大本営参謀の情報戦記 の商品レビュー
戦前の軍部の雰囲気がどういうものかがあらためて良く分かる。面白い、それ以上に悔しく、読んでるだけで歯がゆい思いが湧いてくる。 そんな中、著者が参謀としてついた山下奉文など、当時の計り知れない苦悩の中でどう行動したのか…、こうした人物がいたことに誇りに思えた。 情報なき国家の悲劇は...
戦前の軍部の雰囲気がどういうものかがあらためて良く分かる。面白い、それ以上に悔しく、読んでるだけで歯がゆい思いが湧いてくる。 そんな中、著者が参謀としてついた山下奉文など、当時の計り知れない苦悩の中でどう行動したのか…、こうした人物がいたことに誇りに思えた。 情報なき国家の悲劇はしかし現在も続いているような気がしてならない。
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情報に対する意識が第2次世界対戦における日本の運命を大きく左右したことを痛感できる一冊。 堀が大本営参謀としてフィリピンに向かった後、山下方面軍の情報参謀に命じられて、苦しみながらも米軍の動向を的中させていく部分は、物語として大変面白い部分であり、一気に読みきることができた。 ま...
情報に対する意識が第2次世界対戦における日本の運命を大きく左右したことを痛感できる一冊。 堀が大本営参謀としてフィリピンに向かった後、山下方面軍の情報参謀に命じられて、苦しみながらも米軍の動向を的中させていく部分は、物語として大変面白い部分であり、一気に読みきることができた。 また、山下大将の人間の大きさには、惹かれるものがある。
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大本営陸軍部第二部(情報担当)やフィリピンの第十四方面軍(山下奉文大将)で情報参謀として勤務し、米軍戦法の研究結果を「敵軍戦法早わかり」に纏め、米軍の上陸地点・上陸日を次々と言い当てたことから「マッカーサーの参謀」の異名を取った堀栄三氏の回想録。 以前から「読んでみたい」と思っ...
大本営陸軍部第二部(情報担当)やフィリピンの第十四方面軍(山下奉文大将)で情報参謀として勤務し、米軍戦法の研究結果を「敵軍戦法早わかり」に纏め、米軍の上陸地点・上陸日を次々と言い当てたことから「マッカーサーの参謀」の異名を取った堀栄三氏の回想録。 以前から「読んでみたい」と思っていて、昨年11月に購入していたのだけれども、今年の3月末に漸く読み始めて、本日読了。題名や内容の堅さに反して、平易で論理的な文章のため、引き込まれて読みました。 本書は現代日本にも通じる示唆に富んでいますが、私の印象に残ったポイントは以下の通りです。 (1) 米国と日本における「情報」に対するスタンスの違いと、その違いがもたらした悲劇。日露戦争当時の日本と同じ国なのか、と思ってしまうほどの違いがあります。 (2) 「情報なき国家」の新米参謀であった堀氏が、米軍の上陸地点・上陸日を次々に言い当てられた理由。情報入手の手段は、機密情報の盗読や暗号解読だけではないということ。 (3) ニューギニア島やレイテ島で大損害を出した陸軍が、ルソン島・硫黄島・沖縄本島では善戦(米軍の本土上陸を遅らせることができた)できた理由。米軍の不得手を如何に見抜いたか。 いずれまた再読したいと思います。
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大東亜戦争当時、陸軍参謀として情報を扱うポジションにいた筆者の戦記。 それまでの中国大陸での勝利や「大和魂」などの精神論に傾向しすぎて「情報」を大本営が軽視して諜報・防諜へのリソースを割かなかったことが大日本帝国の敗因のひとつであることは周知の事実だが、それを当時現場で体感した方の記であるので、とてもリアル。 本中では戦時の話であるが、現在においても企業のありかたや知的労働をするものにとって必須である「本質の見分け方」、企業内セクショナリズムなどが身の回りにある人にとってはとてもうなずける内容。だからどのようにすれば良いのかや、どのようにすれば日本は戦勝国になっていたかなど大上段なことは書かれていないが、得られる気づきは多い。 あと文章が平易な訳ではないのになぜか読みやすい。
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元陸軍参謀が自ら経験した二次大戦の情報戦を振り返ったもの。読み進める程にあまりに幼稚な戦略、対処に慚愧の念が絶えない。補給、という戦地における最重要事項の捉え方が「ローテーション」だったアメリカと、「消耗補給」だった日本。今の企業戦略もこれと変わらないところが多い。
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2/7 戦略の失敗を戦術や戦闘で覆すことはできない。 制限された中でアメリカの戦略を予想できたのはすごい。
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■副題が「情報なき国家の悲劇」とある通り、敵情を知らないまま戦争に突入した軍部について、元大本営参謀の観点で客観的に述べている。 ■戦時中の山下奉文大将との話や戦後のキューバ危機の時の話など、生々しい話は興味深い。特に山下将軍の様子は、リーダーのあり方を示している。 ■広島に向か...
■副題が「情報なき国家の悲劇」とある通り、敵情を知らないまま戦争に突入した軍部について、元大本営参謀の観点で客観的に述べている。 ■戦時中の山下奉文大将との話や戦後のキューバ危機の時の話など、生々しい話は興味深い。特に山下将軍の様子は、リーダーのあり方を示している。 ■広島に向かったB29の話も生々しい。 ■一番最後には「兎の耳」の話があり、筆者はこれが一番言いたいことなのだろう。それでも、今の日本政府も日本企業もこの教訓を活かしているとは言い難いと感じる。 ■情報に関して土地勘のある人にとって、この本は示唆に富んだものである。
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陸軍と海軍も仲悪かったとは。完全な縦割り。 そして、アメリカとの対戦戦略が開戦後2年たってようやくできるとは、情けない。今も変わってないのかな。
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米軍の行動を正確に予測することから、日本軍だけじゃなく戦後米軍からも〃マッカーサーの参謀〃と呼ばれ、山下奉文(マレーの虎)の部下だった著者。 自分のことを「堀は」と客観的に書いているのが印象的でした。 読んでいて、山岡荘八の〃小説 太平洋戦争〃を読んだときと同様の怒りが込み上げてきました。 現地からの報告は第一線のリアルな現状、血を流して得た情報。それを軽視するだけではなく、ときには無視した大本営って・・・。 戦争は長年に渡っての周到な敵の情報が不可欠で、それをもとに作戦を入念に立てても実際は、イレギュラーなことが起きる。なのに大本営は、囲碁や将棋に例えて、ふんぞり返って「なんとかしろ」と言うだけ。 ・・・どれだけ流さなくてもいい血が流れたのだろう。 この本読むまで知らなかった。 大本営の中に、別格参謀と一般参謀があったこと。
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この本を読んだきっかけは、 「情報を扱う者は、一読すべき」 というレビューを読んだからでした。 情報の破片同士をどうつないで全体像を想像するのか、 情報は都合の良い順番にはやってこない、など、 学ぶことの多い本でした。
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