日輪の遺産 の商品レビュー
マッカーサーがフィリピン独立のために蓄えていた財宝を奪った帝国陸軍は、日本の復活のため終戦直前にそれをどこかへ隠すことにする。 密命を帯びた近衛師団の少佐、東部軍主計中尉、そして軍曹の三人は女学校の生徒を引連れ隠し場所へ向かう。 その50年後、バブルがはじけ風前の灯火となった会社...
マッカーサーがフィリピン独立のために蓄えていた財宝を奪った帝国陸軍は、日本の復活のため終戦直前にそれをどこかへ隠すことにする。 密命を帯びた近衛師団の少佐、東部軍主計中尉、そして軍曹の三人は女学校の生徒を引連れ隠し場所へ向かう。 その50年後、バブルがはじけ風前の灯火となった会社の資金を競馬でつくろうと、有馬記念が開催される競馬場へ向かった不動産会社社長の丹羽明人は、馬券売場で一人の老人と出会う。 老人から死に際に託された手帳には50年前の顛末が詳細に書き記してあった・・・。 大好きな作品。久しぶりに再読しました。 戦時中の女学生たち、手帳の日記、そして現代の丹羽たち。 異なる視点と時代の描写が同時進行のようにすすめられ、少しずつ明らかになってくる事実。 単なる宝探しのお話ではないのです。 (私は)泣けたところはありませんでしたが、心に何かが残る作品。 そう、あとがきにもあったように作中の言葉でいうなら 「それはたちまちかがやかしい黄金に形を変えて、丹羽の胸をうずめつくした。」 なんですよ。 今回再読して、読了後また序章を読んでみましたら伏線に気づき驚きました。 女生徒の性格の設定と野口先生のあれはもう必然だったのですね。。。 それにしてもこの時代のかたがたの気高さというのはまぶしすぎます。 後ろめたくなって、つい目を伏せてしまいそうになります。
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あらすじを読んだ時の予想と、読み終えた感じの違和感が良かった。 太平洋戦争がどういうものかとか、軍隊がどんな組織だったとかは知識の上でしかなく、何となくは理解していたけど この話は歴史を得意としない私でも不思議と内容が入って来て 読みやすかった。 現代と過去とマッカーサーが入...
あらすじを読んだ時の予想と、読み終えた感じの違和感が良かった。 太平洋戦争がどういうものかとか、軍隊がどんな組織だったとかは知識の上でしかなく、何となくは理解していたけど この話は歴史を得意としない私でも不思議と内容が入って来て 読みやすかった。 現代と過去とマッカーサーが入り乱れる話の流れは、もどかしくもあり不思議と話の続きが気になる展開で 財宝探しのワクワクから一転、日本という国のために散った少女たちや軍人たちの行動に ただただ涙しました。 こんなにストレートに良い本が埋もれていると思うと、ワクワクします。
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マッカーサーの前で小泉主計が「こんな醜い歌をあいつらは口ずさんでいたんだ」みたいなことを言うシーンで、「でも彼ら軍人の歌っていた軍歌だって、本質的にはあまり変わらないよね…」と思ったらとても切なくなってしまった。 ★友人ESに贈った
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財宝を埋めた情報が書いてあった手帳の内容が回想されつつ、手帳を託された人たちがアクションをとっていくお話。 単に財宝探しの話で終わらないところが、浅田さんのうまさかと思う。こういうでかいスケールでありながらも、ちょっとした愛国心を抱けて終わるようなお話は個人的に好きなので、ちょっ...
財宝を埋めた情報が書いてあった手帳の内容が回想されつつ、手帳を託された人たちがアクションをとっていくお話。 単に財宝探しの話で終わらないところが、浅田さんのうまさかと思う。こういうでかいスケールでありながらも、ちょっとした愛国心を抱けて終わるようなお話は個人的に好きなので、ちょっと悲しい部分もありますが最後は元気になるようなお話でした。 2010.06.19読了
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
もひとつ、私には読み切れなかった(読了はしたよ) 読みながら、気分が散漫になってしまう。どこに気持ちを持って行けばいいのかわからんかった感じ。 どういう形で映画にするのかな・・・映画を見たら、あるいは理解が深まったりすることもあったりするのかも・・と思ったり、思わなかったり。見に行くんかな?私。
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己の、誰かの、見えざる手に翻弄される、ひとりひとりの、人。どの国の、老若男女の、どんな道筋にも宿る心の、不定形。 軍と個人との意思の矛盾をひきずってきた、戦争。内にある使命は、使命と感ずる者たちに降り注ぎ、行き場を知らず。天に、底にある魂のひとつとしての、日本。 誰もが、足りない...
