ポプラの秋 の商品レビュー
胸の奥で眠っていた懐かしい思い出が、みずみずしくよみがえりました。 ポプラの木を眺め、おばあちゃんと焼芋をした主人公と、 自分が祖母と過ごした記憶が重なって、 ラストシーンに涙しました。 (私は、おばあちゃんっこだったのですが、亡くなってずいぶん経つので、最近では思い出すことも...
胸の奥で眠っていた懐かしい思い出が、みずみずしくよみがえりました。 ポプラの木を眺め、おばあちゃんと焼芋をした主人公と、 自分が祖母と過ごした記憶が重なって、 ラストシーンに涙しました。 (私は、おばあちゃんっこだったのですが、亡くなってずいぶん経つので、最近では思い出すことも少なくなっていました。思い出せたことが嬉しかったです。) 幼いころの幸せの原風景。 おばあちゃんが自分の死に託したファンタジー。 心温まるストーリーでした。
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父の死後、引っ越してきたアパートのお婆さんとの出会い。つっけんどんだが優しさを秘めた人だった。それぞれ辛い事も経験した人も多いが、人に助けられて再生することも多い。作者の穏やかで優しい人柄が感じられる。2019.6.28
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素敵な、お話でした。湯本さんの本は四季を感じながら、言葉に上手く出来ない人の心の内を、繊細に優しく書くので涙が止まりません。心の葛藤を本当に上手く書ける作者さんだと思います。ポプラ荘で焼き芋、食べたいなぁぁ。
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少しくらい話だけど読み終わるとあったかい。 ポプラの秋というのもあり、秋によんで、空気感というかしっくりきた。 短めだし、優しい気持ちになれる本を読みたいときに良いと思う。 千秋の子供時代と、オサムくんとのやりとりが好き。
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再読 刺激的な内容の本はもちろん楽しいのですが、本書のような優しいお話は心の滋養になります 同じく優しい人でありたい
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とてもともて良かった。久しぶりにお気に入りの一冊に出会いました。 突然、父を亡くした七歳の千秋。母と越したポプラ荘の大家のおばあさんは一見こわそうで近寄りがたいのだけれど、おばあさんには秘密があって。 おばあさんのつっけんどんなようで秘めた優しさは真実味がある。 千秋がおばあさん...
とてもともて良かった。久しぶりにお気に入りの一冊に出会いました。 突然、父を亡くした七歳の千秋。母と越したポプラ荘の大家のおばあさんは一見こわそうで近寄りがたいのだけれど、おばあさんには秘密があって。 おばあさんのつっけんどんなようで秘めた優しさは真実味がある。 千秋がおばあさんと過ごすなにげない日常がすてき。少しずつ父の死を受け入れられるようになっていく。 アパートの隣人たちもあたたかい。私は特にオサムくんが良かった。 心にすーっと染み入る一冊です。文章がきれいで、情景が浮かぶ。風景描写がみずみずしく、美しい色彩が心に広がる感じ。大きなポプラの木が心の中で揺れているような読後感です。いつか娘にもおすすめしたいな。 蛇足ですが、読んでいて娘の国語の物語文に出てきそうな文章だなと思いました。小学生の女の子が主人公で文章が素直なこともあり。それで思ったんだけど、物語って問題にするものじゃないなって。物語は心で味わうもので、「主人公の気持ちを30文字以内で答えなさい」なんて言われたら興ざめだよね。なので、国語と本を楽しむことは別物と改めて思ったのでした。
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「夏の庭」に続いて読了。 夏の庭が少年とおじいさんの物語。そしてこの作品は少女とおばあさんの物語です。ふと気付いたのですが、ある意味「小公子」のモチーフかも知れません。 それにしても、年寄りを描くのが上手いですね。もちろん主人公の少女や、同じアパートの住民達もとても魅力的なの...
