に残ったのが「家族に一人何かがあるとみんな影響を受けるんだ」という内容の言葉。だからこそ家族なんだなって思いました。

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2009/10/04

再読。何度読んでも胸がきゅんとする感じ。読みやすい長さというのもある今のばななさんの書く物より昔の方が意外と好きだなぁ・・・

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2009/10/04

自殺した真由の「ただ急いでしまったの」という言葉が怖いくらいによくわかる。だからあなたはゆっくりお生きなさいと弟に言って聞かせるところには、何度もうなずいた。 顔見知りと最近の天気の話をすることを疎ましく思うことなく、セーターに穴が開いてしまったらその穴を気にかけて。 隣にいてく...

自殺した真由の「ただ急いでしまったの」という言葉が怖いくらいによくわかる。だからあなたはゆっくりお生きなさいと弟に言って聞かせるところには、何度もうなずいた。 顔見知りと最近の天気の話をすることを疎ましく思うことなく、セーターに穴が開いてしまったらその穴を気にかけて。 隣にいてくれる人の顔を言葉をできるだけ毎日、ちゃんと確かめること。その意味を考えること。丁寧に。 この作品自体はダラダラした感じがしないでもなかったけれど、真由の言葉がこの作品の存在意義を一段も二段も高めていると思う。

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2009/10/04

話し自体は苦手な分野だったが、「ひとりのひとが何かすると、波のようにみんなに何か影響があるんだねぇ」という一文を読めただけでも、この本を読む価値があったと思う。

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2009/10/04

主人公の妹の、清らかさの中にある深い闇。自分のこととシンクロして少し胸が痛い。圧倒的な緑のシーンではその蒸し暑そうな空気感さえも感じた。

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