己の、誰かの、見えざる手に翻弄される、ひとりひとりの、人。どの国の、老若男女の、どんな道筋にも宿る心の、不定形。 軍と個人との意思の矛盾をひきずってきた、戦争。内にある使命は、使命と感ずる者たちに降り注ぎ、行き場を知らず。天に、底にある魂のひとつとしての、日本。 誰もが、足りない。だけど、そこにあった勇気の、目を焼くような眩さ。命の輝きを唄う物語。 荒削りな印象もあれど、いやその分も、若さに突き動かされるような、否応無い熱を感じて。そういうものにガツンときてしまいました。 生善説的なものには、それ特有の鋭さもあると思っています。責任は消えることなく、時に果たすと持つは直結する。 …マッカーサーの心情・結末辺りは、無理があり過ぎたけど。人の親とはいえ。 意思無く生死の狭間を踏み締めるのは苦しい。だからこそ、誰もが誠実で切実で。故に、どうしようもなく、絶望と希望は、表裏一体だった。 対話の尊さ、難しさ。限りある線の交わりの中、己を信じる勇気。
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これをミステリーという売り方をする出版社の戦略に意義あり。 ともかく、大好きな浅田次郎さん。なんとなくいつも読んでいるのと読み進める気持ちよさが違うな?と思ったら、あとがきで納得。そうか、私いつも浅田次郎さんの近年の作品しか読んでいないかも。やっぱり浅田次郎さんにも若い頃はあった...
これをミステリーという売り方をする出版社の戦略に意義あり。 ともかく、大好きな浅田次郎さん。なんとなくいつも読んでいるのと読み進める気持ちよさが違うな?と思ったら、あとがきで納得。そうか、私いつも浅田次郎さんの近年の作品しか読んでいないかも。やっぱり浅田次郎さんにも若い頃はあったのだ…と思ったり、私何様だ? 冷静に読んでいたから泣くまでは行かなかったけど、背筋がゾクゾクした。やっぱり浅田次郎さんがいい。
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読み終わって大号泣。 抗命のくだりから、止まらなくなる。 一見、日本国軍の遺産はどこに?といったサスペンスだけれども、違う。 あの時代をいじましいほど一生懸命生きた人々のお話。 小泉中尉とGHQとの会見、金井さんが語る司馬さんの戦後…。 そして、最後の終章が痛ましすぎる。 「人が...
読み終わって大号泣。 抗命のくだりから、止まらなくなる。 一見、日本国軍の遺産はどこに?といったサスペンスだけれども、違う。 あの時代をいじましいほど一生懸命生きた人々のお話。 小泉中尉とGHQとの会見、金井さんが語る司馬さんの戦後…。 そして、最後の終章が痛ましすぎる。 「人が殺しあうっていうことはやはり罪深いことだと思います」 久枝の言葉が読み終わってさらに重くなる。 もう一度読むには気合がいるだろう。だけど、大事にしたいお話。
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面白かった。 本編は初めから終いまで、飽きることのない、上質の娯楽作品といえる。 でも、でもである。巻末の「文庫版あとがき」が残念だった。 著者は自分の作品を謙遜しているのである。 謙遜とは日本人の美徳なのだろうけれど、この場では使って欲しくなかった。 小説家は、その作品に胸...
面白かった。 本編は初めから終いまで、飽きることのない、上質の娯楽作品といえる。 でも、でもである。巻末の「文庫版あとがき」が残念だった。 著者は自分の作品を謙遜しているのである。 謙遜とは日本人の美徳なのだろうけれど、この場では使って欲しくなかった。 小説家は、その作品に胸を張っていて欲しい。 何があっても、威張っていて欲しい。 まあとにかく、面白い作品だった。著者がなんといおうとこの小説はものすごく、ものすごく、最高である。
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浅田さんの作品は長編であればあるほど面白いと思います。 なんとなく切ない戦争のお話ではありますが 蒼穹の昴に続くおすすめの本になりました!
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