「夏の庭」に続いて読了。 夏の庭が少年とおじいさんの物語。そしてこの作品は少女とおばあさんの物語です。ふと気付いたのですが、ある意味「小公子」のモチーフかも知れません。 それにしても、年寄りを描くのが上手いですね。もちろん主人公の少女や、同じアパートの住民達もとても魅力的なのですが、何と言ってもおばあさんが素晴らしい。 柔らかい、暖かい、しっとり、静けさ、爽やか、そんな言葉が思い浮かぶ作品です。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
小学一年生の時、お父さんが突然事故で亡くなった。 「死」をなかなか受け止められず不安で押し潰されそうになった千秋はお父さんへ手紙を書く。 アパートの大家のお婆さんが、あの世にいるお父さんへ手紙を届けてくれる、と言ってくれたから。 周りで起こった出来事を日記のように手紙に書き綴ることで、自分の内面を吐き出す千秋。 「書く」という行為が自分の気持ちを整理してくれて、千秋も徐々に落ち着いていく。 最初はひらがなばかりの手紙だった。 日を追って漢字が少しずつ増えていったこと、お父さんはきっと気付いて喜んでいるはず。 秋になるとアパートのみんなで、庭にそびえ立つ大きなポプラの木の落ち葉を掃き集めて焚き火してお芋を沢山焼いた。 勿論お芋はぬれた新聞紙と銀紙にくるんで。 寒い中で食べる熱々の焼き芋は何よりのご馳走。 ポプラの木は一部始終を知っている頼もしい証人だ。 身近な人の死はとても切ない。 そんな遣りきれない切なさを優しく包んでくれる静かな物語だった。
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この本との出会いは建て替えとなる図書館が古い本を配っていたところ私の手に収まりました。 湯本香樹実さん本作で三作品目の読了と成ります。 はじめて読んだのが『夏の庭』次が『岸辺の旅』 本作品も他二作の様に死をテーマとする物語でした。 主人公の亡父への想いと母への愛情と苛立ち、ポ...
この本との出会いは建て替えとなる図書館が古い本を配っていたところ私の手に収まりました。 湯本香樹実さん本作で三作品目の読了と成ります。 はじめて読んだのが『夏の庭』次が『岸辺の旅』 本作品も他二作の様に死をテーマとする物語でした。 主人公の亡父への想いと母への愛情と苛立ち、ポプラ荘の住人達の優しさ。そして何より大家のお婆さんとの秘密の約束。 それらが絶妙に混ざり合う心暖まる作品でした。 少し大げさかもしれませんが、近所付き合いが希薄になって行く今の日本に必要な作品かもしれません。 子供の頃に父を亡くして母と共に引っ越したポプラ荘! そこの大家のお婆さんが死んだと連絡が入り主人公はお婆さんの葬儀に駆けつける為飛行機に乗る。 かつて暮らしたポプラ荘の思い出が甦る・・・ 蛇足では有りますが、主人公が家の鍵が閉まっているかどうかを確認したい気持ち、私も解ります。
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湯本先生は子どもの視点でとらえた世界を描くのが本当に上手だと思う。 「マンホールのような穴」 「イエス様の顔」 「おばあさんの家の様々な物たち」 「マンホールのような穴」などはまさにそれで、子どもの頃に感じていた不安や恐怖を体現している。 言語では言い表せない感情が形をもって...
湯本先生は子どもの視点でとらえた世界を描くのが本当に上手だと思う。 「マンホールのような穴」 「イエス様の顔」 「おばあさんの家の様々な物たち」 「マンホールのような穴」などはまさにそれで、子どもの頃に感じていた不安や恐怖を体現している。 言語では言い表せない感情が形をもって語り掛けてくるのだ。 「油断していると、幸せを奪ってしまうよ…」 反面、大人の心情は非常にあっさりと描かれている。 夫をなくしたばかりの母の心情も、大人になった千秋の心情も、事細かに描かれてはいない。 物語の視点が子ども時代の千秋なのだから当たり前なのかもしれない。 そんな、想像でしか分からない大人の事情が、最後の最後に明かされる。 子ども時代の千秋が、どれほど守られてきたのかも… ポプラの木はそんな「見守る存在」を象徴しているかのようだ。 今、人生に疲れている人。 いつも不安にさいなまれている人。 何か大切なものを「喪失」してしまった人。 そんな人にそっと寄り添ってくれる作品。
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